飲食店で外国人がホールスタッフとして働くための就労ビザとは?
最近は、レストランや居酒屋などの飲食店に行くと、「ホールスタッフ」や「キッチン」で働く外国人を多く見ます。
その光景から、飲食店でも外国人の就労ビザがとれるように思えますが、「外国人が飲食店でホールスタッフやキッチンで働ける就労ビザは制限があります。」
今回は、飲食店で外国人を採用したいと思った時、該当する就労ビザがあるかどうかについて解説していきます。
目次
飲食店で働く外国人は就労制限がない外国人である
レストランやカフェ、居酒屋でホールスタッフやキッチンで働く外国人は、「就労制限がない外国人」がほとんどです。
就労制限がない外国人とは、「永住権」「永住者の配偶者」「日本人の配偶者」「定住者」「留学生(条件あり」「特定活動(条件あり)」になります。
簡単に説明すると、日本に長いこと住んでいたり、日本人と結婚した方は就労制限がないので、自由に働くことができます。
その他、「留学生」または「特定活動(ワーホリ)」の外国人も多いです。
留学生は資格外活動許可を取ることで、週28時間という時間制限はありますが、風俗営業以外の仕事であればどんな仕事でも働くことができます。
特定活動とは、告示されているものだけで46種類あり幅広いビザになりますが、この中には、ワーキングホリデーの外国人も含まれております。
ワーキングホリデーの外国人も就労制限はありません。
就労ビザでは現場労働は禁止されている
日本で就労ビザと言うと、一般的には「技術・人文知識・国際業務」というビザを指します。
そしてこの技術・人文知識・国際業務の就労ビザは、現場で働くことはできません。
現場で働ける就労ビザもいくつかあるので、詳しくは後述します。
そのため、飲食店で「ホールスタッフ」や「キッチン補助」「清掃」「皿洗い」などの業務で就労ビザを取得することは難しいです。
昔は、「スーパーバイザー」や「翻訳・通訳」で申請すれば許可させるという噂があり、実際許可されていました。
しかし、2022年時点ではほぼ無理になりました。
就労ビザは、取得できればその後どんな業務をさせていいわけではなく、申請した内容以外の仕事をさせると、不法就労に問われる可能性もあるので、虚偽申請は絶対にやめてください。
デスクワークであれば就労ビザの取得は可能
ここまで現場労働とお伝えしてきましたが、飲食店であっても「デスクワークの仕事であれば就労ビザの取得は可能」です。
デスクワークであっても、「店舗(現場)でデスクワークというのは認められずらい」です。
理由としては、お店が混雑してきた時に、ヘルプに入り現場で就労する可能性が高いからです。
2019年以降から、入管は「1回でもオーダーを取る」「1回でも料理を運ぶ」のであれば、これは接客になると判断する傾向になります。
そのためデスクワークでの就労ビザの申請の場合には、「オフィスが別で確保」されており、「店舗(現場)で働かないことを証明する」ことが大切になります。
現場労働でも取れる就労ビザとは?
飲食店の「ホールスタッフ」「キッチン補助」などで就労ビザを取るのは難しいとお伝えしてきましたが、絶対とれないわけではありません。
条件は技術・人文知識・国際業務のビザよりも厳しくなりますが、取得できる就労ビザもあります。
飲食店の現場で取れる就労ビザ
- 技能ビザ
- 特定活動(告示46号)
- 特定技能ビザ
技能ビザ(シェフ)
技能ビザは、キッチンで「シェフ」として働く就労ビザになります。
技能ビザでは、実務経験が求められ「原則10年以上の実務経験が必要」です。
タイ料理人のみは、5年の実務経験となります。
この実務経験は、海外で日本で作る料理のジャンルと同じものを作っていた経験である必要がります。
技能ビザのポイント
- 実務経験が10年以上あること(タイ料理は5年以上)
- 外国の専門料理であること(居酒屋やラーメンなどは不可)
- 10年の実務経験は、正社員や契約社員としての経験であること
(アルバイト・パートの経験は不可) - 元勤務先から在籍していたことの証明がもらえること
ここでの注意点は、料理の種類です。
料理人として10年の実務経験があればいいのではなく、「日本で作る料理と同じジャンルのものである」必要があります。
さらに、「外国の専門料理であることが必要」なので、「日本料理」「居酒屋の料理」「ラーメン」などは対象外となります。
シェフのビザ(技能ビザ)の詳細はこちらからご確認いただけます。
特定活動(告示46号)
2019年に新しく施行された就労ビザで、日本の4年生大学を卒業し、日本語能力試験(JLPT)1級に合格している外国人であれば、「ホールスタッフ」「キッチン補助」のどちらでも就労が可能になりました。
特定活動(告示46号)の条件
- 日本の4年生大学以上を卒業していること
- 日本語能力試験(JLPT)1級に合格していること
※大学で日本語専攻の場合は不要
※ビジネス日本語試験480点以上でも可
上記のどちらにも該当している必要があります。
こちらもなかなかハードルが高いですが、大前提として日本の4年生大学を卒業していないといけません。
さらに日本語も十分に話せる外国人である必要があります。
こういった優秀な外国人であれば、飲食店での現場労働も可能となります。
特定技能ビザ
特定技能ビザも2019年4月に新しく施行された就労ビザになります。
特定技能ビザは、一般的な就労ビザと違って様々な制限があります。
特定技能ビザの制限(2022年8月時点)
- 最大5年間しか働けない
- 配偶者であっても日本に呼べない(家族の帯同不可)
- 第三者機関として、管理機関を置く必要がある(※自社内に置くことも可能)
また特定技能ビザの申請をするためには、外国人が「技能試験」「日本語試験」に合格する必要があります。
これは他の就労ビザではないルールで、特定技能ビザ特有のものになります。
技能試験は、不定期に開催されており、下記HPから試験日を確認する必要があります。
日本語試験は、日本語能力試験(JLPT)N4以上に合格している外国人であれば免除になります。
日本語能力試験(JLPT)を受けたことがない外国人は、「日本語基礎テスト(JFT-Basic)」に合格する必要があります。
日本料理のシェフには特例がある
上記で日本料理のシェフとしては就労ビザはとれないとお伝えしましたが、1つだけ特例があります。
それは、農林水産省が行っている「日本の食文化海外普及人材育成事業」です。
外国人が日本の調理師専門学校を卒業していれば、日本料理のシェフとして就労ビザを取得できる可能性があります。