海外在住の夫婦が最短で日本の永住権を取得するには?
海外在住の夫婦(日本人と外国人)で将来、日本に移住したいと考えている場合、移住後なるべく早く永住権を取得したいと思います。
日本の永住権は、日本に最短でも1年間は住んでいないと取得できないので、まずは配偶者ビザを取得して日本に暮らした後に永住申請となります。
しかし日本の永住権は、年々審査が厳しくなっており審査期間ものびています。
そのため、今のうちに最短で永住権を取得できるように、条件などを確認しておきましょう。
目次
永住権を取得できる条件は?
永住権を申請するには、少なくても1年以上日本に住んでいることが必要なので、海外在住のまま直接永住申請をすることはできません。
永住権の審査は年々厳しくなっていっていますが、現在は大きく6つの条件があります。
永住権の条件
- 居住要件
- 出国要件
- ビザの年数
- 収入要件
- 納税義務
- 素行要件
居住要件
居住要件では、日本に何年住んでいるかを審査されます。
日本に永住権は通常、10年以上住んでいないと申請ができませんが、日本人と結婚している外国人の方であれば、3年または1年で永住申請が可能になります。
3年または1年の基準については、結婚して一緒に暮らしている年数が何年なのかによって変わります。
結婚して、一緒に暮らしているが3年以上ある場合は、日本に1年以上引き続き住めば申請可能です。
居住要件(日本人の配偶者の場合)
- 実体を伴った婚姻が3年以上継続し、かつ、引き続き日本に1年以上在留していること
仮に結婚をしていても別々に暮らしていたり、結婚生活の実態がない場合は、3年以上日本に暮らす必要が出てくる場合もあります。
そして最大の注意点としては、日本での居住年数の「引き続き1年以上」ですが、引き続きの意味は、日本に住民票があるだけでは足りず、日本からの出国が少ないことを意味しています。
具体的に1年間で何日程度の出国であれば認められるかは、次の出国要件でご説明していきます。
出国要件
永住申請は、これからも日本に住むことを意味しているので、今までの日本での居住日数についても細かく審査されます。
日本からの出国が多い場合には、仮に日本に住民票があったとしても、引き続き日本に住んでいるとは判断してもらうことは難しくなります。
出国日数の制限について
- 1回の出国で3ヶ月以上連続で出国している
- 1年間で合計100日以上出国している
1回の出国で3ヶ月以上連続で出国している場合は、帰国してから再度引き続き1年以上日本に住んだ後に永住申請をすることになります。
1年間の合計日数については、明確な基準がないので、色んなサイトで120日や150日といった記載がありますが、年々審査が厳しくなっていることから安全ラインは100日です。
120日出国があった方でも許可になった人はいますが、出国理由などにもよったり判断が難しいので、専門家に相談されることをおすすめします。
さらに1年間というのは、1月~12月の1年ではなく、どのタイミングからでも1年となるのでご注意ください。
ビザの年数
これまで居住年数と出国日数についてご説明してきましたが、今持っているビザの年数も大切です。
一般的には配偶者ビザで日本に住んでいるかと思いますが、配偶者ビザには3か月・1年・3年・5年の4種類の年数があります。
この中で永住申請が認められるのは3年と5年のビザのみです。
そのため、1年の配偶者ビザの場合には、3年の配偶者ビザを取得してからでないと永住申請ができないので、仮に海外での夫婦生活が3年以上あって、日本に来てから1年経っていたとしても1年の配偶者ビザの場合は、まず3年の配偶者ビザを取得することが最初のステップになります。
3年以上の配偶者ビザをもらうためには、様々な条件がありますが、一般的には今後日本に長く住むのかという判断と、日本での生活において安定して生活していける収入が確保できているかなどが見られます。
収入要件
永住申請では、安定した収入があるかも審査されます。
理由としては、永住権を取得した後は、収入の審査がなくなるため、万が一生活に困窮して生活保護を受給する可能性があるとなると、日本の財政が圧迫されてしまうため、現時点において安定した収入が確保されていることが求められています。
具体的に必要な収入金額は公開されていませんが、日本に物価において生活が可能なラインの収入が必要とされており、夫婦2人の場合は世帯年収で年収300万円以上は必要とされています。
