永住申請前や申請中に転職しても大丈夫?転職しても許可されるケースとは?
永住申請を考えている時に「転職はしないほうがいいという話を聞いたのですが、本当ですか?」という質問を受けることがあります。
実際に永住申請前に転職をしたり、永住申請中に転職をすると、審査にどのような影響があるのでしょうか?
永住申請では「収入の安定性」がとても重要視されておりますので、転職が収入の安定性の審査にどのように影響していくのかご説明していきます。
目次
永住申請「前」の転職について
永住申請では「収入」の審査があります。
審査内容は簡潔に言うと、永住申請の許可後でも「安定して日本で生活していけるか」を審査しています。
この安定性の基準としては、「過去5年間の収入金額」「転職回数」「仕事内容」などをもとに総合的に判断しており、明確な基準は非公開となっています。
そして永住申請をする1年以内に転職をしていると「安定した仕事ではない」と判断される可能性があります。
転職理由には様々ありますが「収入があがればいいのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、収入があがればOKではなく「新しい会社で安定して継続的に仕事をしていけるのか?」と疑問が出てきてしまいます。
安定している=収入があるだけではなく、「安定している=収入があり、継続して仕事をしている」という判断になることが多いです。
そのため、新しい会社で働き始めたばかりで永住申請をしてしまうと、永住許可後もその会社で働き続けられるのかという疑問がでてきてしまい、マイナス評価になってしまいます。
ちなみに、転職理由が今の職場が合わないといった理由で転職し、収入も今と同じか少し下がってしまう場合には、審査はより厳しくなります。
そのため、永住申請をしたいが転職を考えている場合は、少なくても転職してから1年以上は働いてから永住申請をすることをおすすめします。
永住申請「中」の転職はしない方がいい
それでは、永住申請中に転職することはどうでしょうか?
結果からお伝えすると、永住申請中の転職はしない方がいいです。
理由は、永住申請前の転職と同じで「仕事の安定性と継続性」がないと判断されてしまう可能性があるからになります。
そして永住申請中の転職すると、収入や仕事内容などの審査をやり直しになるので、永住申請の審査期間も長くなります。
ただし、永住申請中の転職すると必ず不許可というわけでもないので、転職後に所属機関変更の届出の提出をしつつ、転職理由なども追加提出すると審査官も転職理由がわかるので、そこまで審査期間に影響がない場合もあります。
永住申請中に転職をしたら「届出」を出す
どうしても永住申請中に転職したい場合には、転職のルールは最低限守る必要があるので、仕事を辞めたタイミングと転職したタイミングで入管に届出を提出してください。
退職と新しい会社への入社に間があいていない場合は、退職から入社して14日以内に、「所属機関変更の届出」を入管に提出してください。
届出の方法は、入管の窓口で行う・郵送で行う・オンラインで行うの3種類の方法があります。
この届出は義務となっているため、この届出義務をしないだけで永住申請の審査に大きく影響が出てきます。
以前は、転職したことを黙っとけばバレないとして入管に届出も出さない人がいましたが、今は「了解書」という書類が必要書類に含まれるようになり、永住申請中に転職があった際には入管に報告することが明確に義務となりました。
そのため、仮に転職をして入管に届出を提出せずに永住申請が許可になったとしても、その後転職などの事由が発覚した場合は、永住権が取り消される可能性もありますので必ず届出は行うようにしてください。
転職回数について
転職回数が多すぎると、1つの会社で働いている年数が短いので、継続性という部分で、永住申請でマイナス評価になる可能性があります。
しかし、転職回数が多いと必ず不許可になるというわけではないので、安心していただければと思いますが、注意点があります。
※キャリアアップのために転職をするというのは一般的なので問題はないです。
転職をする際の注意点
- 退職時と転職後に「届出」を出しているか
- 転職後の仕事内容に問題はないか
- 転職するまでに3か月以上の期間が空いていないこと
まず1番大切なのは、仕事を辞めたり、新しい仕事を始めた際に、入管に変更事由が発生してから14日以内に「届出」を出すことです。
届出は義務なので、忘れてしまうとマイナス評価になりますが、仮に14日を過ぎてしまったとしても、1日でも早く届出を出すようにしてください。
転職後の仕事内容について
日本の就労ビザでは、就労ビザの種類や学歴によって行える仕事内容が決まっています。
そのため、転職後の仕事内容が行って問題ない仕事内容なのかも非常に重要です。
仮に本当は行えない仕事をしてしまっていた場合には、在留不良と判断されるので、永住申請においては大きなマイナス評価になってしまいます。
転職後の仕事内容が大丈夫か判断ができない場合や、確実に問題ないことを確かめておきたい場合は、「就労資格証明書」の申請をすることをおすすめします。
就労資格証明書の申請は任意になりますが、転職後の仕事内容が行っていい仕事なのかを入管で確認してもらえますので、転職後に在留期限が6ヶ月以上残っている場合は、申請しておくと将来的にも安心できます。
退職日と新しい会社の入社日の間が空いてしまっている場合
転職をする場合、先に仕事を辞めて新しい仕事を探す場合もあると思います。
転職先が決まっていない状態で退職して、3か月以上次の仕事が決まらない場合は、就労ビザの取り消し対象期間に入ってしまうこともあり、永住申請でも過去の無職だった間の期間(転職期間)が在留不良として審査に影響します。
そのため、過去の転職時に間が空いてしまっている場合は、なぜそんなに期間が空いてしまったのかを説明することが必要ですが、「転職先がなかなか決まらなかったから」と言う理由は認めてもらうことはできません。
3ヶ月以上転職先が決まらなかった期間があっても永住申請が認められる可能性がある理由は、前職の会社を自己都合で退社したのではなく、会社都合で辞めさせられてしまい、急な解雇だったので、次の仕事を探すのに時間がかかった場合などに限ります。
取り消し対象期間に入るといきなり就労ビザ(在留資格)が取り消されるわけではありませんが、永住申請の際には、そういった過去の履歴も審査対象ですので、将来、永住申請をしたいと考えている方は、転職する際にはなるべく期間をあけずに転職するようにしてください。
転職をしても永住申請が許可されるケースとは?
ここまで転職は永住申請にとってあまりよくないとお伝えしてきました。
ですが、過去の事例から転職しても永住許可が下りたケースをもとに、どういった内容の転職であれば、永住申請に影響がでないのかを見ていきましょう。
ただし、前職などの勤務期間が1年以内と短かったりする場合には、下記条件を満たしていても仕事の継続性がないと判断され、マイナス評価になる可能性が高いのでご注意ください。
転職しても永住申請で許可される可能性がある場合
- 年収1000万円以上の転職
- 契約社員から正社員への転職(年収100万円以上のアップ)
- 上場企業への転職(年収100万円以上のアップ)
- 医師などの専門職の転職
上記がすべてではないですが、1000万円以上の収入があり安定している場合や、仕事内容が学歴と一致していたり、会社の規模が大きく会社の経営が安定して場合などは、転職していたとしても永住申請においてマイナス評価になりづらい傾向にあります。
ただし、永住申請の審査は年々厳しくなっていますので、行政書士などの専門家に相談して依頼することもご検討頂ければと思います。
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