配偶者ビザで取得できる期間とは?長い年数のビザが取得できるコツも解説

国際結婚をして、日本で外国人配偶者を一緒に住みたいと考えた場合、取得するビザは配偶者ビザ(日本人の配偶者等)になります。
そして、できれば長い年数のビザを取得して、安心して生活したいと考える方も多いと思います。
日本の配偶者ビザは、6月・1年・3年・5年の4種類の期間があり、どの年数のビザを取得できるかは審査で決まります。
そこで今回は、どのように審査されてビザの年数が決まっているのかと、なるべく長い年数のビザを取得できるコツについて解説していきたいと思います。
目次
監修者

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行政書士法人フォワード
塩野 豪 GO SHIONO行政書士 Immigration Lawyer
フィリピン・カナダに合計5カ月居住し、海外での生活の大変さを知る。
その後、2016年に行政書士として独立して、ビザ申請代行サービス「ビザプロ」を開始する。
その後、累計400社・45か国以上の方の在留資格(ビザ)サポートを行う。
その他にも、日本法人の設立などのサポートを行い、外資系の日本進出コンサルティングも行っている。
人材紹介会社・管理団体・専門学校等とも顧問契約を結び、入管業務に特化したコンサルティングサポートを展開し、セミナー講師も積極的に行っている。
配偶者ビザの期間について
日本の配偶者ビザの在留期間は、6月・1年・3年・5年の4種類あります。
配偶者ビザの申請時に申請書に希望の年数を記載しますが、必ず希望の年数がもらえるわけではありません。
配偶者ビザの年数は、入管の審査で決定し、結婚生活の継続性や、収入の安定性、納税義務の履行状況、素行要件(犯罪歴)などを総合的に判断して決められます。
ビザ申請は面倒ですし、不許可になったらどうしようという不安から、最長の5年や3年ビザを希望する方が多いと思いますが、いきなり5年ビザを取得できることはほとんどありません。
まずは3年ビザを取得して、その後に5年ビザという流れが一般的となるので、まずは3年ビザを取得できるように配偶者ビザ申請を行っていくことになります。
ちなみに最短の6月のビザですが、こちらは離婚協定中や事情があり別居している場合などに取得する年数となっているので、通常の配偶者ビザでは、最も短い年数は1年となります。
新規の場合は1年ビザとなることが多い理由とは?
一般的に新規で配偶者ビザを申請する場合は、1年ビザとなることが最も多いです。
1年ビザになる理由としては、「1年後にも結婚生活が継続されているか確認するため」「日本での収入に安定性があるか確認するため」「納税義務がしっかり履行されているか確認するため」の3つが主な理由となっています。
そのため、新婚で最初から離婚を考えている人はいないと思いますが、入管としては1年後も結婚生活が続いているか確認したいという意思表示で1年ビザとなっていることがほとんどです。
また、海外で結婚生活を送っていて、日本に移住してくるケースにおいては、結婚生活の継続性については問題ないケースが多いですが、収入の安定性と納税の関係で、1年ビザとなることが多くなっています。
それでは、1年後の更新申請で3年ビザがもらえるのかというと、多くの場合は「1年→1年→3年→5年」という流れでビザ年数が長くなる傾向にあります。
これは入管の判断としては2年ほど結婚生活が続けば、今後も結婚生活が続く可能性が高いと判断しているようです。
さらに配偶者ビザの納税の審査では、主に「住民税」の支払いについて審査しており、日本の住民税の納税システムにおいて、毎年5月中旬~6月上旬にかけて、前年の年収の証明書(住民税の課税証明書)が取得できるようになり、6月から納税が開始されます。
そのため、ビザの申請時期によっては、配偶者ビザを取得して1年経っていても納税が始まっていないこともあり、結果的に2年間にわたり1年ビザで確認をするという流れとなっています。
配偶者ビザの年数を決める基準は?
それでは実際に、6月・1年・3年・5年の4種類ある在留期間について、具体的にどのような基準に基づいて審査されているのか、入管の審査要領に記載されている範囲でご紹介させていただきます。
5年ビザの審査基準は?
まずは配偶者ビザで最長の5年ビザですが、5年ビザを取得するための判断として下記内容が審査されています。
5年ビザの判断基準
- 入管法に基づく「届出義務」の履行を行っているか
- 公的義務の履行に問題はないか
- 納税義務は履行しているか
- 子どもを学校に通わせているか(子どもがいる場合のみ)
- 結婚して同居期間が3年以上あるか
上記5つの条件をすべて満たしていることが5年ビザを取得するための条件となります。
前提として、結婚して同居期間が3年以上という条件があるため、新婚でいきなり5年ビザを取得することは実質不可能となっています。
そして子どもがいる場合は、子どもの教育について、義務を全うしているかどうかの確認もしています。
さらに納税義務において、主に住民税の支払いを履行しているかを確認しており、滞納や未納がある場合は、5年ビザの取得は難しくなります。
3年ビザの審査基準は?
