留学ビザから家族滞在ビザに変更する条件と注意点
家族滞在ビザは、外国人同士で結婚した場合に取得することができるビザで、外国人の間では「家族ビザ」と呼ばれたりしています。
家族滞在ビザは、結婚したら誰でも取得できるわけではなく、相手(妻または夫)が就労ビザなどで働いていることが必要になります。
そこで今回は、留学生が学校を卒業した場合や途中で退学したい場合に、家族滞在ビザに変更できる条件や注意点についてご説明しつつ、必要書類もご案内していきます。
目次
留学ビザから家族滞在ビザに変更できる条件は?
家族滞在ビザは、日本で就労ビザや留学ビザ(大学など)などの在留資格(ビザ)を取得している外国人の配偶者(妻または夫)か、その子どもが取得できる在留資格(ビザ)になります。
※結婚は法律婚である必要があるので、事実婚は認められておりません。
また家族滞在ビザは、結婚すれば誰でも取得できるビザではなく、下記のような条件があります。
家族滞在ビザを取得できる条件
- 結婚していること
- 同居すること
- 扶養を受けること
結婚していること
最初の条件は「結婚していること」ですが、結婚は「法律婚」である必要があり、事実婚は認められていません。
そのため、申請時には結婚していることの証明として「結婚証明書」の提出が必要になります。
結婚手続きは、日本で結婚しても海外で結婚しても大丈夫です。
日本で結婚した場合は、日本の役所で発行される「婚姻届の受理証明書」が必要になります。
海外で結婚した場合は、海外で発行された結婚証明書を提出します。
同居すること
家族滞在ビザを取得するためには、就労ビザで働く夫または妻と一緒に住むことが必要です。
また家族滞在ビザは、就労ビザの夫または妻以外にも、日本の大学院・大学・短期大学に通う留学生に限り、その配偶者も家族滞在ビザを取得することができます。
家族滞在ビザは、日本で働いている(留学している)夫または妻と日本で一緒に暮らすためのビザなので、仕事をメインですることはできません。
そのため、仕事の関係で別居することは認められておらず、住民票も実際に住んでいるところも同じである必要があります。
扶養を受けること
家族滞在ビザを取得するには、同居に加えて、就労ビザまたは留学ビザの夫または妻から扶養を受けることが必要です。
扶養とは、日本で生活するにあたり、金銭的援助を受けることを言います。
家族滞在ビザは、「資格外活動許可」を取得することで週28時間以内に限りアルバイトをすることができますが、就労ビザのようにフルタイムで働くことはできません。
そのため、就労ビザで働く夫または妻の収入も家族滞在ビザの審査では重要で、子どもが2人以上いるケースでは年収300万円以上が必要になってきます。
留学ビザから家族滞在ビザに変更する際の注意点
ここからは留学ビザの外国人が、家族滞在ビザに変更する際の注意点を説明していきます。
留学ビザから家族滞在ビザに変更する際の注意点
- 相手の収入金額
- 学校の出席率と成績
- オーバーワークがないこと
- 学校を辞めるタイミング
相手の収入金額
扶養側(就労ビザまたは留学ビザの外国人)の収入金額は審査では重要になります。
就労ビザの外国人と結婚した場合には、フルタイムで働いているので収入は問題ないかと思いますが、税金を減らす目的で、海外に暮らしている家族も含めて扶養家族を何人も入れている場合には注意が必要です。
一つの目安として、月額18万円の収入で2人扶養となると、許可されるギリギリのラインになるので、配偶者と子どもの2人扶養であれば、月額20万円は欲しいところです。
ただし近年、日本もインフラで物価があがっているので、今後は必要となる収入金額が増える可能性があります。
留学生同士の結婚の場合
留学生同士の結婚の場合には、留学ビザのままの方(家族滞在ビザを取得しない方)が、通っている学校が重要になります。
具体的には、日本語学校や専門学校に通っている場合は、配偶者の家族滞在ビザの申請はできず、扶養者となる外国人が「大学院」「大学」「短期大学」の学生である必要があります。
そして問題となるのが、大学生などで収入が確保できないという点です。
その場合、「海外に暮らす家族からの仕送り」で生計を立てるのが一般的な方法ですが、その場合は、家族からの海外送金などの証拠書類を提出し、日本で暮らしていけるだけの収入があることを証明する必要があります。
