産休と育休を取った時の永住申請について
日本の永住申請には「年収要件」があります。
外国人でも産休や育休を取得することは可能ですが、産休や育休を取得すると、収入が下がってしまうので「下がった収入が永住申請に影響するのか?」という疑問を今回は、解説していきたいと思います。
産休や育休は永住申請に影響するのか?
産休や育休の取得中は、会社(勤務先)から給与は支払われません。
そのため永住申請時には、産休・育休の時の少なくなってしまった収入は少なからず影響してしまいます。
しかし、状況に応じて産休・育休の証明などができれば、永住申請の許可を取ることも可能です。
産休・育休とは?
外国人の方が、出産や出産後に子育てするために取得するための制度が「産休・育休」となります。
産休と育休は、日本の労働基準法で外国人にも認められているので、取得することに問題はありません。
産休や育休中は会社からの給与ではなく、健康保険などの給付金として支払われます。
産休と育休の取得時期について
産休:出産予定日の6週間前と出産後の8週間後まで取得可能
育休:産休後から子どもが1歳になるまで取得することが可能
産休と育休を証明するためには?
過去に産休と育休を取得した場合、永住申請時には、産休・育休を取得していたことの証明する証明書を提出する必要があります。
一般的に産休・育休は下記内容で支払われます。
産休と育休の給付金について
- 出産一時金(健康保険から42万円支払われる)
- 出産手当金(健康保険から、出産42日前と出産後56日間、給料の3分の2が振り込まれる)
- 育児休業給付金(雇用保険から、180日間は給料の67%、以降子どもが1歳まで50%が振り込まれる
上記の内容で給付金が振り込まれ、自宅に書類が届きます。
自宅に届いた上記書類のコピーを入管に提出することで、産休および育休を取得していたことを証明することができます。
そのため、過去のものであっても将来的に永住申請を考えているのであれば、大切に保管しておくようにしてください。
産休・育休中でも永住申請はできる?
「産休・育休中でも永住申請できますか?」というご質問をいただくことがあります。
法律上は、永住申請の要件を満たしているのであれば、産休中や育休中が永住申請を妨げるものではありません。
しかし、産休中や育休中の永住申請はあまりおすすめできません。理由としては、「産休後・育休後に仕事に復帰するかが不確定だから」です。
出産後や子育ての中で、様々な事情で仕事に復帰できなくなる可能性もあり、仮に仕事復帰しないとなると、それは産休・育休中ではなく、単に退職をしたとみなされてしまう可能性が高くなってしまいます。
そのため少なくても産休や育休取得後、仕事に復帰して数か月、余裕があれば1年など働いて、産休・育休前と同等以上の給与水準に戻ったことを証明できた後に永住申請をすると、審査はスムーズにいきます。
里帰り出産の注意点は?
里帰り出産で、母国に帰って出産する場合「出国要件」に注意が必要です。
永住申請を申請するためには、一般の外国人だと「引き続き10年以上日本に居住し、そのうち5年以上、就労できる在留資格で働いていること」が条件となります。
※配偶者ビザや高度専門職ビザ(HSP)の場合には、3年や1年間の居住で永住申請が可能です。
この「引き続き10年」というのは、10年間日本に住んでいることだけでなく、継続して日本に住んでいることを必要としており、日本から出国が多い場合は、引き続き住んでいるとは認めていません。
下記が日本から出国が多いと判断されてしまう日数となります。
永住申請の出国要件
- 1回の出国で3ヶ月以上の連続した出国がないこと
- 1年間を通して、合計100以上の出国がないこと
出産のためであっても、1回の出国で3ヶ月以上出国してしまうと、それは日本に引き続き住んでいるとカウントできないとなるので、今まで日本に住んできた年数がリセットされてしまいます。
里帰り出産で母国に帰国する場合、通常は3ヶ月以上連続で出国することが多いと思うので、永住申請で不利になってしまいます。
また、1年間で合計100日以上の出国については明確な基準はないですが、100日が安全ラインなので、100日と記載しております。
永住申請の審査基準は年々厳しくなっているので、過去には120日前後でも許可されていましたが、現在は1年間の合計で120日あると、許可されるかギリギリの日数となっています。
ちなみに1年間というのは、1月1日~12月31日を指しているわけではなく、どこを起算しても1年間と考えるので、3月1日~2月28日の1年間でも9月27日~9月26日までも1年間なので、数える際には注意してください。
上記の通り、永住申請では出国日数にもルールがあるので、里帰り出産で日本から出国する際には、出国日数を確認して出国するようにしてください。