基礎知識

海外在住の外国人でリモートワークでも就労ビザは必要か?

「リモートワーク」は、新型コロナウイルスの影響で一気に普及しました。

そのため「海外在住の外国人をリモートワークで雇用する」機会も多くなっています。

しかし、外国人を雇う場合は、就労ビザが必要と聞いたことがあるが、海外在住の場合も就労ビザの取得が必要なのか?という疑問が出てくるかと思います。

日本の就労ビザは、基本的には「日本国内で報酬を得て働く場合に必要」になるので、日本国内で働かないリモートワークでは就労ビザ取得は不要です。

今回は、リモートワークで雇用する場合のルールや税金関係、社会保険関係について解説していきます。

海外在住の外国人はリモートワークでも就労ビザは必要か?

就労ビザが必要かどうかは、「海外在住」か「日本在住」かで異なってきます。

日本の就労ビザは、「日本国内で報酬を得る活動をする外国人が必要」となるものなので、海外に住みながらリモートワークで仕事をする場合は、日本の就労ビザ取得は不要になります。

ただし、基本的にはリモートワークだが、たまに出張で日本にきてもらうことがある場合は都度、短期滞在ビザが必要になります。

日本に出張にくる場合はどうすればいい?

海外在住の外国人で基本的にはリモートワークで仕事をしてもらっている場合は、日本国内で働いていないので就労ビザは不要です。

ただし海外在住でも、日本に出張で来る場合には短期滞在ビザが必要になります。

短期ビザの種類は複数ありますが、出張の場合は「短期商用」という種類の短期滞在ビザを取得する必要があります。

※ビザ免除国の国は、短期滞在ビザ(短期商用)の取得は不要になります。

ビザ免除国の一覧はこちら

出張の際は「短期滞在ビザ(短期商用)」を取得する

出張などで日本に短期で来る必要がある場合は、短期滞在ビザ(短期商用)を取得します。

短期滞在ビザは最大90日間、日本に滞在することができるビザで、日本国内での活動に対して別途報酬を出すことはできません。

そして1回の滞在は最大で90日間ですが、1年間であれば最大180日間日本に滞在することができます。(更新は不可で原則は一度日本から出国する必要があります)

短期商用(短期ビザ)の特徴

  1. 申請は海外にある日本大使館で行う
  2. 目的は「打ち合わせや会議・顧客のアフターフォロー」になる
  3. 1回の滞在は最大90日間
  4. 年間で最大180日まで使用可能

アメリカ人やイギリス人・韓国人など、ビザ免除国の国の外国人の場合は、最大90日以内の滞在であればビザの申請は不要ですので、「空港で打ち合わせの目的で来日した」などと説明して来日することが可能です。

ビザ免除国の一覧はこちら

報酬を得る場合は「就労ビザ」が必要になる

たとえ90日以内の日本滞在であっても、日本国内で行う活動に対して報酬が出る場合は、「就労ビザの取得が必要」になります。

例えば、ワークショップなどで1日だけの活動であっても、その活動に対して報酬を支払うのであれば、短期商用(短期ビザ)で入国することは禁止されています。

外国人が日本国内で報酬を得る活動を行う場合は、就労ビザの取得が必要になります。

取得する就労ビザは行う業務内容によって変わりますが、一般的な就労ビザは「技術・人文知識・国際業務」というものになります。

技術・人文知識・国際業務の取得要件についてはこちらから確認いただけます。

技術・人文知識・国際業務の就労ビザは、申請すれば取れるものではなく、「学歴要件」や「職務内容の要件」もあるので、確認をお願いします。

海外在住の外国人の税金の支払いはどうなる?

海外在住の外国人であれば、税金に関しても、役員報酬以外の「給与の源泉徴収は不要」になります。

これはたとえ、海外在住の外国人リモートワーカーが日本国内の銀行口座を持っており、その口座に給与を振り込む場合でも、海外在住の外国人リモートワーカーの場合は、源泉徴収は不要です。
※課税は海外の現地で行う形になります。

ただし過去日本に滞在したことがあり、今も日本に住民票が残っている場合(例:永住者など)は、海外でリモートワークをしていたとしても日本の居住者とみなされてしまいます。

この場合は、海外で仕事をしていたとしても日本企業から支払われる給与は課税対象となり、源泉徴収が必要になります。

役員の場合は、課税対象になる

海外在住の外国人リモートワーカーの方が「役員の場合」は、役員報酬で給与を支払いますが、この場合は日本国内にいなかったとしても、「課税対象」になります。

課税は国内在住者と同じく、原則20.42%の源泉所得税が課税されます。

海外在住の外国人でも社会保険は加入するのか?

海外在住の外国人でリモートワークであったとしても、下記条件に当てはまる場合は、社会保険の加入が必要になります。

海外在住のリモートワーカーでも社会保険への加入が必須になる場合

  1. 日本法人と雇用契約を結んでいる
  2. 日本法人から指揮命令を受けて仕事をしている
  3. 日本法人から給与が支払われている

海外在住の外国人は、基礎年金番号やマイナンバーを持っていません。

そのため、パスポートの写真部分のコピー(日本語訳も必要)と、日本法人との雇用契約書・入社書類などで手続きをすることになります。

健康保険はどう使うのか?

風邪で海外の病院に行った際にはまず全額実費で支払い、その後、海外療養費の制度を使って還付請求をする流れになります。

ただし、還付される金額は日本国内の療養費を基準に算定されるため、現地で支払った金額の7割(3割負担ではない)が還付される訳ではないので、事前に外国人本人に伝えておく必要があります

厚生年金も加入義務がある

上記条件に当てはまる場合は、海外在住の外国人でリモートワークだとしても厚生年金の加入も必要になります。

海外ですでに年金に加入している場合は、「二重で加入」することになります。

しかし、日本と社会保障協定を結んでいる国の場合は、日本の社会保険への加入を免除できます。

国ごとに対応はことなるので、都度確認が必要になります。

社会保障協定を締結している国

ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピン、スロバキア、中国、イタリア、スウェーデン、フィンランド

こちらの年金機構のページより最新情報が確認できます。

脱退一時金制度について

脱退一時金制度とは、外国人労働者が、年金受給資格期間である10年を満たさずに退職や帰国する場合、すでに納めている年金保険料の一部を返金してもらえる制度です。

対象となる外国人労働者が、日本に住所を保有しなくなった日から2年以内に請求をすることで支給を受けることができます。

労働保険(労災保険と雇用保険)について

海外在住の外国人リモートワーカーは、下記条件に当てはまる場合は「雇用保険」「労災保険」の加入も必要になります。

労働保険(労災保険と雇用保険)の加入が必要な場合

  1. 「日本法人と雇用契約を結んでいる」
  2. 「日本法人から指揮命令を受けて仕事をしている」
  3. 「日本法人から給与が支払われている」

海外在住の外国人リモートワーカーの雇用保険資格取得手続き在留カードを持っていないため、雇用契約書とパスポートの写真部分のコピー等で手続きを行っていきます。

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