高度専門職ビザ(高度人材)から永住権申請の要件と注意点
高度専門職(高度人材)ビザを持っている外国人は、永住権の居住要件が大幅に短縮されます。
高度専門職のポイントは、「申請時」のポイントで永住権の審査をするので、申請後にポイントが下がってしまっても申請時にポイントがあることが証明できれば問題ありません。
また今のビザが高度専門職ビザでなくても3年前(または1年前)から高度専門職のポイントに該当していたことを証明できれば、永住権の申請が可能です。
今回は、高度専門職ビザの外国人が日本の永住権申請をするための方法と、申請後に転職をする場合、審査期間などついて説明していきます。
目次
高度専門職(高度人材)の外国人とは?
高度専門職(高度人材)の外国人とは「高度な専門的な能力があり、日本経済に大きく貢献できることが見込まれる外国人」のことを言います。
高度専門職ビザは、他の就労ビザと違い、企業ごとに申請をして取得するものになるので、転職をした場合には、在留期限が残っていても申請をし直す必要があります。
高度専門職ビザの主な特徴
- 在留期間が5年になる
- 永住権の居住要件が短縮される
- 転職したら、都度申請が必要
- 審査を優先的に行ってもらえる
- 親が呼べる(条件あり)
高度専門職のビザ(在留資格)を持っている外国人のことを「高度人材」と呼びます。
高度専門職ビザはどうやったら取れるのか?
高度専門職ビザを取得するためには、「高度専門職ポイント計算表で70ポイント以上」取得できる場合に申請して取得します。
高度専門職ビザは、国や入管が勝手に調べてくれてもらえるビザではなく、「自分で高度専門職に該当します」と申請をしないともらうことはできません。
高度専門職ポイント計算表はこちら(日本語版)
高度専門職ポイント計算表はこちら(English版)
高度専門職ビザが取れる外国人とは?
高度専門職ビザは就労ビザで働く外国人を対象としています。
また就労ビザの種類によって高度専門職1号「イ・ロ・ハ」の3種類に分かれています。
9割以上は、技術・人文知識・国際業務になるので、「1号ロ」になります。
高度専門職ビザの対象となるビザ(在留資格)
- 高度専門職1号イ
・教授
・研究
・教育 - 高度専門職1号ロ
・法律会計
・医療
・技術・人文知識・国際業務
・業内転勤
・技能 - 高度専門職1号ハ
・経営管理
高度専門職(高度人材)から永住権の申請をする
高度専門職ビザ(高度人材)から永住権申請をする場合には、自分が高度専門職の何ポイントに該当するのかによって居住年数や必要書類が変わってきます。
通常、外国人の方が永住権申請するためには、日本に10年以上住んでいないと申請ができません。
高度専門職ビザをすでに持っている外国人は、許可時に何ポイントで許可になったのかという証明書をもらっているはずなので、その書類を確認します。
高度専門職ビザは持っていないが、過去にさかのぼってポイントがあると証明する場合には、ポイント計算にある項目の書類をすべて準備します。
高度専門職のポイントは過去にさかのぼって証明することも可能です。
高度専門職から永住権の申請する際に必要な居住年数
- 70~75ポイントの外国人=3年以上の居住
- 80ポイント以上の外国人=1年以上の居住
永住権の審査で必要な必要書類も、保有するポイントで短縮された居住要件年数分の書類を準備すればOKです。
「高度専門職ビザを持っている」場合の永住権申請
すでに高度専門職ビザ(高度人材)を持っている場合は、高度専門職ビザの許可時からポイントが変わっていないのであれば、短縮された居住年数(3年または1年)分の課税証明書などの証明書を準備します。
高度専門職ビザを取得したときよりもポイントが上がっている場合には、ポイントが上がった部分の証明書類も準備します。
「高度専門職ビザを持っていない」が、高度専門職ポイント70ポイント以上の場合
高度専門職ビザ(高度人材)から永住権の申請は、必ず高度専門職ビザを持っていないといけないわけではありません。
高度専門職ポイント計算表でポイントが70ポイント以上あることが過去にさかのぼって証明できれば、今技術・人文知識・国際業務などの就労ビザであっても、高度専門職ビザのポイントを使って永住権の申請が可能です。
その際には、永住権の必要書類に加えて高度専門職ビザにも該当する証明書類の提出が必要になります。
高度専門職ポイントの計算方法
高度専門職ビザポイント計算表は、該当する就労ビザの種類によって高度専門職イ・ロ・ハと種類が分かれています。
どの計算表を使うのか、ご自身の該当する就労ビザをご確認ください。
高度専門職ポイント計算表はこちら(日本語版)
高度専門職ポイント計算表はこちら(英語版)
高度専門職のポイントは、ざっくり分けると下記の項目でポイントを取得できます。
