建設業の特定技能ビザの手続き方法について
目次
特定技能を取得する流れ
建設分野の特定技能ビザを取得するには、技能実習生として2号を良好に修了した人もしくは、技能試験に合格した人が対象となります。
今回は、最も多い「技能実習生→特定技能ビザ」に変更する流れについてご説明させていただきます。
国交省の計画認定を受ける
建設業の特定技能ビザを取得するにはまず、国土交通省の計画認定を受けれなければいけません。
この手続きは、建設業の特定技能ビザ特有の手続きになりまして、計画認定を受けるのにも要件があります。(下記①~⑤)
①建設業許可の取得
会社(個人も可)が、建設業法3条の許可を受けていることが必要になります。
②建設キャリアアップシステムへ(CCUS)の登録
※詳しくは後述します。
会社および特定技能外国人は、この建設キャリアアップシステムに登録する必要があります。
建設キャリアアップシステムとは☝
技能者の資格・社会保険加入状況・現場の就業状況などを登録することで、適正な評価と業務効率改善を目的としています。
また海外から来日する特定技能外国人は、入国後2週間以内に建設キャリアアップシステムに登録する必要がございます。
③一般社団法人建設技能人材機構(JAC)への加入
※詳しくは後述します。
通称JAC(ジャック)は、特定技能外国人の受入れを円滑にし、建設業の健全な発展を目的として作られた組織です。
特定技能外国人を受入れる際には、JACへの加入が必須になっております。
加入方法☝
・直接JACに加入する
・JACに加入している建設業者団体に加入する
上記どちらかになります。
一般的には、JACに直接加入するよりも、JACに加入している建設業者団体に加入する方が固定費が安いので、建設業社団体への加入が多くなっています。
④給与額と支払い方法
特定技能外国人の報酬は、実務経験3年以上の人を雇用する時と同等以上の報酬額でなければいけなく、同ポジションの日本人がいる場合は、その人の給与額以上が必要になります。
支払い方法としても、月額・銀行振込である必要がありますので、日払い・手渡しはNGとなっています。
⑤特定技能外国人が十分に理解できる言語での体制
給与等の重要事項に関して、特定技能外国人が十分に理解できる言語で説明をする必要があります。
十分に理解できる言語の範囲とは☝
日本語能力試験N3やN4ですと、日本語で理解できるとは考えづらいので、母国語などでの対応が必要になります。
そのため、登録支援機関がそのサポートを行うことが可能となっております。
JACへの加入(詳細)
国交省の計画認定で必要になる、一般社団法人建設技能人材機構(JAC)への加入についてご説明いたします。
JACに加入するには、費用がかかります。
この費用は、加入方法によって変わってきますので、まずは加入方法をご覧ください。
加入方法☝
①直接JACに加入する(正会員:年36万円 / 賛助会員:年24万円)
②JACに加入している建設業者団体に加入する(各建設業者団体によって変わる)
基本的には、②の方が費用は安くなります。
すでにJACに加入している建設業者団体に加入しているということであれば、新たに手続きする必要はありません。
また2020年6月4日時点のJACへの建設業者団体の正会員の団体は下記になります。
出典:一般社団法人建設技能人材機構
また2021年10月1日より、①のJACに直接加入する場合の年会費は、今までと違い加入月からの月割りで支払うと変更となります。(今までは、4月~9月入会の場合は全額、10月~3月の場合は半額となっていました)
また上記会費と合わせて、月額費用もかかってきます。
出典:一般社団法人建設技能人材機構
こちらも2021年10月1日より新たに月額1万3,750円の金額区分が追加されることになっています。
JACの業務範囲☝
①特定技能評価試験(建設)の実施
②特定技能外国人に対する講習、訓練又は研修の実施、就職のあっせん等
③行動規範の策定及び当該規範の適正な運用
④受入れ機関(企業)が計画に従った受入れを行っていることを確保するための取組み
建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録(詳細)
建設業の特定技能ビザでは、建設キャリアアップシステム(CCUS)に会社と特定技能外国人(1人ずつ)の両方の登録が必要となります。
