外国人が海外から日本に家族を呼ぶ方法は?

日本にいる外国人が、母国などから家族を日本に呼びたい場合「方法は全部で3つ」あります。
ポイントは、呼びたい家族(親・兄弟姉妹・配偶者・子ども・叔父・叔母・甥っ子・姪っ子)が誰なのかによって手続きの方法が変わり、配偶者や子どもであれば家族滞在ビザで、日本で一緒に暮らすことができますが、親・兄弟姉妹・親戚は、基本的には短期滞在ビザでしか日本に呼べません。
親に関しては、高齢で他に親族などがいなく、一人では生活できていけない状況に限り、特定活動ビザで長期で日本に呼べる可能性はありますが、審査はかなり厳しいです。
そこで今回は、どのビザであれば誰を日本に呼べるのかについて、それぞれ解説していきます。
目次
監修者

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行政書士法人フォワード
塩野 豪 GO SHIONO行政書士 Immigration Lawyer
フィリピン・カナダに合計5カ月居住し、海外での生活の大変さを知る。
その後、2016年に行政書士として独立して、ビザ申請代行サービス「ビザプロ」を開始する。
その後、累計400社・45か国以上の方の在留資格(ビザ)サポートを行う。
その他にも、日本法人の設立などのサポートを行い、外資系の日本進出コンサルティングも行っている。
人材紹介会社・管理団体・専門学校等とも顧問契約を結び、入管業務に特化したコンサルティングサポートを展開し、セミナー講師も積極的に行っている。
外国人が日本に呼べる家族とは?
日本に暮らす外国人が、家族を日本に呼びたいと思っても、誰でも日本のビザ(在留資格)が許可されるわけではありません。
よく相談がある内容として、親・兄弟姉妹・配偶者・子ども・叔父・叔母・甥っ子・姪っ子がありますが、親・兄弟姉妹・叔父・叔母・甥っ子・姪っ子を日本に呼び、長期で滞在してもらうことはできず、日本に呼ぶ場合は、短期滞在ビザ(最大90日間)でしか日本に滞在することができません。
日本で一緒に暮らすことができるのは、配偶者と子どものみで、家族滞在ビザを取得することになります。
家族を日本に呼べるビザ(在留資格)
- 短期滞在ビザ(最大90日間)
- 家族滞在ビザ
- 特定活動ビザ
「短期滞在ビザ」とは?
短期滞在ビザでは、「親」「兄弟姉妹」「配偶者」「子ども」「叔父」「叔母」「甥っ子」「姪っ子」のすべての方が申請可能です。
短期滞在ビザとは、15日・30日・90日の3種類の期間内であれば、日本に滞在できるビザ(査証)になり、ビザ免除国以外の国の方は、海外にある日本大使館(領事館)でビザ(査証)の申請をして取得できます。
中国やベトナム・フィリピンなど多くのアジアの国では、ビザ(査証)免除国ではないので、日本に来るためにはビザ(査証)を申請しますが、短期滞在ビザも渡航目的に応じて申請する種類が変わります。
短期滞在ビザの種類は、「旅行」「知人訪問」「親族訪問」「短期商用」の4つに分かれており、家族に会いに来るための短期滞在ビザは、「親族訪問」となります。
一方、アメリカや韓国・イギリスなど、ビザ(査証)免除国であれば、ビザ(査証)の申請をせずに航空券を買うだけで日本に上陸することができます。
ビザ免除国の国はこちら(外務省ページ)
※コロナ禍においては、ビザ免除国の国の人もビザ(査証)申請をしないと日本に来れないルールになっています。
短期滞在ビザの特徴
- 最大90日間(約3ヶ月)しか滞在できない
- 原則、短期滞在ビザの更新は不可
- 短期滞在ビザには「旅行」「知人訪問」「親族訪問」「短期商用」の4種類ある
- 日本滞在中に仕事はできない
- 申請は海外にある日本大使館(領事館)で行う
短期滞在ビザは最大90日間しかもらえない
短期滞在ビザは、最大でも90日間(約3ヶ月)しかもらうことができず、日本で短期滞在ビザの更新も原則できません。
しかし短期滞在ビザは、「1年間で合計180日間まで取得可能」ですので、一度帰国すれば、もう1回だけ90日間のビザ(査証)を取得することはできます。
※日本にいながら短期滞在ビザを更新するためには、入院しているなどの特別な事情がないと、日本にいながら期間を延長することはできません。
短期滞在ビザは「親族訪問」の目的で申請する
親や兄弟姉妹、配偶者、子ども、叔父・叔母、甥っ子、姪っ子を短期滞在ビザで日本に呼ぶ場合には、短期滞在ビザの中の「親族訪問」を申請することになります。
親族訪問の申請では、「関係性を示せる書類(出生証明書など)」が必要になり、親を呼ぶのであれば親子関係、兄弟を呼ぶのであれば兄弟関係の公的書類を準備する必要があります。
親族訪問で申請すると旅行ビザよりも提出書類が多いので、旅行ビザを申請する人もいますが、旅行はしないのに旅行ビザを取得すると、後に虚偽申請だったと問題となる場合もあるので、親族に会いに行く目的での来日の場合は、親族訪問のビザを申請するようにしてください。
日本で仕事はできない
短期滞在ビザで日本にいる間に、「日本で仕事をしてお金を稼ぐことはできません。」
これは「日本国内での活動に対しての報酬はダメ」と言うことなので、海外で行っている仕事を日本にいる間にリモートで行うことは問題ありません。
ただし、海外での仕事をリモートでしていたとしても、日本で行った活動に対して、いつもの給与以外に報酬をもらうことは、日本での仕事に該当しますので、注意してください。
そして仕事は、数時間でも1日でも日本の仕事をして報酬をもらうのであれば、短期滞在ビザではなく「就労ビザを取得する」必要がありますので、ご注意ください。
申請は海外の日本大使館(領事館)で行う
通常ビザ(在留資格)と言うと、日本にある入管で申請しますが、短期滞在ビザだけは「海外にある(申請する外国人が住んでいる国にある)日本大使館(領事館)でビザが欲しい本人が自身で申請」します。
なお、「中国」「ベトナム」「フィリピン」は、ビザ(査証)申請件数が多いので、日本大使館(領事館)の指定した代理店(エージェント)を通して申請することになります。
それ以外の国では、ビザが欲しい本人が直接、日本大使館(領事館)に行って申請することになります。
審査期間は申請する国にもよりますが、「1週間ほど」が目安となります。
「家族滞在ビザ」で日本に住める家族は?
