配偶者ビザ申請の質問書の書き方とポイントを解説
配偶者ビザを新規で取得する際の必須書類の1つに「質問書」があります。
入管から指定されているフォーマットがあり、全8ページに及ぶ質問に「日本人配偶者」が答えていく形式です。
「何を書けばよいのか」「どこまで細かく書く必要があるの?」と、疑問に思われる方が多いので、ここで詳しく説明させていただきます。
目次
質問書を書くのは外国人ではなく日本人配偶者です
国際結婚をして日本での配偶者ビザを取得する際に必要となるのが「質問書」です。
この質問書は、申請人である外国人配偶者ではなく、「日本人配偶者」が作成する書類になります。
質問書の概要と重要性について
質問書は、全8ページ・12の質問で構成されています。
お二人の「結婚の経緯」や「言語の理解度」「お互いの国への入出国回数やその日にち」「親族情報」など多くの記載内容があり、手間がかかります。
しかし、この質問書は配偶者ビザの審査において重要な書類になりますので、間違いなく正確に記載していきましょう。
質問書1枚目の書き方
それでは、1ページずつ中身を見ていきましょう。
質問書のフォーマットはこちらからダウンロードできます
質問書は、パソコンで作成しても手書きでもどちらでも大丈夫です。
パソコンで作成した場合は、最終ページの日本人配偶者のサイン箇所のみ自署で記入をお願いします。(サイン部分のみパソコン使用はNGです)
お互いの身分事項について
一番最初の欄に書くのは「申請人」つまり「外国人配偶者の国籍」「名前」です。
名前はパスポートに書いてある通りアルファベット表記で記載します。
漢字名がある場合はアルファベット表記と併記で、漢字を書きます。
性別の欄も忘れずにどちらかに〇をつけてください。
それ以降は日本人配偶者の記載事項です。
「国籍・地域」
ご自分の国籍が入ります。
日本人なら「日本」、永住者ならご自分の国籍を書いてください。
「住所」
住民登録している現住所を書きます。
引っ越しを考えている場合
引っ越しを考えている場合は、いつ配偶者ビザの申請を出すのかによるのですが、質問書に記載するのはあくまでも書類作成時の住所になります。
そのためまだ引っ越しが完了していない場合は今の住所の記載をします。
ただし引っ越しが決まっているのであれば、別で理由書などを作成して引っ越し予定だと言うことを説明するようにしてください。
海外在住で住所が日本にない場合
夫婦ともに海外住みの場合には、海外の住所を記載してください。
日本に帰国後の住所を記載するのではなく、今の海外の住所で大丈夫です。
日本帰国後の住所が決まっている場合は、別で理由書を作成し、そこに帰国後の住所について説明するようにしてください。
夫婦で日本に移住する方法については、こちらから詳細を確認できます。
「電話」
固定電話がない場合は、「なし」と記入をしてください。
空欄だと書き忘れと思われてしまいます。
海外在住で日本の携帯番号などがない場合は、海外の携帯番号の記載で大丈夫です。
「同居者の有無」
今一緒に暮らしている人の名前を全員記載してください。
配偶者ビザの申請においては、外国人配偶者と同居していることが前提となるので、基本的には外国人配偶者の名前の記載が必要です。
外国人配偶者が海外住みである場合は、同居できていないので「なし」で大丈夫です。(実家の場合には家族も記入します)
お子さんも同居しているならその方の名前も書いてください。
夫婦で海外に暮らしている場合は、海外の家で同居している人の名前全員記載をお願いします。
シェアハウスや同居などの事情で同じ家にいるが世帯は別の場合も記載する
シェアハウスや、実家暮らしだが世帯は別というケースでも氏名欄に同居人をすべて書く必要があります。
「家の所有」
持ち家か、賃貸かを記載します。
賃貸の方は家賃を書きます。社宅の場合には、賃貸に記載し、余白に「社宅」と記載するとより明確になり良いと思います。
「間取り」
部屋数を先に書いて、リビング・ダイニングがない場合は二重線で消してください。
気を付けたいのが、部屋が1Rなのに同居人が3人も4人もいる場合、外国人配偶者を迎えるのに「同居人がいる部屋で本当に一緒に暮らすのか?」と疑われてしまいます。
実家暮らしで生活が安定するまで一緒に親と生活すると言った内容であれば大丈夫ですが、審査においては別で理由書を作成して状況を説明するようにしてください。
「日本人配偶者の職場情報」
日本人配偶者の勤務先の「会社名」「職務内容」「所在地」「電話番号」を記入します。
「就業年月日」は働き始めた日付です。
在職証明書を提出する場合には、在職証明書の日付と相違がないかチェックしてください。
派遣社員の場合には、「派遣元」と「派遣先」の両方の情報を記載すると良いです。
起業されている方の場合は「就職年月日」の欄は独立した年月日になります。
主婦(主夫)や働いていない場合も空欄ではなく、「なし」と記載ください。
質問書2枚目の書き方
