定住者ビザから永住申請する要件と必要書類について
定住者ビザから永住申請する場合は、一般の外国人より居住年数の要件が緩和されています。
定住者の方が永住権の申請をするためには、「定住者ビザを取得した後から,引き続き5年以上日本に在留している場合」に可能となります。
また定住者ビザは、日系人の外国人や日本人と結婚した外国人の連れ子など、様々な事情で定住者ビザを取得している方がいます。
定住者ビザは、他の在留資格(就労ビザなど)と違い、様々な事情の方がいます。
今回はそんな定住者ビザから永住申請をするための要件について解説していきます。
目次
定住者ビザから永住申請する基本要件とは?
定住者ビザから永住申請するための基本要件は下記となります。
定住者ビザから永住申請する要件
- 定住者ビザで5年以上日本に在留している
- 1年間で出国日数が120日以内であること
- 3年以上のビザを持っていること
- 収入300万円以上あること
- 社会保険に加入していること
- 税金の未払いがないこと
- 素行要件(犯罪歴など)
定住者ビザで5年以上日本に在留している
定住者ビザから永住申請するためには、「定住者ビザを取得してから引き続き5年間」経たないと申請できません。
一般の外国人だと、10年間日本に住んでいないといけないですが、定住者ビザの場合は5年間と半分に短縮されています。
1年間で出国日数が120日以内であること
定住者ビザは、定住者ビザを取得してから引き続き5年間日本に住んでいれば、永住申請することができます。
この「引き続き5年間」の意味としては、日本からの出国日数が多いと、引き続き住んでいるとカウントできなくなってしまいます。
日本からの出国できる目安
- 1回の出国で3か月以内
- 1年間で合計、120日以内
上記の日数以上出国する場合は、仮に出張で日本から出国していたとしても、永住申請では引き続き日本に暮らしているとは判断してもらえない可能性が高いです。
また1年間の合計で120日以内という基準は、法律上決まっているものではなく、入管内部の審査基準で判断されており、安全なラインは年間100日以内です。
3年以上のビザを持っていること
定住者ビザは、5年、3年、1年、6ヶ月の4種類あります。
定住者ビザを持っていても、「5年または3年のビザ」でないと永住申請はできません。
収入300万円以上あること
永住申請には、収入要件があります。
必要な収入金額も明確に決まっているわけではないですが、「年収300万円」が1つのラインとなります。
これは、扶養家族がいない場合の基準収入金額になりますので、扶養家族がいる場合は、扶養家族1人あたり、+70万円がプラスで必要になってきます。
5年間すべての収入金額が審査される
永住申請する際には、「5年分の収入金額」が審査されます。
この5年間すべてにおいて基準金額(年収300万円)以上あることが許可の条件となっています。
仮に1年間だけ年収が少なかっただけでも不許可になってしまいます。
ただし、年収が少なかった理由(例:入院していたなど)が特段の事情に該当すると判断してもらえれば、許可の可能性はあります。
ですが、特段の事情に該当する理由は少ないのですので、基準年収金額を超えるように年収金額には意識しておくようにしてください。
社会保険に加入していること
永住申請の場合は、「社会保険の加入が必須」となっています。
以前の永住申請では、審査対象ではありませんでしたが、現在は「健康保険と年金の両方が審査対象」となっています。
勤務先の会社で加入して給与から天引きされていれば大丈夫ですが、個人で加入している場合には注意が必要です。
社会保険は支払っていればOKではなく、「支払いに遅延があるだけでも不許可理由」となります。
社会保険の支払いは「過去2年分審査されます」が、この間に3回以上遅延があると審査に悪影響が出てきます。
会社経営者は会社での加入が必須
会社経営をしている方は、会社で必ず社会保険に加入する必要があります。
従業員がいない場合でも、会社の場合は社会保険加入が必須ですので、個人で国民健康保険と国民年金に入っていたとしても、会社で加入していない場合は、永住申請の不許可原因となります。
税金の未払いがないこと
永住申請では、「住民税」「国税(所得税など)」の税金が審査対象となります。