登録する情報は、「本人情報」「保有資格」「社会保険加入状況」などを登録して、個人カードに就業履歴を残すことで、技能者が適正な処遇を受けられることを目的としています。
また就業実績や保有資格・講習受講実績などにより、客観的評価をすることができ、昇給の目安などを明確化や不法就労の防止などに役立ちます。
この建設キャリアアップシステムに登録するための費用は下記になります。(計4つ)
A. 技能者利用料(税込)
1)簡易型:2,500円 / 人
2)詳細型:4,900円 / 人
※どちらを選択されても問題ございません。
※詳細型は、保有資格なども登録できるものになります。
※10年間有効です。
出典:一般財団法人建設業振興基金
C. 管理者ID利用料
法人・個人事業主:11,400円 / 年
一人親方 :2,400円 / 年
※年間更新になります。
D. 現場利用料(元請け業者のみ)
1日の現場あたり:10円(税込)
※1人あたり、1日の1現場入場料金になります。
※下請け業者は不要です。
建設キャリアアップシステムには、特定技能外国人もそれぞれ登録する必要がありますが、海外から呼び寄せる場合は、入国後2週間以内に,受入れの報告とともに特定技能外国人の建設キャリアアップシステムへの登録申請をします。
その後、登録申請を行ったことを証する書類(メールの写し)を国土交通省へ提出し、登録完了後,速やかに登録したことを証する書類を、入管に届出を行う必要があります。
ビザ申請の方法
国交省の計画認定と同時に特定技能ビザの申請手続きも進める必要があります。ビザ申請は、国交省の計画認定が下りる前でも申請は可能ですが、計画認定がおりないとビザ申請も許可はされませんのでご注意ください。
特定技能ビザ申請に際しては、提出書類が多くなっており、必要書類は国籍や海外から呼び寄せるのか、今持っているビザを変更するのかでも変わってきます。
今回は、変更申請の場合の一般的なものを記載いたします。
特定技能外国人に関する書類☝
①提出書類一覧表
②変更申請書
③報酬に関する説明書
④雇用契約書の写し
⑤雇用条件書の写し(別紙 賃金の支払も含む)
⑥雇用の経緯に係る説明書
⑦徴収費用の説明書
⑧健康診断個人票
⑨受診者の申告書
⑩直近1年分の住民税の課税証明書
⑪直近1年分の住民税の納税証明書
⑫給与所得の源泉徴収票の写し
⑬国民健康保険証の写し(申請時時点において、国民健康保険の場合のみ必要)
⑭国民健康保険料(税)納付証明書(申請時時点において、国民健康保険の場合のみ必要)
⑮国民年金保険料の領収証の写し(申請時点で国民年金に加入している場合のみ必要)
⑯被保険者記録照会(納付Ⅱ)※被保険者記録照会回答票も含む(申請時点で国民年金に加入している場合のみ必要)
⑰公的義務履行に関する誓約書
⑱支援計画書
⑲登録支援機関との支援委託契約に関する説明書
⑳二国間取り決めによって定められた国に該当する人の各書類(ベトナム・タイ・カンボジア人など)
企業に関する書類☝
①所属機関概要書
②登記事項証明書
③役員の住民票(業務執行に関与する役員のみ)
④役員に関する誓約書(業務執行に関与しない役員がいる場合のみ)
⑤労働保険料等納付証明書(未納なしの証明)など ※初めての特定技能外国人の受入れの場合
⑥社会保険料納付状況回答票または健康保険・厚生年金保険料の領収証の写し
⑦税務署発行の納税証明書(その3)
⑧法人住民税の市区町村発行の納税証明書(直近1年分)※初めての特定技能外国人の受入れの場合
⑨公的義務履行に関する説明書
建設分野に関する書類☝
①外国人の技能検定3級の合格証の写し or 技能実習評価試験(専門級)の合格証の写し or 技能実習に係る評価調書
②技能実習生でない場合は、特定技能1号評価試験の合格証の写し&日本語能力試験N4以上の合格証 or 日本語基礎テストの合格証
③建設特定技能受入計画の認定証
④特定技能外国人の受入れに関する誓約書
ポイントは労働保険や社会保険の支払いの部分になります。
納付の猶予などを受けている場合には、その猶予許可通知書の提出も必要となり、加入していない場合は加入義務があります。
督促状などが来ている場合にも、納付が完了していないと審査がNGになることもあり、理由を説明することが必要になります。