家族滞在ビザの家族と一緒に永住申請する方法と要件について

永住申請をする際、家族滞在ビザの家族(配偶者や子)と一緒に申請したいと思う方も多いと思います。
通常、永住申請するには、日本に10年以上引き続き住んでいないと申請ができませんが、家族滞在ビザを持っている家族の場合には、就労ビザの家族が永住申請する場合に限り、最短3年(婚姻生活が3年以上ある場合は1年居住)で永住申請ができるようになります。
その他にも年収の要件や納税要件など様々ありますので、この記事では、家族滞在ビザの外国人が、就労ビザで働く家と一緒に永住申請する方法についてご説明していきます。
目次
監修者

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行政書士法人フォワード
塩野 豪 GO SHIONO行政書士 Immigration Lawyer
フィリピン・カナダに合計5カ月居住し、海外での生活の大変さを知る。
その後、2016年に行政書士として独立して、ビザ申請代行サービス「ビザプロ」を開始する。
その後、累計400社・45か国以上の方の在留資格(ビザ)サポートを行う。
その他にも、日本法人の設立などのサポートを行い、外資系の日本進出コンサルティングも行っている。
人材紹介会社・管理団体・専門学校等とも顧問契約を結び、入管業務に特化したコンサルティングサポートを展開し、セミナー講師も積極的に行っている。
家族滞在ビザの家族と一緒に永住申請する方法
原則として、家族滞在ビザの家族は単独で永住申請しても許可されません。
そのため家族滞在ビザの外国人は、就労ビザの家族(配偶者または親)と一緒に永住申請する必要があります。
理由としては、家族滞在ビザは就労ビザの家族(配偶者または親)から扶養を受けることを条件に認められているビザであり、家族滞在ビザの外国人はあくまでも就労ビザで働く家族(配偶者または親)の付き添いであるため、家族滞在ビザの外国人のみで日本に暮らすことはできません。
そのため、家族滞在ビザの家族が永住申請したい場合には、就労ビザの家族(配偶者または親)と一緒に永住申請しますが、就労ビザの家族(配偶者または親)が不許可になれば、家族滞在ビザの家族の永住申請も当然不許可になります。
家族は永住者の配偶者の要件で申請できる
通常、外国人が日本の永住申請できるようになるには、日本に引き続き10年以上住む必要があります。
しかし永住者の配偶者になると、居住要件が10年から3年まで短縮されます。
※結婚生活が3年以上ある場合は、1年まで短縮されます。
そのため、就労ビザの家族と同時申請するタイミングでは、就労ビザの家族はまだ永住者ではないですが、永住申請が許可されて「永住者」となることを前提として、その家族(家族滞在ビザ)も「永住者の配偶者等(配偶者または子ども)」になるとして、永住者の配偶者の要件で同時申請できるようになります。
例えば、就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)の夫が10年以上日本に住んでいるので、永住申請をする場合、家族滞在ビザで一緒に暮らしている妻と子どもも、3年以上日本に一緒に暮らしているのであれば、夫の永住申請が許可されることを前提に、夫と一緒に永住申請を一緒にすることができます。
高度専門職で永住申請する場合は注意
高度専門職ビザの場合には、70ポイント以上あれば最短3年居住、80ポイント以上あれば最短1年居住で永住申請が可能になります。
しかし高度専門職ビザで永住申請する場合には、高度専門職ビザの優遇措置は、高度専門職ビザを持っている外国人のみに有効となるので、その家族は対象外となります。
そのため、高度専門職ビザの家族(家族滞在または特定活動)は、高度専門職ビザの家族と一緒に申請できないことが多くあります。
特に高度専門職ビザのポイントが80ポイント以上あり、居住1年で永住申請する場合には、高度専門職ビザの外国人しか永住申請はできなく、家族滞在ビザの家族が永住申請するためには、明確な基準はありませんが目安としては、少なくても3年以上は日本に暮らしてから可能になります。
家族一緒に永住申請ための要件は?
