特定技能ビザ(ホテル・旅館)でできる仕事内容と要件について
日本の就労ビザは仕事内容に制限があり、学術的または外国人特有のスキル(言語など)を活かせる仕事のみが認められており、単純労働はNGとされていました。
しかし、近年のインバウンド需要により多くの外国人観光客が日本に訪れており、宿泊施設が足りないといった問題に加えてホテルや旅館で働く従業員が不足する社会問題をかかえ、今まで禁じていた宿泊業界での就労(ベッドメイキングなどを含む)が可能となる「特定技能」ビザが2019年4月に施行されました。
目次
宿泊業界で可能な業務内容とは?
2019年4月より新しく施行された「特定技能ビザ」には宿泊業が含まれ、「ホテル」「旅館」などの宿泊施設での外国人の就労が可能となりました。
ホテルなどで就労が可能となったとしても、なんでもできるわけではなく、下記の認められている仕事内容(フロント業務とベッドメイキングなど)をまんべんなく行うことが求められています。
例えばこの中の「ベッドメイキングのみ」に従事させるなどは認められていません。
可能な業務内容
- フロント業務(チェックイン・チェックアウトなど)
- 企画・広報業務
- 接客業務(館内案内など)
- 施設内のレストランサービス業務(接客・調理・皿洗いなど)
- 清掃業務(他の業務と組み合わせる必要あり)
- ベッドメイキング(他の業務と組み合わせる必要あり)
※風俗業務関連については認められておりません。
フロント業務(チェックイン・チェックアウトなど)
フロント業務では、今までも審査は厳しかったですが、技術・人文知識・国際業務ビザでの許可も出ていました。
しかし、「外国人の学歴」「国籍」「日本語能力」「ホテルや旅館の大きさ」「外国人客の多さ」など細かい審査をされていましたが、特定技能ビザでは、これらの要件の審査なく取得できるようになりました。
※ちなみに、特定技能ビザが新設された現在も、要件が合致すればフロント業務で技術・人文知識・国際業務ビザでの取得も可能です。
フロント業務の具体的な業務には、「チェックイン・チェックアウト対応」「宿泊客への電話や伝言の管理」「宿泊客の苦情や相談への対応」「買い物、食事、娯楽、観光案内などのホテルの近辺に関する問い合わせ対応」などが含まれます。
企画・広報業務
企画・広報業務は、webページの管理や旅行サイトでの口コミ対応や、毎日のSNSの更新業務、広告などのプロモーション、情報発信、企画立案、チラシ作成などが含まれます。
この中で多いのは、旅行サイト(特に海外向けのサイト)からの問い合わせ対応や、SNSでの情報発信などの業務を行うことが多いかと思います。
接客業務(館内案内など)
接客業務は、管内施設の案内や施設の受付業務などを行うことができます。
この接客業務は、今までの就労ビザでは認められていなかった特定技能ビザでできるようになった仕事内容になります。
施設内のレストランサービス業務(接客・調理・皿洗いなど)
ホテルや旅館の中にあるレストランでの、接客業務・調理補助・皿洗いなどの業務も可能です。
この施設内のレストラン業務も、特定技能で可能となった仕事内容になります。
清掃業務とベッドメイキング
「ベットメイキング」や「清掃業務」についても特定技能ビザでは可能です。
しかし、ベッドメイキングのみを行うといったことはできず、フロント業務や企画・広報業務を行いつつ、不随業務としてベッドメイキングもするといった内容でないといけません。
認められない例としては
- 清掃業務のみに従事する場合
- ベットメイキングのみに従事する場合
特定技能ビザの取得要件について
特定技能ビザは、学歴などは不要で、「技能試験」と「日本語能力N4相当以上」に合格していれば取得できます。
そして特定技能ビザの技能試験は、海外での試験日程が少ないので、2020年4月より短期滞在で来日して日本で技能試験などを受験することもできるようになりました。
※不法残留者(オーバーステイ)などには受験資格は認められません。
また、海外で行われる技能試験については、母国でなくても他国での受験も認められていますが、念のため、一般社団法人 宿泊業技能試験センターに事前に確認をとってから渡航するようにしてください。
技能試験について
宿泊分野の技能試験は、「一般社団法人 宿泊業技能試験センター」が行っている、宿泊業独自の試験となっています。
試験日については不定期にHPに公開され、こちらのHPを随時確認いただき、試験会場も日本を中心として、アジアの国でも行われています。
試験内容について
試験内容については主に下記の5つのカテゴリーに関しての筆記と1つのカテゴリーを選んで実技試験があります。
外国人旅行客への対応やアレルギーの確認など、ホテル業務に係る事項に関しての問題が出題されます。
技能試験の内容
- 「フロント業務」
- 「接客業務」
- 「レストラン・サービス業務」
- 「広報・企画業務」
- 「安全衛生・その他基礎知識」
日本語基礎テスト
日本語能力試験は、すでにN4以上を持っていれば試験は免除されます。
日本語能力試験の資格を持っていない方は、下記の「日本語基礎テスト(JFT)」を受けて合格する必要があります。
「日本語基礎テスト」は、日本語能力試験よりは難易度度は高くないと言われております。
会社として求められること
特定技能外国人を雇用する際には「直接雇用」である必要があります。
※派遣は認められていません。
そして、国土交通省が定めた「協議会」に加入することが必要で(費用は無料)、特定技能外国人全体の環境をより良くしていくためにサポートしていく必要があります。
合わせて、会社で雇用している特定技能外国人のサポートも行う必要があり、そのサポートは勤務中だけでなく日常生活や社会生活におけるサポートすべて含まれ、その実施計画書を作成する必要がございます。
具体的な内容
- 事前ガイダンス
- 空港までの送迎(入国・出国の際)
- 住居の確保、生活に必要な契約における支援
- 生活オリエンテーション
- 日本語学習の支援
- 相談や苦情への対応
- 日本人との交流促進に係る支援
- 転職支援
- 定期的な面談の実施
上記には義務的支援と任意的支援ありますが、基本的にはサポートする必要がでてきてしまうため法務省管轄の出入国在留管理庁長官の登録をしている企業または個人の「登録支援機関にサポートを委託して行うことが一般的」となります。