高度専門職の年収に賞与(ボーナス)と残業代は入れられるのか?

高度専門職ポイント計算表で判断が難しいのが「収入(年収)」です。
収入と一言で言っても、「基本給」「固定残業代」「残業代」「賞与(ボーナス)」「交通費」「住宅手当」など含めて年収が決まってきます。
高度専門職のポイントは、「基本給」「固定残業代」のみが原則対象となります。
賞与(ボーナス)は、確定しているものであれば算入可能ですが「会社の業績または個人の成績に応じて支給される賞与」の場合は、高度専門職ポイント計算表の収入には含めることはできません。
残業代も「固定残業代」として月額給与の中に組み込まれていない残業代は、確定している残業代ではないので含められません。
そこで今回は、高度専門職ビザをを申請する際の収入についてのポイント計算について、細かく説明していきたいと思います。
目次
監修者

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行政書士法人フォワード
塩野 豪 GO SHIONO行政書士 Immigration Lawyer
フィリピン・カナダに合計5カ月居住し、海外での生活の大変さを知る。
その後、2016年に行政書士として独立して、ビザ申請代行サービス「ビザプロ」を開始する。
その後、累計400社・45か国以上の方の在留資格(ビザ)サポートを行う。
その他にも、日本法人の設立などのサポートを行い、外資系の日本進出コンサルティングも行っている。
人材紹介会社・管理団体・専門学校等とも顧問契約を結び、入管業務に特化したコンサルティングサポートを展開し、セミナー講師も積極的に行っている。
高度専門職1号のポイント計算表とは?
高度専門職ビザを取得するためには、法務省が出している「高度専門職ポイント計算表」にて70ポイント以上を取得できていることが必要です。
そして高度専門職ビザは、1号と2号に分かれており、まずは1号を取得することになります。
1号はイ・ロ・ハの3種類に分かれており、高度専門職1号イ・ロ・ハのどれを申請するかは、日本で行う仕事内容によって変わってきます。
ポイント計算表(日本語版)
Point Calculation Table(English Version )
高度専門職ポイント計算表のエクセルでは、タブでイ・ロ・ハが分かれているので間違えないようにしてください。
そしてイ・ロ・ハによってそれぞれポイントが取得できる項目が決まっておりますので、一般的にどういった項目でポイントが取得できるか確認していきましょう。
高度専門職のポイント項目
- 学歴
- 職歴(実務経験)
- 年収
- 年齢
- 研究実績(論文の有無など)
- 勤務先の先進性
- 日本語能力
- 国家資格の有無
- 卒業した大学の世界ランキングの順位
ざっくりと、上記の学歴・経歴によって取得できるポイント数が変わっています。
そして、項目によってポイント数が変わり、合計で70ポイント以上ある場合は、「自分で高度専門職に該当します」と申請を出すことで、高度専門職ビザを取得することができます。
また70ポイント以上で高度専門職ビザの取得は可能ですが、80ポイント以上だと1年後に永住申請ができるなど、さらに優遇措置を受けることができます。
高度専門職ビザの「メリットなどの基本情報」についてはこちら
高度専門職ビザから「永住権の申請」をしたい方はこちら
年収はどうやって計算するの?
高度専門職ポイントで、年収は過去実績と将来の予測年収、どちらで計算するのでしょうか?
すでに働いている場合は、「過去の年収」も審査され、加えて「将来の予測年収」も審査されるので、どちらも審査対象になります。
※過去実績のみ対象というサイトもありますが、将来の予測年収も対象になります。
例えば、学生から社会人になると同時に高度専門職ビザを申請する場合は、就労実績がないので過去の年収は審査されず、「将来の予測年収」のみ審査されます。
高度専門職の「年収」の考え方
- 就労実績がある場合は、「過去の実績年収」と「将来の予測年収」どちらも審査対象
- 就労実績がない場合は、「将来の予測年収」のみ審査対象
すでに就労ビザで働いている外国人の場合は、過去の年収実績に加えて、「将来の予測年収も審査対象」になってきます。
その際に特に大切なのは、将来の予測年収です。
過去の年収実績は、将来の予測年収と比較して、将来の予測年収が実現可能なものかどうか判断するために確認しています。
例えば、過去の年収が300万円で、将来の予測年収が500万円であると、ポイントを取得するために多く申告しているのではないか?と疑われてしまいます。
収入金額は額面?手取り?
