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就労ビザ

個人事業主が外国人を雇用する際の手続きと注意点、必要書類について

個人事業主(フリーランス)の方でも、外国人を雇用することは可能です。

外国人を雇用する場合には、就労ビザの取得が必要になりますが、個人事業主(フリーランス)は会社(法人)と比べると入管の審査が厳しくなります。

そこで今回は、個人事業主の方が外国人を雇用する時の流れと注意点、さらに必要書類について解説していきます。

個人事業主が外国人を雇用する時の手続きの流れ

永住権や日本人の配偶者など、就労制限がない外国人以外の外国人が日本で働くには「就労ビザ」の取得が必要です。

就労ビザは、法人だけでなく個人事業主(フリーランス)がスポンサーになることも可能です。

日本の就労ビザは、外国人に行ってもらう業務内容によって取得する就労ビザの種類が変わってきますが、今回は一般的な就労ビザである「技術・人文知識・国際業務」について解説していきます。

そして外国人雇用の際、対象の外国人の方が、日本にいるのか海外にいるのか、日本にいる場合は、何のビザで滞在しているのかによって手続きの流れや対応が変わってきます。

雇用予定の外国人のビザの種類

  1. 就労ビザ以外で日本にいる場合(留学ビザや家族滞在ビザなど)
  2. 海外在住の場合
  3. 就労ビザをすでに持っている場合
  4. 永住者や日本人の配偶者の場合

就労ビザ以外で日本にいる場合

留学ビザや家族滞在ビザなど、「就労ビザ以外」の外国人を雇用する場合、就労ビザを取得したでないと、フルタイムで働き始めることはできません。

個人事業主が就労ビザ以外のビザで日本にいる外国人を雇用する流れ

  1. 外国人に内定を出す
  2. 雇用条件を決める(雇用契約書の締結)
  3. 必要書類の収集
  4. 入管に申請をする
  5. 結果通知
  6. 就労ビザの在留カードを受け取る
  7. 就労開始

就労ビザ以外で日本にいる外国人を雇用して就労ビザを取得するためには、就労ビザ申請前に雇用条件を決める必要があります。

具体的には、雇用契約書を締結することが求められますが、外国人を雇用する場合でも日本の労働基準法は適用されるので、労働基準法に触れない内容の契約であるかを確認するようにしてください。

オーバーワークに注意

留学生や家族滞在ビザの外国人を雇用する場合に注意が必要なのが、オーバーワークです。

オーバーワークとは、留学生や家族滞在の外国人は、資格外活動許可を入管から受けている場合のみ週28時間(留学生は夏冬休み期間のみ週40時間可能)のみしかアルバイトができません。

しかし、留学生や家族滞在の外国人の中には、このルールを守らず週28時間以上働いている人がいます。

万が一、オーバーワークが発覚すると、今のビザから就労ビザへの直接の変更はできませんので、一度母国などに帰国してもらい、認定証明書の申請をして再度日本に呼び戻す必要がでてきます。

そうなると、手続きにかなり時間がかかるのと、実際に日本に戻ってきて働いてもらうためには少なくても6ヶ月以上はかかるので、採用スケジュールにも問題が出てくると思います。

そのためオーバーワークをしていないか、面接の段階で確認することをおすすめします。

海外在住の場合

海外在住の外国人でも、雇用することは可能です。

海外在住の場合の申請方法としては、個人事業主の方が外国人の代わりに日本の入管に申請をすることになります。

また海外在住の外国人を雇用する場合には、日本にいる外国人を雇用するよりも審査に時間がかかり、申請する入管の場所にもよりますが、日本での審査だけで約3ヶ月ほどかかります。

個人事業主が海外在住の外国人を雇用する流れ

  1. 外国人に内定を出す
  2. 雇用条件を決める
  3. 必要書類の収集
  4. 日本にある入管に申請
  5. 結果通知(認定証明書)
  6. 海外にある日本領事館で手続き
  7. 来日
  8. 就労開始

海外在住の外国人を雇用する場合も、就労ビザの申請前に、事前に雇用契約書の締結が必要となります。

就労ビザの審査では、雇用条件も審査項目となるため、「就労ビザが取得できたら、この条件で雇用します」というのを事前に決めることが必要になります。

そして申請は外国人が海外にいるので、日本の入管に申請するのは個人事業主の方が代理で行います。

日本での審査には約3ヶ月ほどかかり、許可になると認定証明書(Certificate of Eligibility)というものが発行されます。

そして認定証明書(COE)は紙または電子で発行され、紙の場合は、海外に住んでいる外国人に原本を郵送し、現地にある日本大使館(領事館)で再度VISA(査証)申請を行います。
※電子の場合は、メールで転送するのみで大丈夫です。