家族滞在ビザとは、日本で就労ビザなどで働いていて生活が安定している夫または妻の付き添いとして日本に一緒に住むためのビザ(在留資格)になります。
そして家族滞在ビザでは、就労ビザで働く外国人の「配偶者(夫または妻)」「子ども」のみ取得可能となっており、あくまでも就労ビザで働いている配偶者が日本にいることが必要です。
そのため、夫婦ともに家族滞在ビザのみを申請することはできず、必ず日本で就労ビザで働く配偶者の「扶養を受ける」必要があります。
家族滞在ビザの取得条件
- 結婚していること
- 子どもは実子または養子縁組していること
- 日本で扶養されること
- 日本で同居すること
結婚していること
配偶者(夫または妻)の家族滞在ビザを申請するには、「結婚している」必要があり、日本にはフィアンセビザや事実婚ビザというものはありません。
なお、法律婚している証明として、申請の際には「結婚証明書」の提出が必要になります。
家族滞在ビザの場合、2人とも日本在住の場合には、日本の役所で婚姻届が受理されるのでも問題はありません。
子どもは実子または養子縁組していること
子どもの家族滞在ビザ申請の場合は、「子どもの出生証明書」または「養子縁組の証明書」が必要になります。
そして子どもの申請の場合には、「実子」と「連れ子」でも申請が可能ですが、連れ子が就労ビザの外国人の子ではなく、結婚した夫または妻の連れ子の場合、「就労ビザの外国人が養子縁組していることが必要」になります。
ちなみに家族滞在ビザの養子縁組は、「普通養子」でも「特別養子」でもどちらでも認められております。
扶養されること
家族滞在ビザでは、日本で生活する際に「扶養されること」が必要になります。
家族滞在ビザの外国人は、あくまでも就労ビザで働く配偶者の付き添いのため、仕事をしたいと思っても、フルタイムで働くことはできません。
なお、家族滞在ビザでは資格外活動許可を取得でき、資格外活動許可では週28時間以内のアルバイトが可能となります。
同居すること
扶養することと同じ意味になりますが、家族滞在ビザの外国人は就労ビザの外国人に付き添って日本にいるので、一緒に暮らす(同居)必要があります。
日本にいる別の家族(親戚)の家に住むなどは認められていません。
家族が「特定活動ビザ」を取得するケースとは?
家族が取得できる特定活動ビザは、例外的に「親」を日本に長期で呼ぶことができる場合の特定活動ビザ(老親扶養)になります。
特定活動ビザとは、告示されているもので2022年5月時点で46種類あり、さらに告示されていないものを告示外と言い、個々の状況に応じて許可を出すものもあります。
そしてここでご説明している「親」を日本に呼ぶのは、特定活動の中でも告示外の内容になり、本来、短期滞在ビザ以外では「親」は日本に呼べないのですが、特別な事情がある場合のみ、特定活動ビザで親を日本に長期で呼べる場合があります。
一般的に、「老親扶養ビザ」と言ったりしますが、老親扶養ビザで親を日本に呼べるとしても両親の両方を呼べるわけではなく、どちらかの親1人しか生きておらず、日本に住んでいる外国人以外に身寄りがいない場合などに限定されています。
老親扶養ビザの要件
- 親が高齢(70歳以上)である
- 親が海外に1人で住んでいて身寄りがない
- 病気などで介護する必要がある
親が高齢(70歳以上)である
親を日本に呼ぶには、「介護」「面倒を見る必要がある」といった目的が必要になります。
そのため、親の年齢も大切で70歳以下といった比較的若い年齢だと「日本に呼ぶ必要があるか?」思われてしまうため、日本に呼べる親の年齢の目安は、70歳以上となります。
海外に1人で住んでいて身寄りがない
身寄りがないとは、父親または母親のどちらかが亡くなっており、兄弟や親族もいないため、助けてくれる人が誰もいない状態にある場合のことを言います。
仮に家族のどなたかが同じ国住んでいなくても、他の国に住んでいる場合は「その国に住んでいる家族にサポートしてもらえないのか?」と審査で突っ込まれてしまいます。
日本では親のビザはないので、人道的配慮が必要なケース以外で、許可してもらうことは難しいです。
病気などで介護する必要がある
親が母国などで1人で暮らしているだけでは、特定活動ビザ(老親扶養ビザ)は許可にはなりません。
親が母国等で1人で暮らしていることに加え、病気を患っており、看病しないといけないといった特別な事情が必要になります。
その際には「病院からの診断書が必要」になるので、「いつから病気を患っているのか」「なぜ今のタイミングで申請したのか?」など今までの経緯や、これからどのように日本で親をサポートしていくのかなどの計画も必要になります。
老親扶養ビザはかなり特殊なケースになり、特定活動ビザの中でも告示外にあたるので、慎重に申請する必要があります。
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