ただし夫婦2人の年収300万円はかなりギリギリな金額でとなり、すべての方が認められるというわけではなく、居住地や勤続年数、持ち家かなど様々な条件で決まるので、安全ラインは夫婦2人暮らしの場合で世帯年数370万円以上です。
入管の審査では、総務省統計局が出している平均の世帯年収を基準としているという話もあり、多少の金額差は毎年変わってきています。
そして収入は日本国内のみでなく海外の収入でも認められていますが、海外の収入だと日本での納税がないので、少し厳しく見られてしまう可能性もあります。
ちなみに定年退職後に日本に移住したい場合など、収入がない場合には、審査はかなり厳しくなってしまいますので、将来的に永住権を考えている場合には、収入があるうちに永住申請をできるようなスケジュールに調整していただく方が良いかと思います。
納税義務
納税義務は、日本国内での納税の履行状況を確認します。
永住権で審査される税金は、「住民税」「所得税」になります。税金ではないですが、社会保険(健康保険・年金)も審査対象となっております。
ずっと海外在住だった場合は、日本での納税はないと思いますが、少なくても日本に帰国して1年は日本に住んでいるので、その間の税金の納税状況は審査対象となります。
しかし住民税は、毎年5月中旬~6月上旬にかけて昨年1年間の収入に基づいて納税額が決まり、1年間かけて納税していくことになります。
そのため、日本への帰国時期によっては、非課税となることがあると思いますが、その場合はなぜ非課税なのかを入管に説明するようにしてください。
素行要件
素行要件とは、簡単にいうと犯罪歴や日本での在留状況などを指します。
懲役・禁固・罰金などはわかりやすい犯罪歴だと思いますが、駐車違反などの軽微な交通違反も犯罪歴として扱われます。
交通違反の回数は具体的に示されていませんが、直近1年間で違反があると審査に影響が出る可能性が高くなるため、交通違反にも気を付けるようにしてください。
審査にかかる時間は?
永住申請は申請件数が増えてきており、東京入管の2024年6月時点での平均処理期間は、1年3ヶ月ほどになっています。
数年前までは6か月程度だったので、この数年で2倍ほど審査に時間がかかるようになっており、今後は現時点より審査に時間がかかる可能性があります。
審査に1年以上かかっているので、実際に永住権を取得できるのは、最短でも日本に来てから2年以上(1年後に申請・1年3ヶ月後に許可)となります。
そのため、最低2年以上は上記の永住申請の取得条件をクリアし続ける必要があり、審査中に条件を破ってしまうと、審査に影響が出てしまいます。
永住申請までの流れ
海外在住の夫婦が永住申請をするまでの流れとしては、まず日本の「配偶者ビザ」を取得する必要があります。
配偶者ビザの要件は、「結婚の信ぴょう性」「収入の安定性」です。
結婚の信ぴょう性は結婚証明書や海外生活のお写真を提出することで証明可能かと思いますので、重要なのは収入になります。
収入は日本に行った後の生活費などをどうするのかを説明する必要がありますが、仕事が決まっている場合はその証明書を提出することで足りますが、仕事が決まっていない場合は貯金などで生活できることを証明します。
しかし、配偶者ビザの審査では貯金よりも毎月安定した収入の方が評価されるので、貯金だけ証明で申請をする場合は、3年や5年といった長い年数の配偶者ビザは取れづらくなってしまう可能性があります。
配偶者ビザの細かな要件はこちらからご確認いただけます。
永住権取得後について
永住権が無事に許可された後は、出国要件や居住要件などはありませんのでご安心ください。
ただし、守っていただくことが2点ほどあります。
永住権取得後の注意点
- 1年以上連続した出国をする場合は、事前に「再入国許可」をとる
- 7年に一度の在留カードの書き換えがある(有効期間の更新)
まず1年以上出国する場合は、事前に入管にて「再入国許可」を取る必要があります。
1年未満の出国であれば、みなし再入国許可が自動適用になるので何もしなくても大丈夫ですが、1年以上の場合は再入国許可をとっていないと日本に再入国ができず、永住権も取り消しとなってしまいます。
さらに永住権は、証明写真を変えたり、日本人の運転免許の書き換えのように在留カードの有効期間を更新を7年に1度行います。
この有効期間の更新は日本国内でしかできないので、海外にいたままはできず、手続きを忘れてしまうとせっかく取得した永住権が取り消しとなりますので、お忘れなく行うようにしてください。