携帯販売員で就労ビザを取るためのポイントと許可事例について
この記事では、外国人を携帯販売員として雇用したい企業様向けの内容になります。
携帯販売員は現場作業になりますが、「専門性」「外国人社員の必要性」をしっかり説明できれば、就労ビザの取得が可能な職種です。
今回は事例も交えながら、携帯販売員での就労ビザ申請のポイントをおさえていきましょう。
目次
携帯販売員で働ける就労ビザは?
携帯販売員として取得できる就労ビザは2つあり、一般的な就労ビザである「技術・人文知識・国際業務」と「特定活動(告示46号)」です。
特定活動(告示46号)とは、N1特活とも言われたりしますが、簡潔に言うと日本の4年制の大学を卒業し日本語能力試験1級(N1)に合格している外国人の方が対象となってくるので、取得するにはハードルが高いです。
そのため、外国人を携帯販売員として雇用した場合は、技術・人文知識・国際業務ビザの取得を検討するのが一般的です。
携帯販売員で取れる就労ビザ
- 技術・人文知識・国際業務
- 特定活動(告示46号)
技術・人文知識・国際業務とは?
携帯販売員は、技術・人文知識・国際業務ビザで取得できるのであれば、このビザで申請したほうがよいです。
日本で就労ビザと言うと、一般的には「技術・人文知識・国際業務ビザ」のことを指しており、この就労ビザを取得するには、ポイントが大きく分けて3つあります。
技術・人文知識・国際業務ビザのポイント
- 外国人の「学歴」
- 実際に行ってもらう「仕事内容」
- 給与額
技術・人文知識・国際業務ビザは、原則として現場労働を認めていない就労ビザですが、携帯販売員の場合には、通信やシステムなどの専門知識の必要性が高いため、接客業でも認められています。
例えば、同じ接客業でも、飲食店やスーパーなどの接客は、学術的に必要な技術が少ないとして技術・人文知識・国際業務ビザは取得できません。
特定活動(告示46号)とは?
特定活動ビザでは、該当する活動内容が、2022年9月時点で46個が告示されています。
告示されている46個以外にも告示外と言い、明確に示されていないものも多く存在するため、マルチのビザとなっています。
その中で特定活動(告示46号)は、2019年5月に新設されたもので、一定の要件をクリアした外国人であれば、現場労働できるという就労ビザになります。
一定の要件とは下記となります。
特定活動(告示46号)の要件
- 日本の4年生大学以上を卒業していること
- 日本語能力試験(JLPT)1級に合格していること
※大学で日本語専攻の場合は不要
※ビジネス日本語試験480点以上でも可
かなりハードルは高い内容になりますが、上記条件をクリアできている外国人であれば、特定活動(告示46号)の取得が可能です。
特定活動(告示46号)の趣旨は、「高い日本語能力を持つ外国人に日本語を活かしてもらいつつ、日本の大学・大学院で学んだ幅広い知識を活かせる仕事をしてもらう」とされています。
そのため、日本語と学校で学んだ学術的な専門知識を活かせる仕事である必要があり、携帯販売員であれば、お客様に商品説明は必須のため、取得が認められています。
技術・人文知識・国際業務ビザの学歴要件は?
それでは、具体的に携帯販売員として、技術・人文知識・国際業務ビザを取得する際の外国人の学歴ポイントについて見ていきましょう。
技術・人文知識・国際業務ビザでは、外国人の「学歴」がとても重要になり、大学などを卒業して「学士」などの学位を取得しているかで判断します。
なお、専門学校は「日本の専門学校のみ認められている」ので、海外の専門学校で専門士を取得していても、技術・人文知識・国際業務ビザの取得はできません。
技術・人文知識・国際業務ビザで認められている学歴
- 大学卒業(学士)
- 大学院卒業(修士または博士)
- 短期大学卒業(短期大学士)
- 日本の専門学校卒業(専門士)
学歴を把握できたら、次はその学校で学んでいた内容について確認していきますので、学校から成績証明書を発行してもらい、そこに記載がある履修科目を確認します。
システム系の履修科目があるか?
