留学生が海外在住の配偶者を日本に呼べる条件と家族滞在ビザの申請について

留学生が海外に住んでいる配偶者を日本呼んで一緒に暮らしたい場合は、「家族滞在」のビザ(在留資格)を申請します。
90日以内の短期で日本に呼びたい場合は、短期滞在ビザの申請になりますが、長期で日本に呼び一緒に住む場合には、家族滞在ビザの申請が必要です。
ただし家族滞在ビザの申請では、すべての留学生が配偶者を日本に呼べるわけではなく、大学や大学院に通っている留学生のみが対象で、日本語学校、専門学校の留学生は対象外となります。
そこで今回は、留学生が海外に住んでいる配偶者をの日本に呼ぶための条件と配偶者が取得する配偶者ビザの申請について説明していきます。
目次
監修者

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行政書士法人フォワード
塩野 豪 GO SHIONO行政書士 Immigration Lawyer
フィリピン・カナダに合計5カ月居住し、海外での生活の大変さを知る。
その後、2016年に行政書士として独立して、ビザ申請代行サービス「ビザプロ」を開始する。
その後、累計400社・45か国以上の方の在留資格(ビザ)サポートを行う。
その他にも、日本法人の設立などのサポートを行い、外資系の日本進出コンサルティングも行っている。
人材紹介会社・管理団体・専門学校等とも顧問契約を結び、入管業務に特化したコンサルティングサポートを展開し、セミナー講師も積極的に行っている。
配偶者を日本に呼べる留学生の条件とは?
留学生が海外に住んでいる配偶者を日本に呼びたいと思った場合、パターンは2つあります。
1つ目は、90日以内の短期間でいい場合は、短期滞在ビザを申請すること、2つ目は90日以上の長期間日本に住みたい場合は、家族滞在ビザの申請をする必要があります。
しかし、すべての留学生が無条件で配偶者を日本に呼べるわけではなく、海外に住んでいる配偶者を日本に呼べる留学生は、「短期大学」「大学」「大学院」に通っている留学生で、「日本語学校」や「専門学校」に通う留学生は対象外となっています。
そのため、日本語学校や専門学校に通う留学生が配偶者を日本に呼びたい場合には、90日以内の滞在のみしかできない、短期滞在(親族訪問)で日本に呼ぶことしかできません。
海外在住の配偶者を日本に呼べる留学生
- 短期大学生
- 大学生
- 大学院生
家族滞在ビザの審査ポイントについて
留学生が海外在住の配偶者を日本に呼ぶ際の家族滞在ビザの申請では、結婚していることに加えて、日本で生活していけるだけの生活費があるかがポイントになります。
しかし留学生は、フルタイムで働くことはできず、資格外活動許可を取得していれば週28時間以内のアルバイトのみ可能となっていますが、アルバイトだけのお金では生活費は賄えないので、海外在住の家族の協力が必要となります。
なお、家族滞在ビザを取得できて配偶者が日本に来日しても、留学生と同様に資格外活動許可を取得すれば週28時間以内のアルバイトは可能ですが、来日後に配偶者がアルバイトするので、生活資金の確保は可能といった説明は認められません。
家族滞在ビザの審査ポイント(留学生の場合)
- 日本で暮らせる生活資金が十分に確保できるか
- 法律婚しているか(配偶者の場合)
- 同居すること
日本で暮らせる生活資金が十分に確保できるか
配偶者を日本に呼ぶ際には、「日本で一緒に暮らすだけの生活資金が確保できているか?」が最も大切な審査ポイントになります。
ただし留学生は、資格外活動許可をとってもアルバイトできるのは週28時間までで、稼げても月10万円前後になりますので、アルバイトだけの収入証明では難しく、海外で暮らす「親からの仕送り」がいくらあるかが重要になります。
仕送り以外では、「貯金額」「奨学金をもらっている」など審査が有利になる場合もありますが、多くのケースでは海外に暮らす家族からの仕送り金額を証明して、申請することになります。
具体的にいくらあれば良いかという基準は示されていませんが、「家賃や食費なども含めて少なくても1年以上は暮らせるだけの金額があるか」ことが必要です。
生活資金があることを証明する資料とは?
生活資金を証明する資料の一例をお伝えすると、一般的なのは、親の収入証明書と親からの毎月の送金記録の書類になります。
その他には銀行口座の預金残高を証明することも有効な方法ではあります。
資金を証明する資料
- 親の収入証明書
- 親からの送金書類
- 銀行口座のコピー(海外のものも含む)
- アルバイトの給与明細
- 奨学金の受給証明書
- 家や土地の謄本(持ち家の場合)
これらの書類を提出するだけでなく、1ヶ月の生活費を計算し、確保できている資金から計算して余裕をもって生活できる旨を説明するのも効果的です。
法律婚をしているか
海外では事実婚を認めている国もありますが、日本では「法律婚」していないと家族滞在ビザの取得はできません。
法律婚とは、法律的に結婚が認められていることを言うので、法律婚している証明として、家族滞在ビザの申請時には「結婚証明書」の提出が必要です。
連れ子の場合には、親権があるかが重要
海外在住の子どもを日本に呼ぶことも可能で、子どもを呼ぶ場合には、親子関係を証明する資料として、子どもの出生証明書の提出が必要です。
仮に離婚してしまっている場合は、子どもの親権があるのか証明できる書類が必要となり、親権がない場合には日本に呼ぶことは難しくなってしまいます。
同居すること
海外在住の配偶者を日本に呼ぶ目的としては、日本で一緒に暮らすためになりますので、日本に来た後には一緒に暮らす(同居)することが必要です。
配偶者は日本に仕事をしに来るわけではないので、原則、別居は認められておりません。
家族滞在ビザの申請の必要書類は?
それでは、具体的に海外在住の配偶者を日本に呼ぶために、家族滞在ビザ申請の必要書類をご説明していきます。
海外在住の配偶者を日本に呼ぶためには、日本での生活資金の証明が必要となるので、その書類は人それぞれ変わると思うので、下記資料は参考にしていただきながら、適宜証明できる資料を集めてもらえたらと思います。
必要書類一覧
- 申請書(在留資格認定証明書交付申請書)
- 証明写真1枚(縦4cm×横3cmで3カ月以内に撮影されたもの)
- 配偶者パスポートのコピー
- 留学生の在留カード
- 留学生のパスポート
- 結婚証明書(配偶者を呼ぶ場合に必要)
- 出生証明書(子どもを呼ぶ場合に必要)
- 経費支弁能力を証明する書類(親からの仕送りの資料や通帳のコピーなど)
- 留学生の在学証明書及び成績証明書
- 賃貸借契約書のコピー(一緒に住む家のもの)
審査期間はどのくらい?
海外在住の配偶者を日本に呼ぶ場合の家族滞在ビザの申請は、約3ヶ月ほど審査に時間がかかります。
近年、入管はすごい混みあっており、以前は1ヶ月~2ヶ月ほどで審査が完了していたのですが、近年は3ヶ月ほどかかることが多いです。
ただし、申請する入管の場所によっても混み具合は変わってくるので、地方で混雑していない入管であれば、2ヶ月前後で審査が完了することもあります。
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