留学ビザから就労ビザに変更する流れと必要書類について
留学生がフルタイムで働くためには、就労ビザへの変更が必要です。
しかし留学生が就職先を見つけるのは簡単ではないので、学校を卒業するまでに就職先が決まる人もいれば、卒業後も就職活動をしなくてはいけない人もいます。
そこで今回は、在学中に就職先が決まった人、卒業後も就職活動をしたい人など、ケース別に就労ビザに変更する流れをご説明していきます。
また、大学や専門学校などを卒業して、日本で就職する留学生の約9割は「技術・人文知識・国際業務」という就労ビザを取得しますので、技術・人文知識・国際業務ビザに変更申請することを前提として解説していきます。
目次
ケース別の留学ビザから就労ビザに変更する流れについて
留学ビザから就労ビザに変更するには、「就職先が決まっていること」が必要です。
就職先が決まっていない場合は、就労ビザへの変更申請ができないので、まずは就職先を決めなければいけません。
ただし留学生が日本で就職先を見つけるのは大変なので、卒業後も就職活動をしないといけない留学生も多いと思いますので、ここではケース別でご説明していきますので、あなた自身の状況に応じて、注意点を確認してみてください。
在学中に内定をもらった場合
在学中に内定をもらった場合は、就労ビザへの変更申請は「卒業年度の12月」から行うことができます。
(2023年3月卒業であれば、2022年12月から申請可能です)
留学ビザから就労ビザに変更する流れ(在学中に内定が決まった場合)
- 就職先を決める(内定をもらう)
- 雇用契約の締結
- 申請書類を集める
- 就労ビザに変更申請を行う
- 学校を卒業
- 卒業証書を入管に提出
- 就労ビザの許可
- 就労開始
就労ビザの申請をいつまでにしないといけないといった期限はありませんが、就労ビザを取得後からでないと働くことができないので4月入社の場合には、早めに申請を出す必要があります。
毎年12月~5月くらいまでは、新入社員の申請で入管の審査は大変混みあうため、通常よりも審査に時間がかかることが予測されるため、なるべく早めに手続きするようにしてください。
(平均審査期間は、2か月~3か月ほどです)
入管も入社日に間に合うように審査は進めていますが、申請件数が多いとすべての方の申請を入社日に間に合わせることは難しくなってしまいます。
万が一、入社日までに就労ビザの許可が下りない場合には働くことができないので、入社日を遅らせる必要がでてきてしまいます。
結果通知が来るのは、卒業証明書を提出した後
技術・人文知識・国際業務ビザでは、学歴の要件があります。
例えば日本での大学を卒業することを前提として就労ビザの申請をしている場合、大学の卒業証明書を提出しないと就労ビザの許可はおりません。
卒業年度の12月に申請をしたとしても卒業が3月であれば、3月の卒業式後に卒業証明書を入管に提出することで、就労ビザの在留カードをもらうことができます。
卒業後に内定をもらった場合
学校を卒業後まだ就職先が決まっていない場合は、就職活動ビザ(特定活動)に変更する必要があります。
就職活動ビザは学校からの推薦状が必要で、6ヶ月のビザを2回、最大1年間活動することができます。
卒業後も留学ビザの期限があるからといって、留学ビザのまま就職活動をしていると、就労ビザに変更申請する際に不利に扱われます、卒業後に就職活動する場合は、必ず就職活動ビザ(特定活動)に変更するようにしてさい。
また卒業後、留学ビザの期限が残っていてもアルバイトをすることはできず、アルバイトをしたい場合は就職活動ビザ(特定活動)に変更後、資格外活動許可を取得して留学ビザと同じ週28時間以内でアルバイトをすることができるようになります。
留学ビザから就労ビザに変更する流れ(卒業後に内定が決まった場合)
- 学校を卒業
- 就職活動ビザ(特定活動)に変更申請する
- 就職先を決める(内定をもらう)
- 雇用契約の締結
- 申請書類を集める
- 就労ビザに変更申請を行う
- 就労ビザの許可
- 就労開始
学校をすでに卒業している場合、内定が決まったらすぐに就労ビザに変更申請することができます。
実際にフルタイムで働き始められるのは、就労ビザへの変更申請が許可された後になり、就職活動ビザから就労ビザへの変更申請は、審査期間が約2~3ヶ月ほどかかるため、就労ビザの審査に時間がかかる旨を伝えておきましょう。
ちなみに審査期間中は、就職活動ビザで資格外活動許可を取得している場合は、アルバイトで研修などすることは可能です。
入社日までに時間が空いてしまう場合
内定はもらったものの、入社日がだいぶ先(来年の4月など)の場合には、「内定待機ビザ(特定活動)」に変更する必要があります。
例えば、学校卒業後7月に内定が決まったが入社は来年の4月の場合は、半年以上も先の入社になるので、内定待機ビザ(特定活動)への変更申請をする必要があります。
ただし、内定待機ビザもあまり先すぎる入社の場合には認めらず「内定後1年以内である、かつ卒業後1年6カ月以内に採用されること」と決まっています。
そのため、1年以上先の入社では内定待機ビザ(特定活動)の取得はできませんので、入社日について会社ともう一度話あってもらうほうが良いと思います。