携帯販売員で就労ビザを申請する場合、学校で「システムやネットワークを履修している」いるかが審査で重要な項目になります。
「システムやネットワークの知識がある」かどうかは、成績証明書に記載がある履修科目を見て判断し、システム系の科目を履修していることが望ましいですが、関連する科目を履修している場合は、そこがアピールポイントです。
また、履修しているだけでなく、成績(評価)も審査では重要な要素になるので、仮に履修はしているがC評価などでギリギリ単位が取れている場合には、「本当に専門性があるのか?」と疑われてしまうことになります。
そういった場合には、複数の履修科目をアピールして、総合的に見て専門性があるとアピールしていきましょう。
短期大学以上を卒業の場合は、審査が緩やかになる
ここまで履修科目について説明してきましたが、短期大学以上(短期大学士)を卒業している場合は、審査を緩やかにしてもらえます。
極端に言うと、システム関連に直結する履修科目がなくても、少しでも関連性がありそうなものがあれば大丈夫ですが、日本の専門学校卒業(専門士)の場合は、仕事内容と履修科目の関連性は厳しく審査されますので、履修科目にシステム関連の内容が含まれていない場合は、不許可のリスクが高くなってしまいます。
日本語能力はあるか?
もう1つ重要な要素として、「言語対応ができるか」という点も重要なポイントで、携帯販売員では外国人のお客様に言語対応することも必要になってくると思います。
そのため、日本語能力がどの程度あるのかも審査されており、具体的には日本語力試験2級(JLPT:N2)以上が必要とされています。
言語を使った仕事(翻訳・通訳など)は、原則3年以上の実務経験が必要になりますが、短期大学以上(短期大学士)を卒業している場合は、実務経験なしで、言語を使った仕事(翻訳・通訳)が可能になります。
また、通訳・翻訳の仕事をする場合には、原則として母国語と日本語を想定しており、例えば英語圏以外の国籍の方が独学で英語を勉強したので、英語と日本語の翻訳・通訳をする場合でも、英語は母国語ではないので、認められない可能性が高いです。
母国語以外で認められるケースとしては、英語圏の大学を卒業しているケースや、学校の履修科目で対象言語を学んでいるケースになります。
そのため、外国人を携帯販売員として雇用する際には、外国人の国籍と外国人のお客様の国籍も重要になってきます。
ちなみに日本語能力試験で2級(N2)を持っていない場合は、学校の履修科目で、翻訳・通訳の勉強をしている場合は、日本語能力試験に合格していなくても翻訳・通訳の仕事も認めてもらうことができます。
もしくは、メイン業務はシステムやネットワークの知識を活かしたコンサルティングの接客で、付随業務として外国人のお客様対応をする時に翻訳通訳もしますというように、翻訳・通訳業務がメイン業務でない必要があります。
技術・人文知識・国際業務ビザの仕事内容は?
携帯販売員として、外国人の専門性を活かせる業務内容は、「システムやネットワークの知識がある」「言語対応ができる」の2つになります。
これらをよりわかりやすく説明すると、下記の仕事内容であれば就労可能となります。
携帯販売員で可能な仕事内容
- 機種変更や乗り換えの相談対応
- プランなどの説明
- プランから変更するメリットのコンサルティング
- 契約作業
- 説明に伴う言語対応
携帯電話は、各キャリアによってプラン内容が異なり、今の自分のプラン内容を正確に把握していないお客様も多くいます。
そのため、お客様の用途に合わせて、適切なプランをご案内したり、新しく出てきたプランのご説明をしたりと、通常の接客業務よりも求められる能力が高いです。
さらに外国人の場合、日本語のネットワークの専門用語は難しいので、外国語で説明しないといけない場面や、クレームが発生してしまった場合の対応など、日本人従業員だけでは対応できない場面も多く存在します。
こういったポイントを外国人の学歴と紐づけて、学校で学んだことを活かせる仕事である旨を入管に説明していきます。
入管の審査官は、携帯電話のプロではないので、業界では当たり前のことだったとしても、審査官にはわからないこともあるので、なるべく丁寧に専門用語は避けて説明すると審査もスムーズに進みます。
給与額について
外国人の「給与額」も審査され、技術・人文知識・国際業務ビザでは、「同ポジションに日本人を雇用する場合と比べて、同等以上の給与額であること」が必要とされています。