高度専門職のポイント分類
- 学歴
- 職歴(実務経験)
- 年収
- 年齢
- 研究実績(論文の有無など)
- 勤務先の先進性
- 日本語能力
- 国家資格の有無
細かな詳細については下記からご確認いただけます。
勤務先の先進性(イノベーション)についてはこちら(1)
勤務先の先進性(先端的事業)についてはこちら(2)
世界大学ランキングに基づき加点対象となる大学の詳細はこちら
日本語能力の一覧はこちら
国家資格の内容についてはこちら
証明方法はすべて書類を提出しますので、証明書が入手できないものは、いくら事実だとしても認めてもらえませんのでご注意ください。
ポイント計算の中で特に注意が必要なのは、「職歴(実務経験)」と「年収」です。
職歴(実務経験)の考え方
職歴(実務経験)は今まで仕事をしてきた年数ではなく、「今日本で行っている業務と同じ実務経験は何年あるか」という視点で計算します。
実務経験として含められるもの
- 正社員
- 契約社員
- 派遣社員
- 会社経営(経営管理のビザの場合のみ)
- 個人事業主(証明できる書類がある場合のみ)
パート・アルバイトについては、同じ職歴(実務経験)だったとしても経験年数には含めることはできません。
会社経営の実務経験
会社経営の経験ですが、会社経営の場合は、経営または管理の実務経験となるので、経営管理ビザの申請の際にのみ実務経験に含めることができます。
技術・人文知識・国際業務で高度専門職ビザを申請しようとする際には会社経営の実務経験に含めることはできません。
個人事業主の証明について
基本的には個人事業主の証明をすることは難しいです。
日本だと、個人事業主としての「開業届」と「毎年の確定申告の書類」などがありますが、海外の場合は個人事業主の証明書がないところが多いです。
国によっては個人事業主の証明書もあるところもあるようですが、何かしらの証明書がない場合は個人事業主の実務経験を含まることはできなくなってしまいます。
年収の考え方
年収は「過去の実績」または、「確定している今季の年収予定」のみ対象となります。
年収に含めることができるもの
- 基本給
- 固定残業代
- 賞与(決まっているものだけ)
固定残業代以外の「残業代」は、どの程度残業するのか確定事項でないため、年収に含めることはできません。
「賞与」に関しても、業績に応じて支給ということであれば含めることはできず、会社から賞与予定金額などの証明書を発行してもらえれば、収入に含めることも可能ですが、会社からそのような証明書をもらうのは現実的ではありません。
永住申請後に転職をする場合は要注意
永住権の審査は、「申請時」の高度専門職のポイントを見ています。
そのため、申請後にポイントが減ってしまっても「申請時」にポイントがあれば高度専門職として永住権の審査をしてくれます。
注意点としては、「申請後に転職」をする場合です。
申請後に転職をした場合の注意点
- 永住権の「申請後」に転職した場合は、「転職後」のポイントで審査される
- 収入に安定性・継続性があるか
永住権の「申請後」に転職をした場合は、「転職後」のポイントで審査される
高度専門職ビザから永住権申請する場合は、「申請時」のポイントで審査されるとお伝えしました。
しかし「申請後に転職をした場合」は、「転職後」のポイントで審査されることになります。
そのため申請時に高度専門職ポイント表の点数を満たしていたとしても、転職後にポイントが減ってしまう場合は、その点数での審査になりますのでご注意ください。
収入に安定性・継続性があるのか
日本の永住権の審査では、「転職」はあまりポジティブではありません。
転職が多かったりすると、収入の安定性と継続性がないと判断されてしまう場合があります。
ただし全ての転職がダメというわけではなく、「例えば年収100万円以上あがる」などの転職であればキャリアアップのための転職であることは明確なのでポジティブにとらえてもらえます。
これが「年収20万円あがる」「年収は同じ」「年収が下がる」などの場合には、審査でネガティブに評価されてしまいます。
そのため永住権の申請後には、許可がおりるまではなるべく転職をしない方が良いかと思います。
審査期間はどのくらいか?
高度専門職ビザからの永住権だとしても永住権申請では、審査の優遇措置はありません。
東京の場合ですと、6か月~8か月ほどになります。
地方の場合だと、3か月~4か月で結果が出る場合もありますが、入管の込み具合によって審査期間は変わってきます。
また永住権申請の場合は、よく追加資料を求められることがあります。
追加資料を求められ、その資料を提出するまでの間は審査が止まっているので、追加資料を求められるとその分、審査に時間がかかってしまいます。