永住権が取り消される場合とは?
取得できれば日本に永住できる「永住権」ですが、取得後にも気を付けないと、永住権が取り消されてしまう場合があります。
今回は、永住権が取り消されてしまうケースについて、解説していきます。
目次
永住権が取り消される場合とは?
永住権とは、その名の通り取得できれば日本に永住できるビザになります。
※アメリカで言う、グリーンカードですね。
その永住権も、大きく分けて下記5つの事項に該当すると取り消されてしまいます。
永住権が取り消されるケース
- 「虚偽申請」によって永住権を取得した場合
- 「犯罪」により刑罰などを受けた場合
- 1年以上連続で日本から「出国」している場合(再入国許可を取得していればOK)
- 居住地登録などの「義務手続き」をしていない場合
- 在留カードの「更新」をしなかった場合
「虚偽申請」によって永住権を取得した場合
永住権の申請では、「在留履歴」「収入」「納税状況」「貯金」「出国歴」「犯罪歴」「身元保証人の有無」など様々な審査がされます。
この中で、内容を偽って嘘の書類や内容を提出している場合には、そもそも永住権の取得要件を満たしていなかったとして、永住権の取り消しが行われます。
永住権を取得後に日本人とすぐに離婚する場合は注意
日本人と結婚していることで条件を緩和されて永住権を取得した外国人が、永住権を取得後、すぐに離婚するということがあります。
基本的には、永住権取得後に離婚しても永住権は取り消されません。
しかし、永住権を取得するために夫婦生活がすでに崩壊しているにも関わらず、永住権取得のために結婚生活が続いていることを偽って永住権の申請をすると、のちに問題となる場合があります。
たまたま、永住取得後に離婚となってしまったのであれば大丈夫ですが、結婚生活がうまくいっていっているように見せかけて申請するのは行わないようにしてください。
犯罪により刑罰などを受けた場合
何か違反したらすぐに永住権が取り消されるわけではありません。
犯罪にも「軽犯罪」と「重罪」のものとがあります。
永住権が取り消されるのは「重罪」のほうです。
駐車違反などで永住権が取り消されることはないのでご安心ください。
では、重罪とはどういった犯罪かと言うと「懲役刑や禁固刑を受けた場合」と考えといていいと思います。
重罪では、1年以上の懲役刑(執行猶予を除く)の場合には強制退去になり、永住権の取り消しが行われます。
また「薬物」や「売春」の犯罪には特に厳しいので、すぐに永住権が取り消されると思っておいてください。
1年以上連続で日本から出国している場合(再入国許可を取得していればOK)
永住権は、名前の通りで、日本に永住するためのビザ(在留資格)になります。
そのため、「日本に住んでいないのであれば永住権も不要」と考えられています。
しかし仕事や家族の看病など様々な理由で、日本から出国しないといけないこともあると思います。
そこで、日本に住んでいないという目安を1年間としています。
1年以上連続で日本から出国する場合には、「再入国許可」を取得してから出国することで、1年以上の長期の出国ができ、永住権も取り消されることはありません。
1年以内の出国の場合には、「みなし再入国」という制度があり、「一時的な出国で、すぐに日本に戻る」みなされているので、1年以内の場合は特に手続きは不要です。
居住地登録などの義務手続きをしていない場合
在留カードがあり日本に滞在している外国人は、日本に住民登録をしないといけません。
永住権は日本にずっと住むビザなので、長期の出国だとしても拠点は日本と考えます。
そのため、日本に住民登録がないといけなく、住民登録がない場合には、永住権の取り消しの対象となります。
また引っ越しした際には、「引っ越しをした日から14日以内」に引っ越しをした旨を役所に届け出ないといけません。
こういった義務を守れない場合には、永住権の取り消しとなり得ます。
在留カードの更新をしなかった場合
永住権を含めた全てのビザ(在留資格)は、在留カードの更新を行わないといけません。
「永住権は更新がない」と言われますが、日本人でいう運転免許証の書き換えのような手続きは存在します。
永住権の場合は「7年に1回」行う必要があり、審査等はなく、写真を変えたり内容を確認する作業になります。
永住権の更新(書き換え)は、「期限の2ヶ月前」から行うことができ、期限までに更新を行わなかった場合には、永住権が取り消されます。
事情があって、更新の期限の時に日本にいれないときには、先んじて手続きができないか入管に相談するようにしてください。
期限が1日でも過ぎてしまうと永住権は取り消されてしまいます。
永住権が取り消されたら、どうなるのか?
永住権が取り消されてしまった場合、すぐに強制退去させられるわけではありません。
特に犯罪を理由に永住権の取り消しとなった場合には、下記のような手順で進んでいきます。
永住権の取り消し後の流れ
- 意見聴取
- 法務大臣による判断
- 永住権の取消し(他のビザに変更できる場合もあります)
- 退去強制手続きまたは指定された期間内に出国
仮に強制退去になってしまうと、日本に5年間入国できないという入国拒否期間があり、すぐには日本に来れません。
また他のビザに変更でき日本にいれたとしても、再度永住権を取得するためには、厳しい要件を再度クリアしていかないといけないので、とても大変です。