配偶者ビザから永住申請するための要件と注意点について
配偶者ビザを持っている外国人は、永住申請する際、緩和されている要件がいくつかありますが、その要件の中でも最短で1年~3年で永住申請ができるというのは大きなメリットになります。
しかし一方で、配偶者ビザならではの注意点もあり、すぐに改善できない内容も含まれていることから、事前に永住申請における取得要件を把握しておく必要があります。
そこで今回は、日本人または永住者と結婚して配偶者ビザを持っている外国人が永住申請をするための要件と注意点についてご説明していきます。
目次
配偶者ビザから永住申請するための要件とは?
日本人または永住者と結婚した外国人は配偶者ビザを取得できますが、配偶者ビザを取得していると永住申請の要件が緩和されます。
緩和されたとしても永住申請は、かなり厳しい要件になっており、細かく分けると6つに分けることができますので、細かく確認していきましょう。
配偶者ビザから永住申請するための要件
- 結婚して3年以上経過し、引き続き1年以上日本に居住していること
- 配偶者ビザの年数が3年または5年であること
- 安定した収入があること
- 納税義務を履行していること
- 社会保険の支払いを行っていること
- 素行が良好なこと
結婚して3年以上経過し、引き続き1年以上日本に居住していること
一般の外国人の場合は、「引き続き日本に10年以上居住し、そのうち5年以上は就労できる在留資格(ビザ)であること」とされていますが、配偶者ビザの場合は最短1年~3年で永住申請ができます。
配偶者ビザの場合、永住申請できるまでが最短1年~3年と幅があるのは、結婚後どの国で暮らしていたかによって変わるからになります。
配偶者ビザから永住申請できる年数は、結婚期間が3年以上あって、そのうち1年以上は引き続き日本に住んでいることが必要となりますので、結婚してすぐに日本に一緒に住んだ場合は、3年後に永住申請が可能です。
一方、結婚して海外に3年以上住んでいた場合は、日本に移住して1年後に永住申請が可能となります。
ここでの注意点は「結婚期間」と「引き続き日本に住む」という2つの意味になります。
婚姻期間は、結婚している期間ではなく、結婚して実際に一緒に生活していた期間を指すので、結婚はしていたが別居していた場合は、婚姻期間3年に含めることができません。
そして引き続き日本に住むという意味は、日本に住民票があるだけでなく、日本からの出国が少ないことを指しています。
具体的には、1回の出国で3ヶ月以上の出国や1年間の合計で120日以上(100日以内が安全ライン)出国していると、日本に引き続き住んでいるとはカウントしてもらうことができません。
配偶者ビザの年数が3年または5年であること
配偶者ビザは、5年・3年・1年・6月の4種類の在留期間がありますが、永住申請できるのは5年または3年の配偶者ビザのみです。
そのため、1年または6月の配偶者ビザの場合は、永住申請をすることができないので、まずは3年または5年の配偶者ビザの取得を目指す必要があります。
安定した収入があること
永住申請では、安定した収入があることが必要になっており、一般の外国人の場合は、外国人本人の年収のみで審査されますが、配偶者ビザの外国人の場合は、世帯年数で審査してもらえるので、日本人配偶者が仕事をしている場合は、その収入金額も含めて審査してもらうことができます。
そして永住申請で求められる安定した収入金額は、居住しているエリアにもよりますが、おおむね年収300万円以上が基準となっています。
しかし、扶養家族がいる場合は1人につき、+70万円が必要になってきますので、家族構成によって必要な年収が変わってきます。
この年収は、最長で3年分の年収が審査されることになり、3年間すべてにおいて基準年収をクリアしていることが求められています。
納税義務を履行していること
日本で納税を行っていることも重要な要素となっており、現時点では「住民税」「所得税」が審査対象となっています。
納税は、支払っていることは当然として、遅延があると遅延の回数によっても審査に影響が出ますので、納税は納期を守ってしっかり履行することが必要です。
なお海外在住で、日本での納税がなかった場合は、その旨の説明をすれば問題ありません。
社会保険の支払いを行っていること
税金に加えて、社会保険の支払いも同様に、滞納・遅延なく支払いを行っていることが必要になります。
社会保険は、直近過去2年分の支払いが審査対象となっているのに加え、外国人のみでなく、日本人側の支払いも審査対象となります。
そして、社会保険の支払いであるのが、転職した際に新しい会社で働くまでに間が空いてしまっている場合、その間の社会保険の加入を自ら切り替えなければいけなかったりしますので、転職のタイミングによっては会社や役所に問い合わせて、未加入期間がないように気を付けてください。
素行が良好なこと
罰金や懲役など、犯罪歴があると永住申請には大きな影響が出てしまいます。
犯罪の大きさによって、永住申請に与える影響・時間は変わりますが、交通違反のような軽微な違反も含まれます。
なお駐車違反について、具体的に駐車違反を何回したらいけないといった明確な取り決めはないですが、直近2年で2回あるとかなり厳しく審査される傾向にあります。
配偶者ビザから永住申請をする際の注意点は?