VISA(査証)とは、日本に就労ビザのステータスで入国するためのもので、パスポートにシールを貼ってもらえます。

現地の日本大使館(領事館)での審査は、すでに日本での審査が完了しているので、確認程度のものになりますので、約1週間ほどで終わります。

なお、VISA(査証)が発行された後に来日となりますが、来日は認定証明書(COE)が発行された日から3ヶ月以内に来日しないといけないので、ご注意ください。

就労ビザをすでに持っている場合

すでに就労ビザを持っている外国人を雇用する場合(転職の場合)は、外国人が持っている在留カードに記載がある「在留資格の名前」と「在留期間」の日付を確認してください。

同じ仕事内容だったり、同じ在留資格(就労ビザ)でできる仕事内容の場合には、転職後もそのまま働くことができますが、違う在留資格(就労ビザ)の場合は、転職前に在留資格変更許可申請を行い、許可後でないと転職しても働き始めることはできませんので、注意してください。

なお、在留資格変更許可申請をして許可されるまでには、2~3ヶ月ほどかかるので、入社日が決まっている場合には、前職の在籍中でも申請は出せますので早めに手続きを進めるようにしてください。

個人事業主が就労ビザをすでに持っている外国人を雇用する流れ

  1. 外国人に内定を出す
  2. 雇用条件を決める
  3. 就労開始(まだビザ期間が残っている場合)
    ※就労ビザの種類が違う場合は、変更申請をして許可後から就労開始
  4. ビザ更新申請(在留期間の3ヶ月前から可能です)

転職で在留期間が残っている場合

外国人が転職をして、同じ在留資格(就労ビザ)でできる仕事の場合は、転職してすぐに働き始めることができます。

ただし、どんな仕事内容でもできるわけではないので、就労ビザの種類を理解して、外国人に行ってもらえる仕事内容かを理解しておく必要があります。

もし外国人が本当に働ける内容か心配な場合には、「就労資格証明書」の申請を入管にすることができます。

就労資格証明書とは、転職後の仕事が問題ないかを入管が審査してくれるもので、就労資格証明書を取得しておくと、就労ビザ更新の際にも安心して申請することができます。

なお、就労資格証明書の申請は任意ですが、転職した場合には、外国人本人から退職した旨と転職した旨の「届出(所属機関変更の届出)」を入管に出すことは義務となっていますので、忘れずに行ってください。

届出はこちらから手続き

永住者や日本人の配偶者の場合

日本在留の外国人の中には、永住者や日本人の配偶者、定住者など「就労制限がないビザ(在留資格)」を持っている方もいます。

就労制限がないビザ

  1. 永住権
  2. 日本人の配偶者等
  3. 永住者の配偶者等
  4. 定住者
  5. 留学(条件あり)
  6. 家族滞在(条件あり)
  7. 特定活動(ワーキングホリデーなど)

上記①~④のビザの方は、就労制限がないので、日本人と同じように働くことができますので、個人事業主の方が雇った後にビザ申請は不要です。

留学ビザと家族滞在ビザの外国人の場合は、在留カードの裏面に「資格外活動許可」のハンコが押されているか確認してください。

資格外活動許可がある場合は、風営法以外の仕事であれば週28時間以内の就労が可能となりますが、就労時間に制限があるため、フルタイムでの就労はできず、パートやアルバイトになるかと思います。

留学や家族滞在の外国人の方に、フルタイムで働いてもらいたい場合には、就労ビザに変更する必要があります。
※就労ビザに変更したい場合の流れは、上記の「就労ビザ以外で日本にいる場合」を参照してください。

最後に特定活動ビザですが、特定活動ビザはマルチのビザになり、告示されているだけで46種類あり、例えばワーキングホリデーやインターンシップ、就職活動中、難民申請中など様々あります。

そのため、特定活動ビザを持っている外国人の場合には「何の特定活動」なのかを確認する必要があり、確認方法はパスポートに「指定書」という茶色い紙が貼ってあり、そこに何の特定活動なのかが記載されていますので、本人から聞くだけでなく、個人事業主の方本人も自分で確認するようにしてください。

ワーキングホリデーであれば、風俗営業関係以外の仕事であれば、就労制限はないので好きに働くことができます。

個人事業主の注意点は?

