転職したら「就労資格証明書」の手続きは必要か?
就労資格証明書とは何か?
就労資格証明書とは、就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)の外国人が転職した際に、その就労ビザが転職先で行う業務内容でも該当するものがどうかを確かめるために行う申請のことを言います。
大前提
- 就労ビザは、申請を出した会社がスポンサーとして取得しているもの
- 転職しても当たり前にその就労ビザで転職先で働いていいというわけではない
今のビザ(在留資格)の仕組み
就労ビザは、「6ヶ月」「1年」「3年」「5年」の年数があり、「会社規模」「業務内容」「給与額」「外国人の在住状況」など様々な内容を審査したうえで、在留期間が決まります。
仮に5年の就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)を持っている外国人が、2年後に転職した場合、ビザはまだ3年残っています。
本来であれば、新しい勤務先で再度就労ビザの申請を出して審査できればいいのですが、同じ就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)だと、在留期限の3ヶ月前からでないと申請ができない仕組みになっています。(ビザの種類を変える変更申請は、状況が変わった時いつでも申請可能です)
ですので、新しい会社で行う業務内容が該当性があるかどうかを確かめることができない状況になってしまいます。
そのため、就労資格証明書交付申請が存在し、同じ就労ビザの在留期限が6ヶ月以上ある場合は、就労資格証明書を申請してもらっておくことで、就労ビザ更新時にもスムーズに審査を進めることができるシステムになっています。
メリット
就労ビザ更新時の不許可を避けることができる
就労資格証明書を申請するタイミングは?
就労資格証明書を申請するタイミングは、転職をして新しい勤務先で勤務を始めたタイミングになります。
ただし、今の就労ビザの期限がもうすぐであれば、この就労資格証明書の申請でなく就労ビザの更新申請を行ってください。
ではこの期限がもうすぐというのは、どの程度の期間を見ればいいのでしょうか。
目安は6ヶ月です。
6ヶ月以上まだ期限があるのであれば、就労資格証明書の申請をして、入管よりお墨付きをもらっておくのがよいと思います。
逆に6ヶ月を切っている場合は、転職をしたことを入管に届出を出し、期限3ヶ月になったタイミングで更新申請を出す流れでよいと思います。
申請した方が良いケース(具体例)
ここでは、実際にどういったケースで就労資格証明書の申請が行われているのかを見ていきたいと思います。
※就労資格証明書の手数料は収入印紙代として1,200円が必要になります。
・具体例1 在留期限が1年以上残っている場合
前職での状況
在留資格:技術・人文知識・国際業務
在留期限:6ヶ月以上残っている
転職後の状況
在留資格:技術・人文知識・国際業務
この場合には在留資格の内容は一緒になり、在留期限が6ヶ月年以上残っているので、所属機関変更の届出は行いますが、ビザの更新手続きは在留期限3ヶ月前からでないとできないので、こういったケースでは就労資格証明書の申請をして、先んじて転職後の職務内容に問題がないか確認することになります。
・具体例2 職務内容が前職と大きく変わる場合
前職での状況
在留資格:技術・人文知識・国際業務
在留期限:6ヶ月以上残っている
職務内容:海外取引業務担当(貿易業)
転職後の状況
在留資格:技術・人文知識・国際業務
在留期限:6ヶ月以上残っている
職務内容:アパレルの販売員
この場合は、外国人の行う業務内容が大きく異なり、アパレルの販売員でも就労ビザはとれますが、外国人の学歴や専攻科目、会社の規模や店舗の場所など様々な要素でビザがとれるかが決まってきます。
そのため、アパレルの販売員ができる外国人であるかどうかは、就労資格証明書の申請をしてみないと確実にはわからず、仮に該当性がないまま働けせてしまっていると更新時に不法就労と疑われてしまう場合が出てきてしまいます。
・具体例3 前職の退職が3ヶ月以上前である場合
前職での状況
在留資格:技術・人文知識・国際業務
在留期限:6ヶ月以上残っている
前職の退職時期:3ヶ月以上前
転職後の状況
在留資格:技術・人文知識・国際業務
在留期限:6ヶ月以上残っている
この場合は、外国人の在留不良と判断されてしまう可能性があります。
就労ビザは、日本で就労するためのビザなので、就労をせずに3ヶ月以上経っていると取消対象期間に入り、実際にビザが取り消されることは少ないですが、目的外のことを3ヶ月以上行っていたとなると、次回の更新の際の審査が厳しくなります。
更新時に安心して申請ができる環境にしておくためにも、就労資格証明書は有効です。