特定技能「外食業」で外国人を雇用する際の要件について
日本の就労ビザでは、原則現場労働はNGとなっています。
しかし、2019年4月より施行された「特定技能ビザ」であれば特定の14業種であれば、現場労働も可能となりました。
今回は、その中でも「外食業」分野に特化して、要件や注意点について解説していきます。
目次
特定技能ビザの概要
特定技能「外食業」は、特に人材不足が深刻であることから、2019年4月に新設された新しい就労ビザになります。
また特定技能ビザは1号と2号の2種類に分かれており、「特定技能1号は最大で5年間」しか働くことができません。
特定技能2号は無期限で働くことができますが、2号への移行は「建設業」「造船・舶用工業」の2業種のみになっていますので、外食業では最大5年間しか働いてもらうことができないものとなっています。
※2023年夏ごろに特定技能の14業種すべてにおいて2号への移行ができるように制度が変わる予定です。
特定技能外国人が働ける飲食店の種類とは?
飲食店と言っても様々な形態の飲食店があります。
飲食店の中でも特定技能外国人が働ける飲食店には決まりがあり、風俗営業関連の飲食店については認められておりませんので、ご注意ください。
対象となっている飲食店は下記です。
特定技能外国人が働ける飲食店の種類
- レストラン
- 食堂
- 居酒屋
- カフェ
- ファーストフード店
- テイクアウト専門店
- 宅配専門店
- 仕出し料理店
対象となっているのは、一般的なレストランや居酒屋・カフェ・テイクアウト専門店などが該当します。
テイクアウト専門店では、店内で調理し、お客様に商品を渡すタイプの飲食店のことを指し、宅配専門店は、ビザ屋さんのようなデリバリー形態の飲食店になります。
仕出し料理店は、宅配と似ていますが、容器などを後から回収したりする懐石料理などの和食屋によくみられる形態になります。
飲食店で認められている業務内容とは?
飲食店で特定技能外国人に行ってもらう職種についても決まりがあります。
特定技能外国人が行える仕事内容
- 調理補助
- 接客
- 店舗管理
これらの業務がメインとなり、それに付随する業務として「皿洗いや清掃なども可能」となっています。
認められない仕事とは?
「皿洗いのみ」「清掃のみ」といった場合には、特定技能ビザでも認められていません。
皿洗いや清掃などを行う場合には、必ず調理や接客・店舗管理の業務を行い、それに付随する業務であることが求められています。
認められない仕事内容
- 清掃のみの業務
- 皿洗いのみの業務
- 宅配のみの業務
特定技能ビザを取得する要件とは?
「特定技能ビザ」を取得するには、技能試験の合格と日本語試験の合格が必要になります。
特定技能ビザ取得要件
- 技能試験の合格
- 日本語基礎テストの合格(日本語能力試験N4でも可)
こちらは特定技能ビザ申請前に合格している必要があります。
外国人の国籍にも注意が必要
特定技能ビザでは、日本と各国との間にルールを定めた「二国間協定」が締結されています。
この二国間協定の内容に応じては、採用までの流れにルールが設けられておりますので、まずはその内容を理解する必要が出てきます。
技能試験について
技能試験については「一般社団法人外国人食品産業技能評価機構」が実施しており、試験日はHP上に不定期に更新されますので随時チェックしておく必要がございます。
受験資格がある外国人とは?
以前までは日本で中長期の在留資格を持っている人もしくは過去に持っていた人のみが、日本で行われる技能試験を受験可能でした。
しかし、2020年4月以降は過去の在留資格の有無に関わらず、短期滞在で来日した人にも日本での受験を認める運用に変更になりました。
※在留資格を有していない不法残留者などには受験資格は認められません。
海外で行われる試験についても受験可能ですが、国をまたいでの受験は各国に確認をとってから渡航するようにしてください。
試験内容について
技能試験の内容については、衛生管理では「HACCP(ハサップ)」に関しての問題、調理に関しては「器具の名前や調理作業」について、接客については「おもてなしの考え方」などが出題されます。
技能試験の内容について
- 衛生管理
- 調理における知識と技能
- 接客全般における知識・技能
日本語基礎テスト
特定技能ビザで求められる日本語能力は、2パターンあります。
求められる日本語能力
- 日本語基礎テスト(JFT-Basic)
- 日本語能力検定(JLPT)4級以上
すでに日本語能力試験(JLPT)で4級(N4)以上を持っているのであれば、他に日本語試験を受ける必要はありません。
日本語能力試験(JLPT)を受けたことがない外国人の場合には、特定技能ビザ用の日本語テスト「日本語基礎テスト(JFT-Basic)」を受けて、合格する必要があります。
この日本語基礎テスト(JFT-Basic)は、日本語能力試験(JLPT)よりは難易度は高くないと言われております。
特定技能外国人を雇用するために会社として求められること
特定技能ビザは、ルールが細かく決められており、会社もそのころを理解し、協力しないと取得できない就労ビザになります。
特定技能ビザの主なルール
- 直接雇用であること
- 給与は銀行振り込み
- 協議会への加入が必須(無料)
- 特定技能外国人の管理体制を必ず整える(登録支援機関)
飲食店で、特定技能外国人を雇用する際には、必ず「直接雇用」である必要があるので、派遣社員などはNGとなります。
また給与は銀行振込である必要があり、現金手渡しは禁止です。
そして、農林水産省が定めた「協議会に加入」することが必要で、特定技能外国人全体の環境をより良くしていくためにサポートしていく必要があります。
登録支援機関とは?
登録支援機関とは、特定技能外国人が、安定的に仕事ができ、不利益を受けないように支援計画の作成し、実施・管理を行う機関になります。
特定技能外国人を雇用するには、特定技能外国人のサポートも行う必要があり、そのサポートは勤務中だけでなく日常生活や社会生活におけるサポートすべて含まれ、その実施計画書を作成する必要があります。
特定技能外国人へのサポートは、「母国語等の特定技能外国人が十分に理解できる言語対応」「上司や指揮命令権を有しない、中立性がある人」などのルールがあるため、ほとんどの中小企業では登録支援機関に管理を依頼するのが一般的になっています。
具体的なサポート内容
- 事前ガイダンス
- 空港までの送迎(入国・出国の際)
- 住居の確保、生活に必要な契約における支援
- 生活オリエンテーション
- 日本語学習の支援
- 相談や苦情への対応
- 日本人との交流促進に係る支援
- 転職支援
- 定期的な面談の実施
管理の中には、3ヶ月に1回、支援計画通りに業務が行われているか確認し、入管へ報告することなども含まれており、法的責任など重要な業務となっています。
登録支援機関は、誰でもなれるものではなく、法務省管轄の出入国在留管理庁長官の登録を受けているものだけが可能となっています。