学校の出席率と成績
学校の「出席率」「成績」が悪いと、家族滞在ビザの審査は厳しくなります。
学校の資料である「在学証明書」「出席率証明書」「成績証明書」の提出は任意ではありますが、入管から提出を求められることがあります。
出席率や成績が悪いと「留学ビザが更新できないから、結婚して家族滞在ビザに変更するのではないか?」と思われてしまいます。
学生時代に結婚することは全く問題ないですが、出席率や成績が悪いと「留学ビザの活動をしていなかったのではないか?」と思われ、留学ビザで留学の活動をしていないと判断されてしまうことを在留不良と言います。
在留不良と判断されてしまうと、留学ビザから家族滞在ビザに直接変更することはできず、一度母国などに帰国して、在留資格認定証明書交付申請(COE)をして、再度来日という流れになってしまいます。
そのため、家族滞在ビザに変更する予定でも、留学ビザの間は、学校に通い出生率に加えて成績も保つように努力していただければと思います。
オーバーワークがないこと
留学時代のアルバイト状況も審査対象になります。
留学生は、資格外活動許可を取得していれば、週28時間以内(長期休みの時は週40時間まで)のアルバイトが可能になりますが、それ以上の時間アルバイトをしてしまうことをオーバーワークと言います。
オーバーワークが発覚したり、疑われてしまうと、入管法違反になりますので、家族滞在ビザへの変更申請は不許可になる可能性は高くなります。
たまに「友達もオーバーワークをしていたが、家族滞在ビザが許可になったから大丈夫」と言われる方もいますが、またまたオーバーワークが発覚しなかっただけなので、オーバーワークは絶対にしないようにしてください。
近年、オーバーワークに対しての対応が非常に厳しくなっており、例えば反省文などを書いたとしても、それだけで家族滞在ビザが認められることはありません。
オーバーワークによる不許可の場合、一度母国等に帰国し、在留資格認定証明書交付申請(COE)で再度呼び寄せることになる可能性が高くなりますが、そうなると日本に戻ってくるまでに少なくても3ヶ月以上は時間がかかってしまうことになります。
学校を辞めるタイミング
家族滞在ビザを取得した後でも学校に通うことは可能ですが、学校を辞めたい場合は、家族滞在ビザを取得「後」に辞めるのがベストです。
家族滞在ビザ申請前に学校を辞めてしまった場合は、1日でも早く家族滞在ビザの申請をしましょう。
留学ビザの期限が残っていたとしても、留学ビザは留学するためのビザなので、学校を辞めた後は、留学ビザの活動もアルバイトも活動もできないことになります。
1つの目安として、学校を辞めてから3ヶ月以上、アルバイトのみしていた場合には、本来できないアルバイトをしていたことは在留不良に値し、ルール違反をしていた人にビザの変更は認めないと不許可になってしまうリスクが高くなってしまいます。
また、実際は学校を辞めているが、学校に通っているように申請することは嘘になり、絶対にバレますのでやめてください。
当たり前ですが、嘘をつくとビザはとれなくなります。
家族滞在ビザの必要書類は?
留学ビザから家族滞在ビザに変更する際の必要書類について、ご説明させていただきます。
こちらの書類は一般的に必要となるものので、状況によって追加で必要になる書類もあります。
家族滞在ビザの必要書類
- 在留資格変更許可申請書
- 証明写真(縦4cm×横3cm)1枚
- パスポート(申請者・扶養者の分どちらも必要)
- 在留カード(申請者・扶養者の分どちらも必要)
- 結婚証明書(日本で結婚した場合は婚姻届の受理証明書)
- 直近年度の住民税の課税証明書(扶養者のもの)
- 直近年度の住民税の納税証明書(扶養者のもの)
- 在職証明書(扶養者のもの)
- 住民票(世帯全員分)
- 国際送金の証明書など(どちらも留学ビザの場合)
※学生同士の場合は、生計をどのように立てるのかを証明する必要があります。
上記には、学校の成績証明書などは含めていませんが、「在学証明書」「成績証明書」「出席証明書」の書類は入管から求められる場合があるので、先に提出しておくことも良いと思います。
また、就労ビザの配偶者がまだ働き始めたばかりの場合は、直近の給与明細など収入金額がわかる書類も提出するのが効果的です。