簡単に言うと、外国人だから給与額を下げるというのは認められていないということです。
過去のネット求人には注意
弊社の給与基準なんて、審査でわからないでしょ?と思われた方もいるかもしれませんが、過去にネットで求人票を出している場合、その求人がまだネット上に残っていることがあります。
その場合、過去の求人内容の募集ポジションが携帯販売員だった場合、その時の給与額より今回の外国人の給与が低いと不当に低くされているのではないか?と思われてしまうことがあります。
過去のネット求人から変更がある場合で、「日本人と外国人で給与額を変えていない」「求人に出していたポジションが異なる」「業務内容が異なる」などある場合は、その旨入管に説明するようにしてください。
試用期間中の給与額が変わっても大丈夫
たまにご質問あるのが「試用期間」ですが、試用期間の3か月の間は、少し給与額が下がる場合でも、それが外国人だけでなく、日本人の場合も同じであれば、問題はありません。
ただし、外国人だけ使用期間があり、使用期間中の給与が下がるのであれば、それは日本人と同等以上の給与水準とはいえないので、審査で引っかかるかる可能性があります。
携帯販売員で就労ビザが許可された事例について
ここからは、実際に携帯販売員として技術・人文知識・国際業務ビザの許可が出た事例をいくつか見ていきます。
Case1. 海外の大学卒業の韓国人
概要
- 海外の大学を卒業して「学士」を取得している
- 経済学部卒業
- 韓国在住
- 東京の原宿にある携帯販売店にて勤務予定
- 日本語能力試験2級(JLPT:N2)合格者
- カテゴリー2企業(会社規模)
この方は、韓国の有名携帯電話キャリアの店舗にて、携帯販売員として就労ビザを取得しました。
大学の専攻は経済学で、携帯販売員とは直接の関連性は薄かったですが、「大学卒業」「日本語能力試験2級合格者」ということで就労ビザの許可がおりました。
また会社規模も、入管が規定するカテゴリーで2に入る企業だったこともあり、スムーズに許可されています。
Case2. 日本の専門学校卒業のネパール人
概要
- 日本の専門学校を卒業して「専門士」を取得している
- 情報システム専攻
- 日本在住の留学生
- 日本語能力試験3級(JLPT:N3)合格者
- カテゴリー3企業(会社規模)
この方は、日本語能力試験は3級(N3)合格でN2までは取得できていませんでしたが、日本の専門学校の専攻が情報システムで、システム系の履修をしていました。
雇用先企業から派遣され、勤務先は日本の大手キャリアの店舗にて勤務予定でしたが、具体的な配属先は入社後決定ということで、ビザ申請時には配属先未定でした。
ただし、携帯販売員として行う仕事内容は決まっていたので、学校での履修科目と仕事内容の関連性を説明し、許可になりました。
Case3. 日本の専門学校卒業のベトナム人
概要
- 日本の専門学校を卒業して「専門士」を取得している
- 国際ビジネス専攻
- 日本在住の留学生
- 日本語能力試験2級(JLPT:N2)取得
- カテゴリー3企業(会社規模)
この方は、日本の専門学校でシステムの授業は履修していなかったですが、「翻訳・通訳」の履修をしており、日本語能力試験も2級(JLPTのN2)に合格していたため、翻訳・通訳の仕事をメインとして申請をしました。
また履修科目の中には、マーケティングの項目があったので、マーケティングで得た知識を活かして、コンサルティングを行う旨の説明もし、許可になりました。
就労制限がない外国人も働ける
就労ビザが必要な外国人以外で、携帯販売員として働ける外国人としては、下記の方です。
携帯販売員として働ける外国人(就労制限がない者)
- 永住者
- 定住者
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
上記のビザ(在留資格)を持っている外国人は、就労制限がありませんので、どのようなお仕事でもすることが可能で、就労時間の制限もありません。
そのため、日本人を雇用するのと同じように働いてもらうことができます。
留学生と家族滞在者はアルバイト可能
就労ビザではないですが、「留学」「家族滞在」のビザ(在留資格)を持つ外国人も、資格外活動許可を持っていれば、週28時間以内のアルバイトが可能です。
このアルバイトは、風営法に該当する仕事以外であれば可能なので、携帯電話の販売員として働くことができますが、留学生や家族滞在者は就労ビザではないので、フルタイムで働くことはできません。