就労ビザ

建設業で働ける就労ビザとは?すべて解説

外国人が日本の建設業で働くためには様々なビザの制限があります。

「一般的な日本の就労ビザでは現場労働はできません」が、「現場労働できる就労ビザも存在」します。

今回は、建設業界で働ける就労ビザについて解説していきたいと思います。

建設業界の現状

建設業界は、技術者の高齢化や若手の建設業離れの影響で人材不足が深刻で、厚生労働省の「労働経済動向調査」の資料によると、正社員などの過不足判断を見ると2020年5月の数値では全業種の中で建設業が最も人材不足が深刻」となっています。

 

そんな中、建設業界では外国人労働者の受入れが積極的に行われており、増加傾向にあります。
厚生労働省のデータによりと、「2017年時点では建設外国人労働者の66%が技能実習生」となっています。

外国人が建設業で働けるすべてのビザをご紹介

「外国人が日本で働くためには在留資格(ビザ)が必要」になります。

ビザは外国人が実際に行う業務内容によって要件が変わってきますので、下記で細かく見ていきましょう。

建設業界で就労する場合の「就労ビザは選択肢が6つ」になります。

建設業界で働ける就労ビザ

  1. 技能実習(現場労働OK)
  2. 特定技能(現場労働OK)
  3. 技能ビザ(現場労働OK)
  4. 技術・人文知識・国際業務ビザ(現場労働NG)
  5. 特定活動(外国人建設就労者受入事業)※新規申請は2020年7月で終了(現場労働OK)
  6. 永住者等の就労制限がないビザ

技能実習(現場労働OK)

「実習生」と言われることも多いですが、「建設業は技能実習で受け入れる形が一番多い」就労ビザです。

技能実習は「発展途上国に対して日本の技術を実習生を通して行うことを目的」としており、単純な人材不足を補填する意味合いでの受入れはNGとなっています。

また就労期間は最長で5年間の就労となっており、技能実習1号(1年間)、技能実習2号(2年間)、技能実習3号(2年間)となっています。

対象となる職種は技能実習2号に移行できる職種で言うと、全22職種となっています。

技能実習2号への移行職種(22職種)

  1. さく井
  2. 建築板金
  3. 冷凍空気調和機器施工
  4. 建具製作
  5. 建築大工
  6. 型枠施工
  7. 鉄筋施工
  8. とび
  9. 石材施工
  10. タイル張り
  11. かわらぶき
  12. 左官
  13. 配管
  14. 熱絶緑施工
  15. 内装仕上げ施工
  16. サッシ施工
  17. 防水施工
  18. コンクリート圧送施工
  19. ウェルポイント施工
  20. 表装
  21. 建設機械施工
  22. 築炉

それぞれ作業内容は下記よりご確認いただけます。

建設分野であれば何でも可能というわけではないので、対象職種の確認をお願いします。

出典:外国人技能実習機構

特定技能(現場労働OK)

技能実習と合わせて「今後需要が増えるとされているのが特定技能ビザ」です。

2019年4月に新しくできた在留資格(ビザ)で、技能実習とは違い「人材不足を補う即戦力となる外国人の受入れが目的」となっています。

「特定技能1号は最長5年間の就労が可能」で、「特定技能2号では無期限での就労が可能」となっており、将来的には永住権を取得することもできます。

対象職種も技能実習と同じ部分も多いですが、新しく加わった分野もありますので確認をお願いします。

全てで19職種(内装仕上げと表装は試験区分が一緒なので18区分表記)となっています。

特定技能対象職種19種類

  1. 型枠施工
  2. 左官
  3. コンクリート圧送
  4. トンネル推進工
  5. 建設機械施工
  6. 土工
  7. 屋根ふき
  8. 電気通信
  9. 鉄筋施工
  10. 鉄筋継手
  11. 内装仕上げ / 表装
  12. とび
  13. 建築大工
  14. 配管
  15. 建築板金
  16. 保温保冷
  17. 吹付ウレタン断熱
  18. 海洋土木工

技能ビザ(現場労働OK)

