家族滞在ビザで働ける?働くための手続き方法について解説
家族滞在ビザとは、就労ビザで日本で働いている外国人(夫または妻)配偶者と子どもが取得できるビザ(在留資格)になります。
また家族滞在ビザは、就労ビザの外国人に扶養される必要があり、配偶者(夫または妻)が日本で働いているので、その付き添いとして日本に来ていることになります。
そのため、日本にいる目的は「家族帯同」となり、原則としては働くことはできないビザですが、「資格外活動許可」を取得することで、週28時間以内の就労が可能となります。
目次
家族滞在ビザとは?
家族滞在ビザは、日本で就労ビザを持って働く外国人の家族(配偶者または子ども)が、日本で一緒に暮らすために取得するものです。
なお、親や兄弟は家族滞在ビザの取得はできません。
家族滞在ビザを取得するためには、就労ビザの外国人と一緒に暮らし扶養してもらうことが条件で取得でき、配偶者(夫または妻)であれば結婚証明書、子どもであれば出生証明書が必要になります。
家族滞在ビザは何年のビザ?
家族滞在ビザの在留期間は最長5年ですが、就労ビザの家族と連動しているため、就労ビザの家族より在留期間が長くなることはありません。(数か月程度の誤差はあります)
そして、在留期限となる3ヶ月前より更新申請をすることができ、就労ビザの外国人が日本で働いている間は、ずっと一緒に日本で暮らすことができます。
例えば、就労ビザの外国人が1年のビザの場合は、家族滞在のビザも1年になり、更新申請で就労ビザの外国人のビザが3年になれば家族滞在ビザも3年となります。
もしくは、海外から呼び寄せる申請(認定申請)の場合には、就労ビザの外国人のビザが家族滞在ビザの許可時に残り6ヶ月しかない場合には、家族滞在ビザも6ヶ月の許可となります。
家族滞在ビザだけ更新はできる?
家族滞在ビザは、就労ビザの家族に付随しているものなので、就労ビザは更新せずに家族滞在ビザだけ更新することはできません。
例えば、就労ビザの外国人が仕事を終えて母国に帰らないといけなくなった場合は、家族滞在ビザの家族も一緒に帰国する必要があります。
日本でもっと仕事がしたい場合には、家族滞在ビザから就労ビザへの切り替えが必要になります。
ちなみに家族滞在ビザでは、風営法に該当する仕事以外であれば、週28時間以内の飲食店やホテルなどの現場労働でも可能ですが、一般的な就労ビザである技術・人文知識・国際業務では、「学歴」と「仕事内容」の審査があり、現場労働の仕事はできません。
今、現場労働をしていて、その仕事を就労ビザでも続けたい場合は、業種にもよりますが、特定技能という就労ビザをご検討してみてください。
一般的な就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)の要件はこちらから確認できます。
家族滞在ビザで働くための手続き方法
家族滞在ビザは、原則として働くことができません。
しかし、完全に禁止されているわけではなく「資格外活動許可」というものを取得すれば、週28時間という時間制限はありますが、働くことができます。
資格外活動許可は、入管から自動的にもらえるものではなく、自ら申請をしないともらうことはできません。
資格外活動許可を取得する条件は?