収入(年収)と言うと、税金を引かれる前の「額面」と、税金を引かれた後の「手取り」の2つの考え方があります。
高度専門職ビザの収入の考え方は、税金を引かれる前の「額面」の金額となります。
税金や社会保険を引かれた後の手取り額では金額が低くなってしまいますので、引かれる前の金額で計算してもらえればと思います。
賞与は年収に含められる?
年収と言っても、「基本給」「固定残業代」「残業代」「賞与(ボーナス)」「交通費」「住宅手当」など様々あります。
高度専門職1号ビザの年収にカウントできるものは決まっており、基本的には下記の3つのみとなります。
高度専門職ビザの年収に含められるもの
- 基本給
- 固定残業代
- 賞与(ボーナス)※確定しているものだけ
基本給と固定残業代は、個人成績や会社の業績によって左右されるものではなく、給与としてもらえることが確定しているものなので、年収として含めることができます。
そして、「賞与(ボーナス)」についても、確定しているものは年収として含められます。
「賞与(ボーナス)」の注意点は?
賞与(ボーナス)には、収入として算入できるものとできないものがあり、収入として含められるのは、「確定している賞与(ボーナス)だけ」です。
「会社業績に応じて支給される賞与(ボーナス)」「個人成績によって支給される賞与(ボーナス)」は、金額が確定していないため含めることはできません。
これは「過去に賞与(ボーナス)の実績があったから、同じ賞与(ボーナス)の金額を含めてもいいのではないか?」という考え方もできますが、会社業績によっては支払われない可能性もあるため、収入に加えることはできなくなってしまいます。
ただし、会社から「賞与(ボーナス)の支払い予定証明書」や「今期の収入証明書」をもらうことができれば、会社が保証してくれていると判断できるので、賞与(ボーナス)を含めることが可能になります。
最低年収とは?
高度専門職1号ビザの中でも、高度専門職1号ロ(技術・人文知識・国際業務など)で年収加点できるのは、400万円以上からになります。
年収でポイントが取得できなくても、他の項目で70ポイント以上あれば、高度専門職ビザが許可されますが、年収が300万円以下の場合には、他の項目で70ポイント以上取得できていても、高度専門職ビザは認められませんのでご注意ください。
注意点
年収が300万円以下の場合は、他のポイントで70ポイント以上あっても高度専門職ビザは認められません。 |
残業代は年収として認められない?
上記で、「会社業績に応じて支給される賞与(ボーナス)」は年収に含めることはできないとご説明させていただきました。
高度専門職ビザの年収は、確定されている収入のみが対象となり、どのくらいもらえるかわからない収入は、不確定事項として判断されるため、年収に含めることができなくなってしまいます。
そのため、固定残業代以外の「確定していない残業代」についても年収に含めることはできません。
年収として認められないもの
- 賞与(ボーナス)※会社業績に応じて支給されるもの
- 残業代(固定残業代以外のもの)
- 交通費
- 家賃手当
残業代について
残業代とは、仕事の内容に応じて時間外で働くことになった場合に支払われるものです。
そのため「将来、いつ・何時間残業するのか?」は不確定事項のため高度専門職ビザの年収に含めることはできません。
昨年の実績で「月平均〇〇時間の残業があった」という実績があったとしても、今期も同じだけ残業が発生するかはわかりません。
例えば固定残業代以外で、毎月の残業時間が決まっており、会社から「今期も残業が月〇〇時間以上ある」と確定した証明書を発行してもらえるのであれば、その分の残業代は年収に含めることはできるようになります。
交通費や家賃手当は対象外
会社から毎月振り込まれる給与の中には、交通費や家賃補助などが含まれる場合があります。
この交通費や家賃手当、その他の補助費用については、労働対価としてもらっているものではないので、高度専門職ビザの収入に含めることはできません。
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