外国人の子どもは何歳まで日本に呼べるのか?条件についても解説

外国人同士の夫婦が海外から子どもを日本に呼ぶことはできますが、年齢制限があります。
理由としては、「子どもを日本で養育するため」に呼ぶことになるので、成人していたり、婚姻している場合には、すでに自立していると考えるので、基本は「子どもが未成年」である必要があります。
日本では、成人年齢の法改正もあったこともあり、今までは20歳が1つのボーダーラインでしたが、現在は18歳以上の子どもを日本に呼ぶのは難しくなってしまいました。
そこで今回は、海外から子どもを家族滞在ビザで呼び寄せるられる年齢とその条件、年齢的に呼べない場合の代替策ついて解説していきます。
目次
監修者

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行政書士法人フォワード
塩野 豪 GO SHIONO行政書士 Immigration Lawyer
フィリピン・カナダに合計5カ月居住し、海外での生活の大変さを知る。
その後、2016年に行政書士として独立して、ビザ申請代行サービス「ビザプロ」を開始する。
その後、累計400社・45か国以上の方の在留資格(ビザ)サポートを行う。
その他にも、日本法人の設立などのサポートを行い、外資系の日本進出コンサルティングも行っている。
人材紹介会社・管理団体・専門学校等とも顧問契約を結び、入管業務に特化したコンサルティングサポートを展開し、セミナー講師も積極的に行っている。
子どもを日本に呼べる年齢は何歳まで?
外国籍の子どもを日本に呼んで一緒に暮らすためには、「日本で子どもの養育する」ことが目的である必要があります。
そのため、子どもが成人に近づけば近づくほど、日本で働くための日本に来るのではないか?と思われてしまい、審査が厳しくなります。
特に子どもの親が日本に長いこと暮らし、子どもと離ればなれで暮らしている期間が長いほど、なぜ今になって日本に子どもを呼ぶのか?という説明が必要になります。
入管としては、子どもを日本で養育するというのは、中学校卒業までの年齢を想定しているので、「14歳くらいまでは親子関係が示せれば問題なく許可」してもらうことが可能です。
しかし、15歳以上(高校生以上)になってくると、今まで母国などで教育を受けてきて、高校からいきなり日本で教育を受けるにあたり、言語の問題など、今後の日本での教育予定について具体的な説明をする必要があります。
ちなみに、外国人の親と子どもが一緒にビザを取得して日本に来るのであれば、高校生であっても違和感はないので、スムーズに審査をしてもらえる傾向にはあります。
子どもが18歳でもビザは取得できる?
高校をまもなく卒業する17歳後半くらいから18歳になると、世間的には大人と認識されます。
そのため、「なぜ日本で教育する必要があるのか?」「日本に働くために来るのではないか?」という疑念を持たれてしまい、入管としては「働くのであれば就労ビザを取得してください」とアナウンスしており、「日本の大学に通いたいのであれば留学ビザ」と目的に応じて取得するビザが変わります。
家族滞在ビザはあくまでも未成年者が、親の監護下において、教育をする必要がある場合に家族滞在ビザを許可しています。
そのため母国で義務教育を終わらせてから日本に呼びたいと思い、18歳になってしまうと、日本には呼べなくなる可能性が高くなるので、日本に呼ぶのであれば早めに申請をするようにしてください。
子どもだけ数年後に日本に呼ぶことはできる?
子どもを日本に呼び場合、親(夫または妻)と一緒に日本に来るのであればわかりやすいですが、先に親が日本に来て、数年後に子どもだけ日本に呼びたいとなると、「今まで子どもは母国で何をしていたのか?」という疑問が出てきます。
親と別タイミングで後から子どもを日本に呼び際の理由例
- 母国で通っていた学校を卒業してから日本に呼びたい
- 日本語の勉強を母国で少しさせてから日本に呼びたい
- 先に親が日本に慣れた後に子どもを日本に呼びたい
子どもだけ後から日本に呼び寄せることは可能ですが、
様々な事情で、子どもと一緒の来日をしないケースがあると思います。
親と別で、後から子どもだけ呼び寄せる場合には、「子どもはどのように母国で暮らしていたのか?」「なぜ今のタイミングで日本に呼ぶのか?」の説明が大切になります。
親が日本にいる間は、母国等にいるおばあちゃんやおじいちゃん、兄弟姉妹に面倒を見てもらっていた場合、なぜ今後も面倒を見てもらわないのか?という疑問が審査官には出てきますので、具体的に説明します。
「当時通っていた学校は卒業させてあげたかった」などの理由であれば、審査でも認めてもらえることが多いですが、説明をしなかったり、うまく審査官に伝わらないと、審査に時間がかかったり、最悪の場合、不許可になる可能性もあります。
さらに、日本に来た後の教育方針(学校に通うのかなど)の説明も合わせて行うと審査がスムーズに進みます。
子どもを日本に呼びための条件は?