専門用語になりますが、資格外活動許可には「包括許可」と「個別許可」という2種類あります。
この中で、家族滞在ビザは「包括許可」に該当し、包括許可とは簡単に言うと、具体的な勤務先や仕事内容が決まっていなくても資格外活動許可の許可が下りるものになります。
そのため家族滞在ビザの資格外活動許可を取得するのは難しくなく、基本的に申請書を提出するのみで足ります。
勤務先が決まっている場合は、申請書に勤務先情報を記載し、契約書などのコピーも提出します。
禁止されている仕事や時間制限について
家族滞在ビザで資格外活動許可を取得した場合は、「飲食店」「工場」「コンビニ」など現場でのお仕事も可能です。
ただし、「風俗営業等にあたる仕事」は禁止されていますので、公共風俗を乱すような仕事はNGで、もちろん法律違反になる仕事もしてはいけません。
就労時間の制限について
資格外活動許可を取得してもフルタイムで働くことはできず、認められているのは週28時間以内の就労になります。
この週28時間とは、1つの会社で週28時間ではなく、複数の仕事をしている場合には、合計で週28時間以内となりますのでご注意ください。
週28時間勤務だと、1ヶ月で約112時間ほどになるため、ほとんどのケースがパートやアルバイトといった雇用形態になります。
一般的な仕事であれば時給1,000円前後だと思いますので、月給は11万円前後になることが多いかなと思いますが、稀にスキルを活かして時給が3,000円や4,000円といった高額の仕事をしている人もいます。
もちろん高時給の仕事でも大丈夫ではありますが、「家族滞在ビザは就労ビザの外国人に扶養されることが条件」となるので、週28時間以内であったとしても年収で103万円以上になり扶養範囲外になってしまうと、家族滞在ビザの更新ができなくなる可能性があるので、収入金額についてもご注意ください。
フルタイムで働きたい場合は?
フルタイムで働きたい場合には、家族滞在ビザから就労ビザに変更するしかありません。
日本の就労ビザは、働く内容(仕事内容)によって取得すべき就労ビザの種類が分かれており、今回はその中でメインの就労ビザを抜粋してご紹介します。
フルタイムで働ける就労ビザ(抜粋)
- 技術・人文知識・国際業務(主にホワイトカラーの仕事)
- 高度専門職(一定基準を満たした専門職)
- 技能(コックさん、指導者、ソムリエなど熟練した技能がある場合)
- 経営管理(会社経営または役員に就任する場合)
- 特定技能(特定産業分野14分野に限り現場労働が可能)
この中で一般的な就労ビザは「技術・人文知識・国際業務」になりますが、技術・人文知識・国際業務の就労ビザは、現場労働ができません。
そのため現場労働の仕事をしたい場合には、「特定技能」を検討してみてください。
週28時間以上働いてしまった場合
繰り返しになりますが「家族滞在ビザで就労できる時間は1週間に28時間以内」です。
週28時間以上働くとオーバーワークと言われ、資格外活動違反となり、近年入管では資格外活動違反に厳しく対応しています。
資格外活動違反となった場合
- 3年以下の懲役か禁錮
- 300万円の罰金
上記のどちらか、もしくは両方が科せられます。
オーバーワークは、「バレないから」「周りの友達も働いているから」と軽い気持ちで違反してしまうと、最悪のケースは家族滞在ビザの取り消しもあり得ます。
家族滞在ビザの更新の際に入管からオーバーワークを疑われてしまうと、すべてのアルバイトの勤務先情報の提出や銀行の通帳のコピーの提出など、入金情報の提出を求められます。
嘘をついてもバレますし、知らなかったという言い訳も通用しません。
週28時間以上働きたい気持ちはわかりますが、家族滞在ビザは働くためのビザではありませんので、資格外活動違反は絶対にしないようにしてください。
資格外活動の確認方法は?
家族滞在ビザの在留カードの裏面には「就労不可」と記載があります。
しかし資格外活動の許可が出ると、在留カードの裏面に「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」というスタンプが押されます。
このスタンプが押されていれば、資格外活動の許可がありアルバイトできる証拠になります。
またパスポートにも「資格外活動許可」のシールが張られますが、日本にいる場合には在留カードの裏面にあるスタンプが証拠となるのでパスポートを持ち歩く必要はありません。
さらに2024年1月1日より、オンラインで申請した資格外活動許可の許可後の受け取りが郵送で可能となりました。
郵送で受け取る場合は、「資格外活動許可書」が発行されるようになり、少し大きいですが、パスポートにホチキスで留めておくことも可能となりました。