就労ビザ

物流業界(倉庫内作業)で取得できる就労ビザとは?

物流業界で、外国人を雇用したいと考えている企業向けの記事になります。

近年オンラインショッピングの利用が増え、物流業界は人材不足に陥っていますが、物流業界では外国人を採用する際に就労ビザが取得しずらいという問題があります。

物流と言っても、「倉庫内作業」や「仕分け」など多くの作業がありますが、日本の一般的な就労ビザである技術・人文知識・国際業務ビザでは現場労働の仕事で就労ビザはできません。

しかし、新しい就労ビザが新設されたりと年々緩和されてきており、倉庫内作業だけでなく、他の業務を組み合わせて行ってもらうことで就労ビザ取得の可能性が少しずつ出てきています。

※2025年5月の最新情報も追記しています。

そこで今回は、外国人に倉庫内作業をしてもらう場合のビザについてご説明していきたいと思います。

監修者

行政書士法人フォワード

塩野 豪 GO SHIONO行政書士 Immigration Lawyer

フィリピン・カナダに合計5カ月居住し、海外での生活の大変さを知る。
その後、2016年に行政書士として独立して、ビザ申請代行サービス「ビザプロ」を開始する。
その後、累計400社・45か国以上の方の在留資格(ビザ)サポートを行う。
その他にも、日本法人の設立などのサポートを行い、外資系の日本進出コンサルティングも行っている。
人材紹介会社・管理団体・専門学校等とも顧問契約を結び、入管業務に特化したコンサルティングサポートを展開し、セミナー講師も積極的に行っている。

倉庫内作業で就労ビザは取れる?

物流業界で最も人材不足が深刻なのは「倉庫内作業」かと思います。そして倉庫内作業の中でも様々な業務があり、就労ビザを申請する観点から分類すると、下記の仕事内容に分けられます。

倉庫内作業の仕事内容

  1. 商品の入荷調整・管理
  2. 在庫管理
  3. ピッキング作業(梱包)
  4. 発送業務
  5. 検品

技術・人文知識・国際業務では現場労働ができない

日本の一般的な就労ビザは「技術・人文知識・国際業務」と言い、技術・人文知識・国際業務の就労ビザでは現場労働はできないので、倉庫内作業では許可はおりません。

また、たまに「翻訳・通訳」の仕事も行うので「翻訳・通訳」で申請をできないか?というご相談もいただくのですが、メイン業務は倉庫内作業だと思いますので、たまに翻訳・通訳の仕事をしてもらうことがあるという内容では、技術・人文知識・国際業務ビザの取得は難しいです。

取得できる可能性がある就労ビザは、特定活動(告示46号)のみ

特定活動(告示46号)とは、2019年5月に新設された在留資格(ビザ)で、特定活動を「特活」と略して、「N1特活」と呼ばれています。

この特定活動(告示46号)では、学歴と日本語能力を条件に、現場労働の仕事も行いながら日本語や学校で学んだ専門性ある仕事内容を行うことが認められています。

それでは、特定活動(告示46号)を取得できる要件について確認していきましょう。

特定活動(告示46号)の要件

  1. 日本の4年生の大学または大学院を卒業し、学士または修士の称号を取得していること
  2. 日本語能力試験1級(N1)またはBJTビジネス日本語能力テストで480点以上の外国人
    ※日本の大学で日本語専攻の場合は、免除
    ※海外の大学または大学院で、日本語専攻の場合は免除

上記の①と②をクリアしている外国人のみ特定活動(告示46号)の申請ができますが、難易度が高い内容にはなっておりますが、2022年9月時点では、この特定活動(告示46号)以外では倉庫内作業で就労ビザを取得することは難しいです。

特定活動(告示46号)の詳細はこちら

特定技能ビザに倉庫内作業が追加される(2025年5月更新)

最近、「物流倉庫の管理」という区分で特定技能ビザの対象分野に追加されるように調整中であるとニュースで報道がありました。

特定技能ビザとは、人材不足が深刻な業界に特化して外国人の現場労働を認める就労ビザであり、その中に倉庫管理(倉庫内作業)が含まれることになりそうです。

特定技能ビザで外国人が働けるようになれば、人材不足の解消に貢献できるかもしれません。

なお特定技能ビザへの追加は、2025年12月の閣議決定を目指し、実際に特定技能ビザとして雇用できるようになるのは2027年からとなる見通しです。

特定活動(告示46号)を申請する場合の注意点は?

倉庫内作業で就労ビザを取得する際に、特定活動(告示46号)であれば、就労ビザを取得できる可能性があるとお伝えしてきました。

ただし、どんな内容であっても特定活動(告示46号)であれば許可されるわけではなく、特定活動(告示46号)の趣旨は、「高い日本語能力を活かして、翻訳・通訳の業務内容を含み、日本の大学・大学院で学んだ幅広い知識を活かせる仕事」とされています。

そのため、「在庫管理をしてもらいます」とだけ申請をしても不許可になってしまうリスクがあります。

特定活動(告示46号)での申請の際には、高い日本語能力や日本の大学・大学院で学んだ内容を活かしつつ、現場労働である倉庫内作業も行うといった内容である必要があります。

具体的には、すでに働いている日本語ができない外国人従業員(留学生・家族滞在・日本人の配偶者など)の管理や通訳業務を行ってもらいながら、在庫管理や発送業務も行い、その他にも大学等で学んだことに関連する業務(マーケティングや営業など)を行う場合などが該当します。

倉庫内作業はどこまでできるのか?

特定活動(告示46号)でも、ずっと倉庫内作業のみができるわけではありません。

あくまでも倉庫内作業のほかにも、日本語が活かせる業務(翻訳・通訳など)や、大学などで学んだ内容(営業やマーケティング、経理など)の仕事も行う必要があります。

特に高い日本語能力が活かせることが大切なので、翻訳・通訳以外にも、来客があるのであれば来客対応であったり、営業先に一緒に同行するなどの業務が必要になります。

そのため、イメージとしては高い日本語が活かせる業務をメインとしつつ、大学で学んだ業務も行い、不随業務として倉庫内作業も行うといった業務量である必要があります。

管理・オペレーション業務で技術・人文知識・国際業務ビザは取れる?

倉庫内で作業している従業員を「管理・オペレーション」するための業務は、技術・人文知識・国際業務ビザで取得可能なのでしょうか?

明確な決まりがあるわけではないですが、倉庫内にいる場合は、「管理・オペレーション」だけでなく倉庫内作業を行う可能性が高いと判断される可能性が高いため、技術・人文知識・国際業務での申請は難しいと考えます。

理由として、管理・オペレーション業務で1日8時間、週40時間ずっと管理・オペレーション業務をしているとは考えづらく、一般的には自分自身も作業を行いながら管理・オペレーションすることが多いです。

もし、本当に管理・オペレーション業務で技術・人文知識・国際業務ビザを申請するのであれば、1日と1週間の仕事スケジュールを入管に説明することで、よりスムーズに審査を進めることができます。

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