配偶者ビザ

配偶者と別居しても配偶者ビザの更新はできるのか?

日本の配偶者ビザでは、「同居していること」が1つの条件となります。

では別居している場合は絶対に認められないのかというとそうではありません。

ただし「単に仲が悪くなって別居しているが配偶者ビザは更新したい」場合には、配偶者ビザの更新が認められないことが多いです。

別居していて配偶者ビザの更新が認められるには、「特別な事情」が必要であり、例えば「仕事の関係で別居になってしまっている」「出産のために臨時的に別々で暮らしている」などです。

今回は別居している場合の配偶者ビザの更新手続きについて見ていきましょう。

配偶者ビザでは原則、同居していることが求められる

配偶者ビザ取得の条件の1つに「同居」があります。

大前提として配偶者ビザを取得(更新)するためには、同居していることが必要になります。

同居をしていないと、入管の審査で偽装結婚なのではないかと疑われてしまうことになります。

ただし別居であっても「仕事の都合」「出産」「家族の事情」「離婚手続き中」など特別な事情があるのであれば配偶者ビザの更新は可能です。

別居していても配偶者ビザを更新できる場合はある

単に「夫婦仲が悪くなり別居している場合で、離婚手続きをしていないだけ」であれば配偶者ビザの更新は認められません。

ただし、「会社の都合」や「出産」など特別な事情がある場合は配偶者ビザの更新が認められる場合があります。

特別な事情に該当する際のポイントは「別居期間がいつまで続くのか」を説明することになります。

特別な事情の具体例

  1. 会社から転勤を命じられた
  2. 体調不良や出産での入院、または里帰り出産する
  3. 家族の体調が悪く一時的に帰省する(介護等)
  4. 離婚手続きをするために日本にいる必要がある

会社から転勤を命じられた場合

会社からの辞令により急遽転勤を命じられた場合には、特別な事情に該当します。

転勤の場合のポイント

  1. 別居期間はいつくらいになるのか
  2. 今後の計画の説明
  3. なぜ同居できないのか
  4. どのくらいの頻度で会うことができるのか

「無期限で別居します」というのは配偶者ビザの審査ではかなりマイナス評価になります。

「共働きですぐに会社を辞めて一緒には暮らせない」「子どもの学校が卒業するまでは引っ越しできない」など事情はあるかと思いますので、そういった説明を理由書にて説明するようにしてください。

また重要な点としては、「毎週末は会いに行っている」など、毎週末でないにしてもどのくらいの頻度で会っているのか証明することが必要です。

例えば、新幹線や飛行機のチケットの控えや一緒に写真を撮ったりすることが審査では有利に働きます。

※海外への転勤の場合は、日本のビザを持っている必要性がないと判断されてしまう可能性が高いです。

体調不良や出産での入院、または里帰り出産する場合

体調不良や出産での入院で別居している場合も、特別な事情に該当します。

「体調不良」や「妊娠」で入院している場合には、「病院からの診断書」が必要になります。

また入院がどのくらいの期間続くのか目安がわかる場合は、その旨を理由書にて説明していきます。

妊娠の場合の「里帰り出産」や「里帰り育児」による別居も事情を説明することで認めてもらうことができます。

この場合もポイントとしては、「いつまでか」という期間を示すことです。

1年以上の長い期間となると、「なぜそんなに長期間必要なのか」「家族で引っ越しはしないのか」などの疑問が出てきますので、そちらも理由書にて説明してください。

※外国人配偶者が海外に里帰り出産する場合で、その期間中に配偶者ビザの期限が切れてしまう場合は、残念ながら日本に戻ってくる際に新規で再度配偶者ビザの申請をする必要が出てきてしまいます。
配偶者ビザの更新は外国人本人が日本にいないと申請ができません。

家族の体調が悪く、一時的に帰省する場合(介護等)

家族の体調不良や、介護等で帰省する場合も、特別な事情に該当します。

介護の場合は、いつまで続くのか不透明なため説明が難しくなります。

ただしあくまでも目安は配偶者ビザの更新の際に説明をした方がよいです。

また介護の場合、家族全員で近くに引っ越しをして面倒を見るという選択をしていない理由も合わせて説明を行った方が、入管の審査においても理解を示してくれます。(例:仕事の都合、子どもの学校の都合など)

※外国人配偶者の家族の介護で海外に帰省する場合で、その期間中に配偶者ビザの期限が切れてしまう場合は、残念ながら日本に戻ってくる際に新規で再度配偶者ビザの申請をする必要が出てきてしまいます。
配偶者ビザの更新は外国人本人が日本にいないと申請ができません。

離婚手続きをするために日本にいる必要がある場合

離婚手続きをするために日本に残る必要がある場合も、6か月の配偶者ビザの更新が認められています。

6か月の配偶者ビザが認められるには、「離婚裁判中」「離婚裁判の準備中」である必要があります。

その際には、「事件係属証明書」という裁判所発行書類が必要になります。

基本的には離婚裁判が終われば、帰国するか他のビザに変更する必要がありますが、離婚裁判が続く限りは配偶者ビザの更新は可能となります。

離婚裁判中に配偶者ビザの更新を行う場合、通常配偶者ビザの更新には日本人配偶者が身元保証人になる必要がありますが、この状況下では無理だと思いますので、勤務先の社長や上司、友人などになってもらう形で大丈夫です。

在留期限前に別居になった場合はどうするべきか

配偶者ビザの在留期限が残っているときに別居になってしまっても問題はありません。

ただし「3か月以上別居していた場合」や「住民票を変更している場合」などは、配偶者ビザの更新時に影響が出る可能性があります。

そのためなぜそのような状況になってしまっていたのかを理由書にて説明をし、更新時に入管に提出してください。

住民票を移していなく、別居期間も1~2か月ほどであれば入管への説明を省いてしまっても大丈夫ですが、別居の事実が他の資料で分かる場合には説明は必須になりますのでお気を付けください。

住民票を変えなければ別居していてもバレない?

「住民票を一緒のままにしていれば、別居はバレないのではないか?」と思われる方もいるかと思います。

ただしこの考え方は危険です。

確かに「同居の有無」については住民票で確認をします。
場合によっては、現地まで審査官が見に行き、夫婦が一緒の家に帰っているか確認します。

配偶者ビザの更新時には、夫婦の家を見に行くことは少ないですが、何かのタイミングで同居していないことが発覚すると、虚偽申請の疑いをかけられてしまいます。

そうなると、配偶者ビザの取り消しだけや、最悪の場合、今後ビザが一生とれなくなってしまうようなことも考えられますので、真実に基づいて申請を出すようにしてください。

さいごに

日本の配偶者ビザの申請には「同居」がとても大切になります。

「住民票が一緒=同居している」ということではなく、「住民票が一緒になっていることと合わせて、実態としても一緒に暮らしていることが必要」になります。

配偶者ビザの審査期間中に、家を長く離れる予定などがある場合には、そのスケジュールを書面で入管に事前に知らせておくことも審査をスムーズに進めるうえで大切な対策になります。

「同居しているかどうかバレないだろう」と言ったような気持ちで、詳細を述べず申請を出してしまうと、後から大変なことになってしまうこともありますので、面倒だとは思いますが、証明書類と説明を一緒に入管に提出するようにしてください。

外国人配偶者が離婚後も日本に残るために取得できるビザとは

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