住民税はビザ更新の際にも提出する書類なので馴染みがあると思いますが、永住申請の場合は、国税(所得税など)も審査されます。
「住民税は過去5年分」、「国税は未納がない証明」を取得することになります。
納税証明書の取得場所について
住民税の課税証明書と納税証明書は、「最寄りの市区町村役場にて取得」します。
取得できる役所は、取りたい年度の1月1日に住民票を置いていた役所になります。
そのため引っ越しをしている場合は、以前の役所にて取得する必要があります。
(例:令和4年の納税証明書は、令和4年1月1日に住民票があった役所で取得)
国税の納税証明書は、今住んでいる「最寄りの税務署」で取得します。
取得する項目は、納税証明書その3で「源泉所得税及復興特別所得税」「申告所得税及復興特別所得税」「消費税及地方消費税」「相続税」「贈与税」の項目のものが必要になります。
納税証明書その3は何年分ではなく、書類発行時に未納があるか、ないかのみ、表示されるものになります。
素行要件(犯罪歴など)
永住申請では、素行要件も審査対象です。
素行要件では、「犯罪歴」と「今までの在住状況」が審査されることになります。
犯罪歴では、懲役や禁錮刑がある人は、その刑が終了してから一定の年数が経たないと永住許可はされません。
懲役刑などがある場合の目安
- 懲役・禁固刑は、出所後10年を経過した後
- 執行猶予の場合は、執行猶予期間満了後5年を経過した後
- 罰金・拘留・科料は、支払いを終えた後5年を経過した後
また犯罪歴には、「交通違反」も含まれます。
交通違反は過去5年分審査されますが、駐車違反などの軽微なものも含まれます。
軽微なものであっても直近2年間で、3回以上あると不許可になるリスクが高まるので、運転される方は違反がないように注意してください。
身元保証人について
永住申請の場合は、身元保証人が必要になります。
身元保証人は、「日本人または永住者の方」でないとなれません。
また2022年6月に永住申請の身元保証人の要件が変更され、今までは身元保証人の収入金額を確認する書類(納税証明書など)が必要とされていましたが、不要になりました。
身元保証人の方が用意する書類としては、身元保証書と身分証明書(永住者の方は在留カード)のみとなっています。
必要書類について
定住者ビザから永住申請をする場合の必要書類は下記となります。
定住者ビザから永住申請する必要書類
- 永住許可申請書
- 写真(縦4㎝×横3㎝)※撮影から3か月以内のもの
- パスポート
- 在留カード
- 了解書(2021年10月から必要書類となりました)
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- 理由書(永住申請する理由)
- 定住者ビザの内容の書類(戸籍謄本・出生証明書・婚姻証明書・認知届の記載事項証明書など)
- 住民票(世帯全員分のもの)
- 在職証明書
- 確定申告書控えの写し(会社経営の場合のみ必要)
- 直近5年分の住民税の課税証明書
- 直近5年分の住民税の納税証明書
- 税務署発行の納税証明書その3
(源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税に係るもの) - 通帳のコピー
- ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面(ねんきん定期便でも可。ねんきん定期便の場合は、全期間分記載されているものに限る)
- 国民年金の被保険者記録照会(納付Ⅰと納付Ⅱ)
※直近2年間で、国民年金に加入していたことがある場合のみ必要 - 国民年金の被保険者記録照会回答票
※直近2年間で、国民年金に加入していたことがある場合のみ必要 - 健康保険証のコピー
- 国民健康保険料(税)納付証明書
※直近2年間で、国民健康保険に加入していたことがある場合のみ必要 - 身元保証人の身分証明書(運転免許証など。外国人の場合は在留カード)
※2022年6月からこちらの内容に変更になりました。 - 身元保証書
※2022年6月からこちらの内容に変更になりました。
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