続いて3年ビザですが、3年ビザを取得するための条件は、5年ビザとそこまで変わりませんが、5年ビザよりも緩く審査されています。
3年ビザの判断基準
- 入管法に基づく「届出義務」の履行を行っているか
- 公的義務の履行に問題はないか
- 納税義務は履行しているか
- 子どもを学校に通わせているか(子どもがいる場合のみ)
3年ビザでは、結婚してからの同居期間についての条件がなくなっていますが、実質的には約2年経たないと3年ビザを許可しないとしていることが多いです。
しかし5年ビザと違い、必ずしも2年の結婚してからの同居期間がなくても許可される場合もあります。
なぜ、2年の同居期間を満たしていなくてもいきなり3年ビザがもらえるかは、入管には職権があるのと、人によって審査しているので、実質的に人によって若干審査方針が違ってくるということが起きるからになります。
ただし、納税義務については厳しく審査されているので、仮に納税義務を履行していない場合は、3年ビザをもらえる可能性はほとんどなくなります。
1年ビザの審査基準は?
1年ビザについては、新婚の場合など、新規で配偶者ビザを取得する場合に許可されることが多い年数になります。
1年ビザの判断基準
- 入管法に基づく「届出義務」の履行を行っているか
- 公的義務の履行に問題はないか
- 納税義務を履行しているか
- 1年後に再度状況を確認する内容がある場合
1年の配偶者ビザを取得するためにも、納税義務の履行などは必要なりますが、結婚していて安定した収入がある場合は、1年ビザの取得は可能です。
3年以上の長い年数のビザを取得するためには、結婚の継続性や収入の安定性などが関係してきます。
6月ビザの審査基準は?
6月の配偶者ビザは、離婚調停中や離婚訴訟中の場合にもらえるビザになります。
離婚調停中や離婚訴訟中の場合で、すでに別居していて実質的に婚姻生活は破綻しているが、手続き上、日本にいることが必要な場合にもらえる年数になります。
長い年数を取得するコツについて
ここまでご説明させていただきましたように、配偶者ビザではまず1年ビザになる可能性が高いです。
そしていきなり5年ビザの取得は難しいので、まずは3年ビザを取得できるように申請することになります。
そこで3年ビザをどのようにしたら取得しやすくなるのかの方法についてご説明していきます。
3年ビザを取得しやすくするコツ
- 納税の納期を守る
- 在職証明書や収入証明書など、安定した収入があることを証明する
- 出国日数を少なくする
- 持ち家の場合は、土地/建物の謄本を提出する
- 同居していること
- 子どもがいる場合は、学校に通わせる
- 入管法、その他関係法令を順守する
まず納税義務はかなり厳しく審査されているので、会社員で特別徴収(給与から天引き)の場合は問題ないですが、普通徴収(自分で支払う場合)の人は、納期までに支払うことが大切なので、口座振替にして支払い忘れが起きないようにしておきましょう。
そして、在職証明書や収入証明書などで、生活の安定性を示しつつ、これからも日本で暮らし続けることをアピールして、日本からの出国もなるべく少ない方が審査では有利に扱われます。
その他、持ち家がある場合は、家賃がかからず生活できるので、その分安定性があると判断される可能性は高いので、法務局で取得できる土地または建物の登記簿謄本を取得して、名義人本人であることを証明するのも有効となり得ます。
他⑤~⑦の3つの項目は、上記の審査基準でご説明させていただいた内容になりますが、例えば引っ越した場合などは、14日以内に在留カードの住所変更をするなど、細かいルールもしっかり守ることも重要とされています。
ビザ更新はいつからできる?
配偶者ビザは、在留期限の箇所に記載ある有効期限の日付けの3か月前から更新申請が可能となります。
更新申請の案内は、どこからもありませんので、ご自身たちで管理して在留期限内に行う必要があります。
仮に在留期限を過ぎてしまった場合には、オーバーステイになってしまいますが、過ぎてしまった日数によっては、また配偶者ビザをもらうことは可能ですが、長い年数のビザはもらいづらくなりますので、注意が必要です。
配偶者ビザの更新申請の際、長い年数をもらうために、納税義務や結婚生活の継続性、収入の安定性に気を付けて申請するようにしてください。
入管の審査官は、提出された資料をもとに審査しますので、何か説明しないとわからない状況の場合には、申請人に説明義務が生じますので、何か不明点があれば入管から連絡があると思わず、こちらから積極的に説明資料を作成して提出するように心がけてください。
なお、一度入管に提出した資料は返却できませんので、特に日付など間違えないようにしてください。
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