家族と一緒に永住申請するためには、「結婚年数」と「日本での居住年数」が重要になります。
具体的には、下記の6つの要件をすべてクリアしている必要がありますので、該当しているか確認してみてください。
家族一緒に永住申請するための要件
- 実態のある婚姻生活が3年以上、日本居住が引き続き1年以上あること
- ビザの年数が3年または5年であること
- 安定した収入があること
- 納税義務を履行していること
- 社会保険の支払いを行っていること
- 素行が良好なこと
実態のある婚姻生活が3年以上、日本居住が引き続き1年以上あること
実態のある婚姻生活とは、法律的に認められた結婚をしており、結婚しただけではなく「結婚後に一緒に住んでいること」が必要です。
結婚はしたが、海外と日本で離れて暮らしていたとなると「実態のある婚姻生活」としてはカウントされませんので、結婚して海外で一緒に生活をしていたか、日本で一緒に暮らしている期間のどちらかのみ含めることができます。
この婚姻生活は3年必要とされていますので、日本で結婚した場合には、結婚してから日本に3年以上住んでいることが必要です。
海外で結婚期間が3年あれば日本居住は1年のみでOK
海外で結婚し、すでに結婚期間が3年以上ある場合は、日本への居住は1年のみで永住申請ができます。
ただし日本居住1年と言うのは、「引き続き1年以上」と言われており、「引き続き」の意味としては、日本に住民票があるだけではなく日本から出国が少ないことを意味しています。
日本からの出国の基準は、「1回の出国で3ヶ月以上連続で出国している」「1年間の合計で100日以上出国している」場合に該当します。
ただし、1年間の合計100日以上というのは、公表されている日数ではなく、永住申請が安全に許可される日数ですので、120日あっても許可されるケースはありますが、年々審査は厳しくなっていますので、出国日数には注意が必要です。
また子どもの場合は、この日本に引き続き1年以上住んでおり、ビザの年数が3年または5年あれば同時申請が可能となります。
ビザの年数が3年または5年であること
永住申請では、ガイドラインに「現に有している在留資格について最長の在留期間をもっていること」という記載があります。
もともと最長年数は3年でしたが、法改正により5年が最長となったため、現在では3年と5年の両方の年数のビザが認められるようになりました。
そのため1年の家族滞在ビザの場合には、他の要件をクリアできていたとしても永住申請は許可されません。
その他にも「収入」や「納税状況」「社会保険の加入状況」「法令違反等」などの要件もあり、これらもクリアしている必要があります。
安定した収入があること
永住申請には、安定した収入があることが求められています。
理由としては、永住権取得後も安定して生活できていけることが保証されないと、生活保護の申請や犯罪を犯してしまう可能性があり、日本の財政や治安に影響してくるからになります。
そのため永住申請では、収入要件を厳しく審査しており、家族滞在ビザの家族が就労ビザの家族と一緒に永住申請する場合は、就労ビザの家族の収入がとても大切になります。
家族滞在ビザの家族も資格外活動許可を取得して週28時間以内のアルバイトをしているかもしれませんが、アルバイトの収入は含めることができません。
含めることができるのは、就労ビザの家族の収入のみです。
そして必要な収入は、過去5年間すべてにおいて年収300万円以上で、家族滞在ビザの家族を扶養始めた年からは、扶養人数1人あたり+70万円が必要となります。
そのため例えば、家族3人暮らしで夫が就労ビザで、妻と子どもが家族滞在ビザの場合は、夫の収入は妻と子が家族滞在ビザを取得した年からは440万円以上の年収が必要になります。
収入の証明方法は?
収入の証明方法は、役所で取得できる「住民税の課税証明書」で証明します。
※年末に会社からもらえる源泉徴収票ではないので、注意してください。
住民税の課税証明書は、前年の1月1日~12月31日の1年間の収入金額が記載されているもので、毎年5月中旬から6月上旬に発行されます。
注意点としては、住民税の課税証明書は、前年の収入金額の証明書となるので、永住申請を申請する時期によっては役所で取得できる課税証明書の金額が古い年度のものとなってしまいます。
あとは複数の会社から給与があり確定申告している場合、源泉徴収票の金額をすべて足した金額が住民税の課税証明書に出てくるのではなく、確定申告後の所得金額が課税証明書に記載されますので、注意してください。
納税義務を履行していること
永住申請は、今までの納税状況を審査しますので、税金を支払っていることは当然として、今までの遅延状況も確認されます。
審査される税金としては、過去5年間の住民税・所得税の2つで、就労ビザの家族だけでなく、家族滞在ビザの家族の納税状況の両方が対象です。
そのため、たまに家族滞在ビザの家族が週28時間以内しかアルバイトができないにも関わらず、週28時間以上働いてしまうオーバーワークをしてしまっている場合があります。
この場合は、法律違反になるので、永住申請は確実に不許可となります。
社会保険の支払いを行っていること
社会保険(健康保険・年金)は税金とはされていないですが、過去2年分の社会保険(健康保険・年金)も審査対象となっています。
社会保険は給与から天引きされていれば問題ないですが、勤務先の会社が小さい場合は、給与天引きではなくご自身で支払う手続きになっていることがあります。
その場合は社会保険の支払い遅れ(遅延)に関して注意が必要となります。
また転職時、退職から新しい会社に入社するまでに間が空いてしまっていると、一度国民健康保険や国民年金に切り替えないといけないので、そういった手続きもしっかり行われている必要があります。
素行が良好なこと
素行とは、犯罪歴がないか、ルールを守れているかを確認することを言います。
犯罪歴などはわかりやすいと思いますが、素行要件の中には、就労ビザの家族が転職した時に「届出」を入管に提出しているかも含まれています。
「届出」の提出は義務で、会社を辞めた場合、新しい会社に就職した時には、その事由が発生した時から14日以内にその旨を入管に伝えることが必要です。
この届出を行っていないと、ルールを守っていない人と思われ、永住申請においても不利益に働きます。
仮に届出を出していない場合には今からでも遅くないので、入管に提出するようにしてください。
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