個人事業主が、外国人の就労ビザを申請する際には、法人と比べて審査が厳しくなります。

個人事業主の審査が厳しくなる理由としては、「法人と違って事業の実態を証明する資料が少ない」「事業の安定性の証明が難しい」の2つの理由があります。

そのため、個人事業主の方がスポンサーになり就労ビザを申請する場合は、下記に注意して申請する必要があります。

個人事業主が就労ビザを申請する場合の注意点

  1. ビジネスの実態を証明する
  2. オフィスがあることを証明する
  3. 事業の安定性があることを証明する

ビジネスの実態を証明する

個人事業主で最も大切なのは、「ビジネスの実態の証明」です。

法人であれば、法務局が発行する登記簿謄本がありますが、個人事業主の場合は、公的に事業を証明する資料がありません。

ではどのように証明するかと言うと、HPを印刷して提出したり、パンフレットを提出したりすことが一般的です。

HPもパンフレットもない場合には、クライアントへの請求書を3ヶ月~6ヶ月分ほど提出するのも証明としてあります。

HPやパンフレットに加えて、どのようなビジネスをしているのかをまとめた事業計画も一緒に提出することで、審査官に行っている内容が伝わりやすくなるので、審査がスムーズになります。

また、個人事業主は税務署に「開業届」を提出していると思うので、開業届のコピーを提出することで、いつからどんなビジネスを行っているかを証明することもできます。

オフィスがあることを証明する

上記のビジネスの実態の証明部分にもリンクしてくる内容ですが、オフィスがあることの証明も重要となってきます。

近年は「リモートワーク」が普及し始めていますが、就労ビザでは基本的に「オフィスで作業する」ことを念頭において審査をしています。

そのため、オフィスが自宅兼事務所の場合には、外国人は「どこで作業するのか?」「外国人の席は用意できているのか?」なども審査対象となってきます。

仕事内容的に、オフィスでないと仕事できないのに、オフィスが存在していないと、本当に仕事をするのか疑義が出てしまうため、審査はかなり厳しくなります。

リモートワークで仕事をさせたい場合は、「外国人に行ってもらう仕事内容を明確に説明」「1日のスケジュール説明」をして、オフィスがなくても問題ない仕事内容であることを証明することで、リモートでの就労ビザも取得可能です。

説明資料を作成するのは面倒なことですが、入管の審査では、申請する私たちに証明義務があり、入管が許可になるために必要なものを教えてくれるわけではないので、不透明は部分は積極的に説明・証明するようにしてください。

事業の安定性があることを証明する

個人事業主の場合には、法人と違い決算書がなく、会社の業績を把握しづらいです。

もちろん、個人で確定申告をしているはずなので、個人の確定申告書である程度は把握できますが、個人事業主の場合は、利益がすべて個人の収入となり、法人のような「繰越利益剰余金」がないので、ビジネスの安定性があるのか判断しづらいです。

また個人事業主の方の中には、税金の支払いを少なくするために確定申告の際に経費を多く入れ、個人所得を低く申告される方もいます。

そうなると書面上は、利益があまり残っていないビジネスと見えてしまうため、外国人を雇用して本当に給与が支払えるのか?と言う疑問が出てきてしまいます。

そういった場合には、事業計画書に加えて1年~3年の収支計画書も作成し、今後の事業の見通しも示すことで、事業の安定性を示すことができます。

就労ビザ申請の必要書類は?

それでは実際に個人事業主の方がスポンサーになって就労ビザを申請するために必要な書類を確認していきましょう。

下記は一般的に必要となる必要書類となり、就労ビザを取得する外国人が日本にいるのか、海外にいるのかで必要書類は若干変わってきますので、状況に合わせて任意で提出する書類をご準備ください。

個人事業主がスポンサーになって就労ビザを申請する場合の必要書類

  1. 申請書(入管のHPから取得可能)
  2. 証明写真1枚(縦4cm×横3cm、撮影から3か月以内のもの)
  3. パスポート
  4. 在留カード(日本在住の場合のみ)
  5. 履歴書
  6. 卒業証明書
  7. 成績証明書
  8. 雇用契約書(労働条件通知書でも可)
  9. 理由書(外国人に行ってもらう業務の具体的な内容について)
  10. 事業計画書(ビジネス内容や収支計画について)
  11. 直近の確定申告書
  12. 事業のパンフレットまたはホームページを印刷したもの
  13. 取引の実態がわかる契約書や発注書など(開業後1年を経過していない場合のみ)
  14. 給与支払い事務所等の開設届出書(開業後1年を経過していない場合のみ)
  15. オフィスの写真(状況に応じて)

上記以外にも、説明をしないとわからないことについては、任意で証明できる書類を提出するようにしてください。

入管の審査はすべて書面審査になり、面接がありません。

わからないことや不明点があれば入管から聞いてくるだろうという考えで申請してしまうと、最悪の場合、いきなり不許可となることもあり得ますので、説明がないとわからないと思われる部分はこちらから理由書を作成するか、証明書類を任意で提出するように心がけてください。

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