配偶者ビザから永住申請をするのは、一般の外国人に比べると要件が緩和されているので申請しやすくなっていますが、特に収入の審査は厳しくなっているので、注意しないといけません。
よくある例として、会社経営や個人事業主として働いているケースと、外国人が海外の会社で働いていて日本で納税していないケースがありますので、その2つについてご説明していきます。
会社経営や個人事業主として働いている場合
会社経営をしている場合、個人の年収や社会保険に加入していることは必須になりますが、会社が社会保険加入事業者であるかも見られます。
法人の場合、社会保険の加入は必須になりますので、経営している会社が法令違反している場合には永住申請の審査で影響が出ます。
そして給与についても確定申告している場合、あまり多く経費を入れすぎると、個人の所得金額が下がってしまい、永住申請で必要な収入以下になってしまっている場合もあります。
永住申請での収入は、毎年5月中旬~6月上旬で発行される住民税の課税証明書に記載されている金額で判断します。
たまに源泉徴収票で判断してしまい、住民税の課税証明書を取得した後に思っていた金額よりも低くなってしまっている場合もあるので、収入金額に不安がある場合は、最寄りの役所で取得できますので住民税の課税証明書を取得して確認してみてください。
海外の収入で生活している場合
近年、リモートワークが普及したことから、日本に住みながら海外の会社で勤務している方も多くなりました。
海外の会社でリモートワークで働いている場合、給与の支払いも海外であることが多く、日本で納税していないと思います。
海外で収入がある場合、詳しくは状況に応じて変わると思うので、税務署や税理士に確認が必要になりますが、海外での収入だとしてもその収入をもとに日本で生活している場合は、日本での確定申告が必要になります。
納税は海外でしているので、日本での納税は発生しないと思いますが、収入があることは日本にも申告する必要があり、申告義務があるにもかかわらず確定申告していなかった場合には、永住申請の際に住民税の課税証明書が非課税(0円)で発行されてしまいます。
そうなると実際に海外で収入があり、安定した収入を確保できていたとしても、申告義務を履行していなかったと判断されてしまい、許可をもらうことは難しくなってしまいます。
そのため、海外での収入がある場合には、日本での申告が必要かどうか、税務署に早めに確認を行うようにしてください。
身元保証人について
永住申請をするためには、身元保証人が必要になりますが、配偶者ビザの外国人の場合には、日本人(または永住者)が必ず身元保証人になる必要があります。
仮に夫婦関係が悪くなってしまい、日本人(または永住者)が身元保証人担ってくれない場合は、配偶者ビザの要件として永住申請しても許可にはなりません。
身元保証人の責任は?
身元保証人の責任ですが、責任の範囲は「滞在費」「帰国旅費」「法令の遵守」の3つですが、どれも努力義務になり法的責任はありません。
日本では保証人と聞くと、連帯保証人をイメージされる方もいますが、連帯保証人とは全く異なり、仮に外国人配偶者が帰国したいとなった場合に帰国旅費がなかった場合、日本人配偶者が金銭的サポートをしなかったとしても何か罰則を受けるというわけではありません。
永住申請における身元保証人は、道義的保証となり、道徳や人として行うべきことを履行するようにサポートしてあげてくださいという内容になります。