「外国様式の建築または土木工事」に限られていますが、「外国人本人には実務経験」があれば現場労働が可能です。

技能ビザで求められている実務経験年数(いずれか)

  1. 実務経験10年
  2. 実務経験が10年以上ある外国人の指揮監督を受ける場合は5年以上でOK

この実務経験は、建設業としての実務経験だけでは足らず、外国様式での実務経験のみカウントが可能になります。

「実務経験の証明は在職証明書」でしていくことになり、海外で働いていた会社から証明書を発行してもらう必要があります。

技術・人文知識・国際業務ビザ(現場労働NG)

現場労働はできませんが、「設計・施工管理・事務作業(バックオフィスのスタッフ)」での就労をする場合はこの就労ビザを申請します。

なおこの就労ビザは、「外国人本人の学歴」が重要になってきます。
技術・人文知識・国際業務の学歴等の詳細についてはこちらから確認いただけます。

この就労ビザでは現場労働はできず、「CADオペレーターや施工管理」など、いわゆるホワイトカラーの業務を行う場合のビザです。

技術・人文知識・国際業務の学歴要件

  1. 大学卒業(学士の称号を持っていること)
  2. 日本の専門学校卒業(専門士の称号を持っていること)
    ※海外の専門学校はNG

そして学校での「専攻科目も重要」になってきます。

大学卒業であればある程度ゆるく審査してくれますが、日本の専門学校卒業の場合には、履修科目の中に行う仕事内容と関連する授業があることが求められています。

特定活動(外国人建設就労者受入事業) ※新規申請は2020年7月で終了

東京オリンピック需要を見越して、外国人に期限付きビザを発給することで「オリンピック需要に対応していくという特例的対応ビザ」です。

なお「この特例は2020年7月に新規ビザ申請は終了」しており、現在持っている外国人の期限が切れると終了になります。

永住者等の就労制限がないビザ

就労制限がないビザは、合計6つあります。

就労制限がなく働けるビザ

  1. 永住者
  2. 永住者の配偶者等
  3. 日本人の配偶者等
  4. 定住者
  5. 留学生や家族滞在者などの資格外活動者(週28時間の時間制限あり)
  6. 特定活動(例:難民申請中で就労可の場合やワーキングホリデー)

上記①~④のビザを持っている外国人であれば就労制限はないので、日本人と同じように雇用することが可能です。

雇用形態に制限もありません。

留学生と家族滞在者について

留学生徒家族滞在者は、就労制限はないですが「就労時間に制限」があります。

この2つのビザを持つ外国人は、仕事することがメインのビザではなく、在留目的はそれぞれ別にあることから、働くのはあくまでも例外的に認めてもらい、その上限が週28時間以内となっております。

※留学生は、夏休みや冬休みなどの長期休暇期間のみ週40時間の労働が可能となっております。

特定活動ビザについて

特定活動ビザは、「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」と定義されており、記事作成時で全46個が告示されています。

その中で建設業で就労する外国人で多いのが、「難民申請中」「ワーキングホリデー」かと思います。

難民申請中の方では、「就労可と不可の2パターン」があるので、必ず在留カードとパスポートに貼られている指定書まで確認してください。

在留カードに「就労可」と記載があれば就労制限なく働くことが可能です。
※難民申請中から就労ビザへ変更することは難しいです。

ワーキングホリデーは、休暇を楽しみながら「就労も可能」というものなので、こちらも制限なく働けます。

ワーキングホリデーから就労ビザへの変更は可能です。
※ワーキングホリデーの期限は1年です。

さいごに

2021年5月時点で、現場労働者として長期で外国人を雇用する場合は、「技能実習」または「特定技能」のどちらかが一般的になります。

現状では技能実習での受け入れが多くなっていますが、制度が徐々に厳しくなってきており、今後特定技能の方がメインとなってくる可能性があります。

また技能実習は期間に制限がありますが、「特定技能は2号になると在留期限の上限がなくなる」ので、特定技能での受け入れが今後加速していくことになるかと思います。

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