ちなみに内定待機ビザ(特定活動)も、資格外活動許可の申請をすれば、週28時間以内のアルバイトが認められます。
就労ビザに変更するための必要書類について
留学ビザから就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)に変更する申請では、留学生が用意する書類と、会社が用意する書類で分かれています。
また、留学生の状況に応じて必要書類が増えることがありますが、今回は最低限必要な書類についてご案内させていただきます。
留学生が集める書類
- 在留資格変更許可申請書(申請人等作成用)
- パスポート
- 在留カード
- 証明写真(撮影から3ヶ月以内のもの)
- 卒業見込証明書(在学中の場合のみ)
- 卒業証明書(卒業後の場合のみ)
- 成績証明書
- 履歴書(高校卒業以降の学歴と職歴がわかるもの)
- 日本語能力試験の合格書(行う業務内容に応じて)
会社が集める書類
- 在留資格変更許可申請書(所属機関等作成用)
- 直近年度の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(電子申請メールまたは税務署の受理印があるもの)
- 法人登記事項証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
- 雇用契約書または労働条件通知書
- 決算報告書(貸借対照表・損益計算書)
- 会社HP情報やパンフレットなど(会社概要などがわかるもの)
- 雇用理由書(採用の経緯、留学生に行ってもらう職務内容を説明する内容)
なお、就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)の申請では、会社の規模にで必要書類が省略できるカテゴリーと言う区分があります。
カテゴリーの詳細はこちら
例えば、上場企業や保険業の会社などをカテゴリー1、法定調書合計表に記載の源泉徴収税額が1,000万円以上の企業をカテゴリー2と定めています。
なお、カテゴリー1や2の企業に就職する場合は、3年や5年ビザと言った長い年数のビザが取りやすくなるとされています。
留学ビザから就労ビザに変更する際の基本情報
さいごに、留学ビザから就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)に変更するための基本知識について、ご案内させていただきます。
留学ビザから就労ビザへの変更申請は、「留学生本人」または「行政書士・弁護士」などが行います。
原則、会社の担当者が行いことはできませんが、入管より申請取次の届出をして認められている場合にのみ、担当者が申請を取り次ぐことができます。
申請場所について
就労ビザの申請は、留学生が住んでいる地域を管轄している入管で行います。
(埼玉県在住なら、東京入管・さいたま入管で申請が可能です)
ただし、2022年から勤務先の会社(所属予定機関)の管轄する入管でも申請ができるようになりました。
さらに支店が複数ある企業の場合には、採用担当者が所属する地域を管轄する入管でも、採用担当者のサインなどがあれば可能になりました。(ただし、事前に入管に要確認)
就労ビザの審査期間は?
就労ビザの審査は、「申請時期」「入管の場所」「審査内容」により審査にかかる時間が変わります。
東京入管の場合は、おおよそ2〜3ヶ月程度かかりますが、1ヶ月程度で審査が終わる場合もあれば、4ヶ月程度かかってしまう場合もあるので、申請は余裕を持って行うようにしてください。
そして、新入社員(4月入社)の申請が増える12月〜翌5月の間は審査件数が激増するため、想定よりも審査に時間がかかる場合があります。
審査結果について
入管の審査が終わると入管から通知書が届きます。
入管の窓口で申請した場合は「ハガキ」、オンラインで申請した場合は「メール」が届きます。
入管からの通知には、「許可」「不許可」という明確な記載はなく、許可の場合は4,000円の収入印紙が必要と書かれています。
許可後に就労ビザの在留カードを発行してもらうための必要書類は、「在留カード」「パスポート」「収入印紙4,000円」「申請受付票(窓口申請の場合)」「通知書(窓口申請の場合)」「結果通知メール(オンライン申請の場合)」「手数料納付書」です。
「手数料納付書」は、入管の窓口でもあるので、新しい在留カードを窓口受け取りにしている場合は、入管で入手できます。
許可通知書が在学中に来た場合
12月中に申請を出すと、翌年1月・2月に許可通知が届く場合があります。
在学中に就労ビザの許可通知が来た場合は、人によりますが、学校の卒業式(3月)が終わり、卒業した後に卒業証明書(学位の記載があるもの)と一緒に新しい在留カード(就労ビザ)を取りに行く流れになります。
そのため、学校を卒業するまでは大切に通知書(またはメール)を保管しておく必要があります。
働き始められるのは、新しい在留カードを受け取った後から可能
入管から通知書(またはメール)を受け取っても、就労ビザの新しい在留カードを取得するまでは、働き始めることはできませんのでご注意ください。
そのため、会社の入社手続きについても、留学ビザから就労ビザの新しい在留カードに変更されたことを直接確認してから、行うようにしてください。