高度専門職ビザの「職歴」のカウント方法と注意点について
今回は、高度専門職ビザ取得の際のポイント計算表の「職歴」のカウント方法について解説していきます。
高度専門職ビザの職歴は、ポイント加算できる大切な項目ですが、カウント方法が間違っていると、高度専門職ビザが認められない場合もあるので注意が必要です。
目次
高度専門職ビザとは?
高度専門職ビザとは、就労ビザの1つで「高学歴」「高収入」「実務経験が豊富」などの外国人が取得できる、ハイスペック向けの就労ビザです。
そして高度専門職ビザは現在「ポイント制で管理」されており、該当するポイント数が70ポイント以上で取得することができます。
また、高度専門職ビザは1号と2号に分かれており、1号を取得し3年経過後に2号の申請ができるようになります。
高度専門職1号及び2号には、それぞれメリット・デメリットがあるので、理解したうえで申請する必要があります。
高度専門職1号を取得するメリット
- 5年のビザがもらえる
- 2週間~1か月ほどで審査をしてもらえる
- 親を日本に呼ぶことができる(条件あり)
- 永住権の申請が早くできるようになる(1年後~3年後)
- 家事使用人を雇うことができる(条件あり)
- 配偶者もフルタイムで働くことができる(条件あり)
- 今の仕事と関連する仕事であれば、資格外活動許可なしで複数の仕事ができる
メリットに感じるのは、人それぞれだと思いますが、一般的な就労ビザに比べると優遇措置が多くあります。
申請する高度専門職ビザの種類について
高度専門職ビザは、「1号イ」「1号ロ」「1号ハ」の3種類に分けらています。
それぞれ行う仕事内容によってポイントが異なるので、確認するエクセルのシートにご注意ください。
高度専門職ポイント計算表はこちら(日本語版)
高度専門職ポイント計算表はこちら(English版)
申請する高度専門職ビザの種類
- 1号イ=教授
- 1号ロ=技術・人文知識・国際業務
- 1号ハ=経営管理
一般的な就労ビザは、「技術・人文知識・国際業務」になるので「1号ロ」で申請すること多いですが、大学教授や会社経営の場合には、使用するポイント計算表が違うのでご注意ください。
ポイント加算できる項目とは?
高度専門職ビザは、「高度専門職ポイント計算表」で70ポイント以上獲得できれば、取得可能となります。
今回は、一般的な就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)でのポイント計算表(1号ロ)に基づいて説明していきます。
ポイントの対象となる主な項目(1号ロ)
- 学歴
- 職歴
- 年収
- 年齢
- 研究実績(特許や論文など)
- 国家資格の有無
- 勤務先企業の成長性(規定あり)
- 外国のハイレベルな資格の有無
- 日本語能力
- 卒業した大学等のレベル
高度専門職ポイント計算表はこちら(日本語版)
高度専門職ポイント計算表はこちら(English版)
上記以外にも、細かな加点ポイントがありますが、主なポイントは上記です。
どれに該当するのかを「証明できる書類を提出する」ことで入管に認めてもらい、70ポイント以上で高度専門職ビザの取得ができます。
認められる「職歴」とは?
高度専門職ビザポイント計算表の中でも、「職歴」は高ポイントが獲得できる項目です。
この「職歴」のポイントは、単に社会人経験年数を聞いているわけではありません。
「職歴」に加算できる内容
- 「日本の企業で行っている業務内容と同じ仕事の経験年数」のみカウントできます。
例えば、今「営業」の仕事を7年している場合で、過去に「英会話講師」の経験を3年したことがあったとしても、合算して10年とはなりません。
今行っている「営業」の仕事を違う会社や、海外にいる際に行っていたのであれば、加算できますが、違う職種の仕事は加算できません。
職歴の計算のポイント
- 日本で行う仕事内容と同じ業務の経験のみカウントする
- 複数社での経験であっても合算が可能
- 海外で仕事をしていた経験も合算可能
ポイント加算できるのは、正社員や契約社員のみ
「職歴」の加算は、正社員や契約社員など「フルタイムで働いていたもののみ加算可能」です。
アルバイトやパートで働いていたものは職歴として加算できません。
会社経営や個人事業主として働いていたものは加算が可能ですが、特に個人事業主の場合には、証明がとても難しくなります。
国によっては、個人事業主も国に登録が必要なので、その場合には個人事業主として働いていた証明書を発行できますが、ほとんどの国では、個人事業主として働いていた証明をすることは難しいです。
さらに個人事業主として、その事業がメインであったことを証明することも難しいですが、ポートフォリオなど、客観的に証明できるものがあれば認めてもらえる可能性が上がります。
まずは何か証明できる方法を探してみてください。
「職歴」の証明方法について
職歴の証明方法は、「在職証明書で証明」します。
在職証明書とは、過去または今、勤務していたことを証明するもので、会社から発行してもらいます。
在職証明書の発行の注意点
- 勤務していた時期(入社日と退社日)を明確に記載する
- 行っていた業務内容を記載する
- 会社名と代表者などのサインをしてもらう
- 電話番号を記載してもらう(あった方がよい)
上記①~③は必ず、在職証明書に記載してもらう必要があります。
この記載がないと、高度専門職ポイント計算表の職歴年数に該当するか判断できないからです。
④については、記載があった方が望ましい項目です。
理由としては、在職証明書は偽装がしやすい書類になるため、入管も審査の中で直接会社に電話して確認する場合があります。
「会社が本当に存在しているのか」「本当に働いていたのか」などを審査の中で確認する必要があると感じた場合に電話で確認を行っています。
すでに倒産している会社はカウントできない
過去に本当に職歴(実務経験)があったとしても、その会社が倒産してしまっていて、在職証明書をもらえない場合は、職歴として認めてもらえません。
倒産していても、当時の社長に在職証明書を発行してもらうことができ、会社が存在していたことが証明できれば、入管に認めてもらうこともできます。
しかし、社長からの在職証明書が取得できない場合には、残念ながらその職歴の合算はできなくなってしまいます。
ポイント計算の注意点とは
高度専門職ポイント計算表の「職歴」についてご説明してきました。
ここでは職歴で高ポイントが取得できても、高度専門職ビザがそもそも認められないケースがあるので、お伝えさせていただきます。
それは、「年収が300万円以下」「国際業務の仕事内容」の場合です。
年収が300万円以下は認められない
いくら他の項目で70ポイントを取得できても、年収が300万円以下の場合には、高度専門職ビザは許可されません。
昨年が年収300万円以下の場合には、今年が確実に300万円以上になる旨の「年収証明書」を会社が作成してくれれば問題ありません。
国際業務の仕事内容は高度専門職ビザの対象外
高度専門職ビザの1号ロは、技術・人文知識・国際業務での仕事内容がメインとなりまが、「国際業務」は高度専門職ビザの対象外となります。
技術・人文知識・国際業務の中の「国際業務」には、「語学学校の教師」「翻訳通訳」「海外取引業務」などが含まれています。
海外取引業務は、国際業務に該当しますが、人文知識の要素も入るので、必ずしも高度専門職ビザの申請ができないわけではありません。
しかし、語学学校の先生や翻訳通訳のみで就労ビザを取得している場合、高度専門職ビザが認められないことがほとんどです。
今の就労ビザが、国際業務のみで取得できているか、人文知識も含めて取得できているかの判断はとても難しいですが、少なくても語学教師の職歴の在職証明書を提出しても、国際業務が高度専門職ビザの対象外となっている以上、職歴として認めてもらうことは難しくなります。