コンビニ・スーパーで外国人が就労ビザを取るための方法
近年コンビニ・スーパーで働く外国人を多く見かけるようになりました。
そのため、コンビニ・スーパーで就労ビザが簡単に取れると思われている方もいますが、「コンビニでの就労ビザは難易度が高い」です。
コンビニ・スーパーでどんな仕事をやるのかによって取得できる就労ビザの種類が変わりますが、2022年7月時点では、レジ打ちや品出しで取れる就労ビザは特定活動(告示46号)しかありません。
今回は、コンビニ・スーパーで外国人が就労ビザを取得するための方法と要件ついて解説していきます。
目次
コンビニ・スーパーで外国人が働く現状について
まず初めに、コンビニ・スーパーで働いている外国人の多くは「留学生」「家族滞在者」「永住者」です。
留学生や家族滞在者などは、資格外活動許可を取得することで週28時間以内でアルバイトすることができます。
このアルバイトには、風俗営業以外であれば、現場労働であっても働くことができます。
一方、就労ビザでは原則として、現場で働くことはできません。
そのため、コンビニ・スーパーで接客・レジ打ちする仕事では、就労ビザは取得ができません。
しかし時代の変化により、小売業界(コンビニ・スーパー)の人材不足が深刻になり、徐々に就労ビザも緩和されつつあります。
その1つに2019年5月から施行された「特定活動(告示46号)」があります。
特定活動(告示46号)」は、N1特活とも言われ、日本語能力試験1級(N1)に合格し、日本の4年生大学を卒業している外国人であれば、コンビニ・スーパーでの接客でも就労ビザを取得できるというものです。
しかし、特定活動(告示46号)の条件はかなり高く、該当する外国人が少ないのが現状です。
では、コンビニ・スーパーでは外国人は絶対に働けないのでしょうか?
外国人の学歴やコンビニ・スーパーで行ってもらう業務内容によってケースバイケースになるので、該当性があるか見ていきましょう。
コンビニ・スーパーで技術・人文知識・国際業務を申請する場合
「技術・人文知識・国際業務」とは、一般的な就労ビザの種類のことを指します。
この技術・人文知識・国際業務は、仕事内容が「管理業務やオフィス作業」といったホワイトカラーの仕事であることが必要になります。
「技術・人文知識・国際業務」の詳細については、こちらから確認できます。
小売業界(コンビニ・スーパー)で言うと、「スーパーバイザー」「エリアマネージャー」と言った仕事であれば該当性が出てきます。
スーパーバイザー(マネージャー)の仕事とは?
「スーパーバイザー」や「エリアマネージャー」の仕事は、管理業務になるので、技術・人文知識・国際業務の就労ビザに該当する可能性が高いです。
ただし、管理業務をするということは、それだけの「業務量が必要」になります。
そのため経営する店舗数が10件以下の場合には、業務量が少なく、「空いている時間に現場作業をするのではないか?」と疑われてしまいます。
10件以上の場合であっても、「なぜ、未経験の外国人をいきなり管理業務に就かせるのか?」という疑問も出てきます。
そのため、雇用するに至った経緯など、申請にあたり入管に詳細を説明する必要があります。
スーパーバイザーとして雇用する場合に説明した方がいい内容
- 採用経緯
- 管理業務の具体的な仕事内容
- 1週間のタイムスケジュール
- 1日のタイムスケジュール
上記内容は、入管から説明を求められる内容になるので、予めこちらから説明書を作成して提出することで、審査をスムーズに進めることが可能となります。
学歴も重要
技術・人文知識・国際業務の就労ビザの場合には、「外国人の学歴が大切」になります。
求められる学歴(以下、どれかが必要)
- 大学を卒業して「学士の称号」を持っている(短期大学・大学院も含む)
- 日本の専門学校を卒業して、「専門士の称号」を持っている(海外の専門学校は不可)
まず、上記のいずれの学歴がないと、技術・人文知識・国際業務の申請はできません。
履修科目がとても重要
学歴を確認したら、次に学校で学んでいた履修科目(専攻科目)を確認します。
履修科目の確認には、「成績証明書」を取得して確認するようにしてください。
大学を卒業して学士を取得している場合は、仕事内容が現場労働でなく、スーパーバイザーとしての管理業務であると示せれば、許可の可能性が高くなります。
一方、日本の専門学校卒業で専門士を取得している場合は、「成績証明書に載っている履修科目が、行う予定の管理業務と関連性があるか?」を審査されます。
管理業務であれば、技術・人文知識・国際業務の就労ビザが取得できるわけではなく、専門学校での履修科目と関連性があるかが大切です。
関連性があると判断されやすい履修科目の例
- マーケティング
- 翻訳通訳
- マネジメント
- 経営学
- 経済学
上記はあくまで一例で、「実際に行ってもらう管理業務にどのように関連しているか」を説明する必要があります。
スーパーバイザー(マネージャー)の審査は厳しくなった
コンビニでの就労ビザは、「スーパーバイザー」で申請すれば許可になるという噂がありました。
確かに昔は、スーパーバイザー(マネージャー)の内容の申請であれば許可になる可能性は高かったです。
しかし、虚偽申請なども多くあったため、2020年以降はスーパーバイザーでの申請はかなり厳格に審査されることになりました。
そのため、「友達がスーパーバイザーでビザをもらった」「昔は大丈夫だった」ということで同じように申請しても許可にならない可能性も高くなってきているのでご注意ください。
なお、管理業務を行わないのにスーパーバイザーとして申請することは虚偽申請であり、罪に問われる可能性がありますので絶対に行わないようにしてください。
特定活動(告示46号)のN1特活とは?
2019年5月に新しく「特定活動(告示46号」という就労ビザが新設されました。
この就労ビザは、かなり限定的ではありますが、条件に当てはまるのであれば「コンビニ・スーパーで接客・レジ打ち・品出しをすることが可能」です。
特定活動(告示46号)の要件
- 日本の4年生の大学(大学院)を卒業していること
- 日本語能力検定1級(JLPTのN1)またはBJTビジネス日本語能力テスト480点以上あること
※大学または大学院で日本語専攻をしている外国人留学生であれば不要です。
上記の条件を簡単に言うと、「日本の4年生大学を卒業(または卒業予定)し、N1(日本語能力検定)を合格している外国人」ということになります。
そのため、アルバイトをしてくれている留学生の中に該当する方がおり、そのまま就職してくれるということであれば、この就労ビザの取得は可能になります。
レジ打ち・品出しのみはNG
特定活動(告示46号)の就労ビザであれば、コンビニ・スーパーでレジ打ち・品出し業務が可能とお伝えしました。
しかし正確にお伝えすると、レジ打ちや品出し・店舗清掃のみをさせることはできません。
必ず業務の中に、レジ打ちや品出しだけでなく、翻訳通訳(接客)や管理業務なども行わせることが求められています。