技能実習から特定技能に変更するメリットとデメリット
技能実習と特定技能の違いとは?
Q.「技能実習生を受け入れているが、このまま技能実習の方がいいのか・特定技能に変更する方がいいのか、どちらでしょうか?」
最近このような質問を受けることが多くなりました。
この点においては、まずそれぞれの制度趣旨から見ていきましょう。
技能実習
途上国に対して、日本の技術を移転することが目的
このように技能実習では人材不足を担う目的で受け入れているという現実はありますが、もともとは国際協力として日本の技術移転が趣旨となっています。
特定技能
人材不足が申告な業種に対して、即戦力としての人材を確保することが目的
一方、特定技能は人材不足を補う目的であり、即戦力として活躍してもらうために新設された在留資格(ビザ)です。
この制度の違いから、技能実習から他の在留資格(ビザ)に変更すると言ったことは原則不可で、技能実習が修了すると制度趣旨から一度国に帰ることが求められています。
※技能実習から特定技能に変更する場合は、一度帰国しなくても可能。
特定技能の場合には、人材不足を補う制度なので、転職が可能で、さらに建設業と造船・舶用工業の2業種は、特定技能2号に移行でき、2号からは永住権の申請までできるようになっています。
技能実習3号の注意点
技能実習2号を修了すると、技能実習3号に移行するか・特定技能1号に変更するか2択になってきます。
その際、技能実習3号に移行してしまうと、技能実習3号が修了するまでは特定技能に変更することができなくなってしまいます。
技能実習3号が修了すれば、特定技能に変更することは可能ですが、技能実習3号の途中に特定技能に変更したいとなって会社を辞めたとしても特定技能への変更は認められず、一度帰国して認定申請をしたとしても、辞めた理由次第では許可をとれなくなってしまいます。
これは技能実習の制度趣旨によるもので、技能実習制度はあくまでも技術移転が目的なので、技術移転をしていないと判断されてしまうと、他の在留資格(ビザ)は取れなくなってしまいます。
直接技能実習→特定技能に変更できるのは、2号または3号を修了したタイミングであれば直接変更申請ができます。
(申請準備は、修了する6ヶ月~3ヶ月前から行います)※詳しくは後述
メリットとデメリット(特定技能)
では特定技能のメリットとデメリットについてみていきましょう。
特定技能のメリット
- 建設業と造船・舶用工業分野については、就労期間が無制限の特定技能2号への移行ができる
- 1社あたりの特定技能人材の受け入れ人数制限がない(建設業・介護については制限あり)
- 技能実習よりも手続き方法はわかりやすく、早く呼び寄せられる
- 技能実習生から特定技能に直接変更ができる
- 即戦力人材を雇用できる(座学研修が少ない)
デメリット
- 外国人本人の転職が可能
- 技能実習生以外で試験を受けて特定技能を取得する場合の試験開催が不定期
- 建設業と造船・舶用工業分野以外の業種は、最大5年間の就労期間制限がある
- 日本人と同等以上の給与水準が必要になる
メリットとデメリット(技能実習)
では、技能実習についてのメリットとデメリットも見ていきましょう。
技能実習のメリット
- 転職が実質できないので、安心して雇用できる
- 人材確保が比較的しやすい
技能実習のデメリット
- 1社あたりの受け入れ人数に制限がある
- 申請がとても複雑
- 入国後に座学研修があったり、即戦力として育てるのに時間がかかる
- 法的制限が強くなっている
- 対象国が限定されている(計16か国)
インド・インドネシア・ウズベキスタン・カンボジア・スリランカ・タイ・中国・パキスタン・ネパール・バングラデシュ・フィリピン・ベトナム・ペルー・ミャンマー・モンゴル・ラオス
技能実習から特定技能に変更する方法と期間
技能実習から特定技能に変更する際は、技能実習2号を1年10ヶ月以上(1号から計2年10ヶ月)実施していて良好に修了する見込みのある実習生が対象です。
簡潔に言うと、技能実習2号を修了する2ヶ月前から申請が可能となります。
特定技能の入管での審査には、1ヶ月~3ヶ月ほどかかるので、技能実習2号が1年10ヶ月過ぎたタイミングですぐに申請をしていくことが必要になります。
技能実習2号を修了してから申請することもできますが、審査期間中の就労は不可ですので、外国人本人も精神的に不安定になってしまう可能性があるため、早めの申請をお勧め致します。
なお建設業に関しては、入管へのビザ申請前に国交省での計画認定を受ける必要がありますが、この計画認定は、技能実習2号が1年6ヶ月修了していれば申請できるので、先に手続きを進めておく必要があります。(国交省の計画認定は約1ヶ月~2ヶ月ほどかかります)
注意点
技能実習が修了し、特定技能への変更申請が在留期限に間に合わず一度帰国することになると、手続きがより煩雑になり、費用も多くかかってしまいます。
理由としては、一度帰国すると国にもよりますがベトナムの場合は、認定送出機関を通さなくてはいけなく、手数料がかかってしまいます。
そのため、技能実習から特定技能に変更することが決まっているのであれば、技能実習2号が修了する6ヶ月前には少しずつ準備を進めていくスケジュール感を持って頂ければと思います。
(技能実習3号においても同様です)