特定技能の対象14業種と要件について解説
特定技能とは?
日本の就労ビザは単純労働(現場労働)の仕事を禁じてきました。
ですが、近年の日本の少子化に伴い労働力不足が深刻になっており、特に就労ビザの許可がおりない業界では事業を拡大していくどころか持続していくことすら困難な状況になってきたことを鑑みて、特定の14業種おいて一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていくことを目的として単純労働も可能な「特定技能」(Designated Skilled Labor)という就労ビザが2019年4月1日より施行されました。
認められている14産業分野
特定技能には、指定された14業種の中でも2019年~2024年までの5年間において、業種ごとに受け入れ可能人数を定めており、その全体数は345,150人の見込みとなっております。
特定技能1号と2号の違いとは?
特定技能には特定技能1号と特定技能2号があります。
基本的には特定技能1号がメインになりますが、14業種の中の「建設業」「造船・舶用工業」の2業種のみ1号→2号に移行することが可能となっております。
特定技能1号の特徴
特定技能1号は、最大5年間までしか日本で働くことしかできないという制限があります。
また母国等で結婚している場合でも配偶者や子どもを日本に呼ぶことはできません(家族の帯同不可)
特定技能2号の特徴
特定技能2号に移行できるのは「建設業」「造船・舶用工業」の2業種のみで、特定技能1号の場合は日本に滞在できるのが最大5年間までとなりますが、2号に変更することで滞在の制限なく日本に滞在することが可能となっております。
家族の帯同については、一定の条件を満たすことで可能となります。
対象国
特定技能を取得できる国は、イランを除くすべての国で可能です。
また国よっては二国間協定を締結しており、現地の指定のエージェントを通す必要があったりもしますので、国籍ごとに確認が必要です。
※二国間協定の趣旨は、悪質なブローカーを排除することを目的として結ばれています。
対象12か国 ※2020年5月現在
フィリピン、カンボジア、ネパール、ミャンマー、モンゴル、スリランカ、インドネシア、ベトナム、バングラデシュ、ウズベキスタン、パキスタン、タイ
特定技能に関する二国間協定とは?
特定技能を取得する要件
特定技能を取得するには、一般的な就労ビザとは違う要件がございます。
技能試験
特定技能は外国人の学歴が不要です。
その代わりに技能試験により一定水準以上の技能が求められております。
この試験は指定されている14業種ごとに変わり、それぞれの管轄の省庁から委任された機関等が行っております。
技能試験を免除できる外国人
- 特定技能で行う職種の内容で、技能検定3級に合格している者(技能実習生)
- 技能実習2号を良好に修了した者
この技能試験に合格しており証明書を持っている方は技能試験を受けることなく特定技能ビザの申請が可能です。
ここで1点注意が必要なのが2017年11月以前に技能実習生だった外国人は、この技能試験がなかったので技能試験3級の合格証を持っていません。
そういった方は、当時の受け入れ機関または管理団体より「評価調書」をもらうことで、技能試験3級に変えることが可能となります。
(技能実習の時の受入れ機関と、特定技能の受入れ機関が一緒の場合は省略可能)
日本語能力
一般的な就労ビザでは日本語能力は求められませんが、特定技能ビザにおいては日本語能力が必要です。
必要な日本語レベル
- 日本語基礎テストに合格
- 日本語能力試験4級以上(N4以上)
すでに日本語能力試験N4以上を持っている外国人であれば日本語テストを受ける必要はありませんが、まだ持っていない外国人については「日本語基礎テスト」という決められたテストがありますので、こちらを受けて合格する必要があります。
登録支援機関
登録支援機関とは、特定技能ビザで働いている外国人をサポート・管理する機関です。
特定技能外国人を雇用する企業でサポートすることもできますが、サポートするためには「言語対応」「支援計画を作成及びその遵守」「法令遵守」「苦情相談対応」「住宅確保の支援」など様々なサポートを行う必要があり、従業員に余裕がある企業でない限りは外部に委託することが多くなっております。
この登録支援機関は、一定の要件を満たした民間企業等が法務省管轄の出入国在留管理庁長官の登録を得ている企業または個人であり、登録支援機関になるにも要件がございます。
現在の登録支援機関の名簿は下記法務省のページより確認いただけます。
雇用契約する際の注意点
特定技能ビザを取得するには、「直接雇用」である必要があります。
これは特定技能外国人を守るためのものであり、一部「農業」「漁業」のみ派遣での雇用も認められております。
また、特定技能においても社会保険や労働保険は必ず加入する必要があります。
(法的に加入義務がない場合は加入不要です)
今まで加入していなかった場合には審査で不利になる可能性があります。
また給与についても必ず振込である必要があり、現金手渡しは不可となります。
これも特定技能外国人を守るための一つの規制になります。