外国人の子どもを日本に呼ぶためには、親子関係と親権があることの証明が必要になります。
子どもを日本に呼びための条件
- 親子関係の証明ができること
- 子どもの親権があること
- 日本で子どもを扶養に入れて同居すること
- 日本で子どもを育てられるだけの収入があること
親子関係と子どもの親権があることについは、証明書が必要になります。
具体的には出生証明書や親権証明書などを取得することになりますが、子どもの出生後に親が名前を変更している場合などには、氏名変更の証明書なども必要になります。
そして子どものビザ(家族滞在ビザ)は、子どもを日本で養育するためのビザなので、同居で扶養することが必要となります。
そのため、日本で仕事をして子どもを養育できるだけの十分な収入が必要となり、子ども1人で3人家族の場合には少なくても月額20万円以上の収入は必要となります。
日本に呼べる子どもは実子だけ?
日本に呼べる子どもは「実子」だけでなく、「連れ子」も呼びことができます。
連れ子とは、結婚した相手の子どもを指しますが、「親権」を持っていることが証明できれば日本に呼び寄せることは可能です。
日本に呼べる子どもについて
- 就労ビザの外国人の実子の場合
→家族滞在ビザで日本に呼べます。 - 就労ビザの外国人の配偶者(夫または妻)の子どもの場合
→就労ビザの外国人が養子縁組していれば、家族滞在ビザで日本に呼べます。
養子縁組していない場合は、特定活動(告示外)ビザになります。 - 永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者の外国人の子どもの場合
→家族滞在ビザではなく、定住者ビザ(告示6号)に該当します。
養子縁組とは?
養子縁組には「特別養子」と「普通養子」の2種類あり、血縁関係がない人同士が、法律上親子関係になる手続きのことを言います。
特別養子とは、本当の親との親子関係を絶ち、養子縁組する新しい親との親子関係のみとなるなる手続きで、子どもの年齢も6歳未満の時に手続きしないといけません。
一方、一般的な養子縁組と言われるのが「普通養子」で、普通養子は、本当の親との関係はそのままで、新しく養子縁組で新しい人とも親子関係になる手続きを言います。
そして家族滞在ビザの場合は、特別養子も普通養子のどちらでも認められています。
子どもが18歳以上の場合はどうする?
ご説明したように、子どもが18歳以上となると、日本に子どもを呼び理由が説明できれば、許可になる可能性もありますが、基本的には家族滞在ビザの取得が難しくなります。
家族滞在ビザで日本に呼べない場合は、他のビザで日本に呼ぶ寄せるしかなく、一番多いのは「留学ビザ」となります。
留学ビザとは?
留学ビザとは、日本の学校に通うためのビザで、「日本語学校」や「専門学校」「大学」に通う場合は、留学ビザの申請をします。
留学ビザの申請は、入学する学校が決まっていないと申請できないので、まずは入学する学校を決め、入学試験に合格する必要があります。
留学ビザの場合は、学校がビザサポートを行ってくれることがほとんどなので、入学条件と合わせてビザ手続きについても確認するようにしてください。
就労ビザとは?
日本の就労ビザは、種類が16種類ありますが、一般的な就労ビザである技術・人文知識・国際業務を取得するためには、大学卒業以上の学歴または実務経験が求められています。
そのため、子どもが18歳であった場合には大学卒業も実務経験もないので、技術・人文知識・国際業務ビザの取得は難しくなってしまいます。
他に18歳でも取得できる就労ビザとしては、「特定技能」になります。
特定技能ビザは、技能試験と日本語試験の2つに合格していれば取得できるもので、学歴や実務経験は不要です。
そして特定技能ビザは、14業種のみでしか認められていない就労ビザなので、働きたい業種を選び、その業種の技能試験を受けます。
技能試験は開催場所や実施日が不定期なので、それぞれホームページで確認するようにしてください。
日本語試験は、日本語能力試験(JLPT)4級以上か日本語基礎テスト(JFT-Basic)のどちらかに合格していることが必要となります。
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