2ページ目の「出会ってから結婚に至るまでに経緯」はかなり念入りに審査している部分です。
日付、場所などに矛盾がないように、注意して書いてください。
日付が明確でない場合は、わかる範囲で記載してください。わからないからと何となく日付を記載してしまうと矛盾がでてきてしまうので、調べてもわからないのであれば確実にわかる部分のみ記載をするようにしてください。
日付を記載する際の注意点
- 「初めて会った時期」は「2019年5月12日」など、日付をわかる範囲で書く
- 適当に日付を入れないことです。
日付が分からなければ「2018年頃」「2018年6月頃」などで構いません。 - 最近はSNSで知り合った場合、SNSで会話を始めた日付ではなく「実際に顔を合わせた日付」を書く
「場所」については「中国北京市の中華料理『〇〇飯店』にて」「新宿駅西口」などと記載します。
詳細を覚えていない場合は、国、地域など分かるところまで書いてください。
出会った経緯の書き方について
記載する内容は、「出会ってから結婚までの経緯」になります。
すでに結婚生活が長い場合には、結婚までの経緯を思い出していただき記載してください。
このページでは配偶者ビザ申請の「結婚の信ぴょう性」アピールするポイントになります。
「プライベートのことだから…」「面倒だな」「テキトーでいいや」と思わず、しっかり記載をするようにお願いします。
書く量としては、最低でも5行以上は記載した方が良いです。
2~3行の方も見受けられますが、審査が長引いてしまう可能性もあるので、最低でも5行以上を意識して作成をしてください。
文章が苦手の方へのヒント
- 箇条書きで記載するのもOK
- 日付が正確に思い出せない場合は、「2020年6月頃」とかでもOK
- お付き合いが始まった理由を記載する
- 遊びに行った思い出の場所などを記載する
- 結婚しようと思った理由を記載する
質問書の用紙では書ききれない場合
書くことが多くて行数が足りないときは「別紙記載」として他の紙に記載してください。
よくあるミスが「初めて会った日付が2019年」なのに、②の文章では「2018年」になっているや、「初めて会った場所が新宿駅西口」とあるのに、「渋谷」になっている、など簡単な間違いです。
質問書3枚目の書き方
次は「(2)紹介者の有無などについて」です。
「紹介者の有無」
紹介者がいない場合はここは「無」にチェックをいれれば終わりです。
紹介者がいらっしゃる場合は「有」にチェックを入れ、正直に記載してください。
ご覧いただければお分かりのように、紹介した方の国籍、氏名、住所、電話番号だけではなく生年月日や外国人の場合、在留カード番号も記載する必要があります。
「ここまで聞かれるの?」と思われる方もいるかもしれませんが、偽装結婚ではないと証明するためには、ここも空欄にしない方がベターです。どうしても分からない部分は「不明」と書いてください。
結婚相談所を利用して出会った場合には結婚相談所の情報を記載します。
「紹介者と申請人(相手の方)との関係」と次の「紹介者と配偶者(あなた)との関係」
上が紹介者と外国人配偶者との関係で、下が紹介者と日本人配偶者との関係です。
「単に友人・知人ではなく、具体的に」と追記されている通り、「大学時代の先輩」「以前務めていた会社の上司」など、できるだけ詳しく記載してください。
「夫婦間の言語」「コミュニケーション方法」について
「(1)日常、ご夫婦の会話で使われている言葉」はお二人で普段会話で使っている言語を書いてください。
今現在離れて暮らしている方でも「電話、LINEなどメールのやりとりの言語は何なのか?」を記載してください。
複数の言語を使用している場合は、複数言語を記載します(例:英語、日本語など)
「(2)お互いの母(国)語は何ですか?」
フィリピンの方は「タガログ語」などと記載します。
「②配偶者(あなた)の言語」は「日本」語が入るかと思います。
夫婦の会話は英語だったとしても、ここでは母国語を記載します。
質問書4枚目の書き方
3ページ目に続いて言語関係の質問が続きます。
「(3)申請人(お相手の方)は配偶者(あなた)の母国語をどの程度理解できますか」
「(4)配偶者(あなた)は、申請人(お相手の方)の母国語をどの程度理解できますか」
と合わせて言語能力を記載します。
まったく話せないのに「日常生活は可能」としたり「会話に支障なし」と嘘のチェックを入れないようにしてください。
配偶者ビザの審査で面接はないので、直接言語レベルをチェックされることはないですが、「会話に支障なし」にチェックが入っているのに、追加で求められたSNSのやりとりでは意思疎通が取れていないとなると、虚偽申請の疑いをかけられてしまいます。
お互い言葉がうまく通じないので、Google翻訳を使っているなどの事情があっても嘘をつかなければ配偶者ビザは取得できますのでご安心ください。
また夫婦間のコミュニケーションが取れていれば、日本語能力がなくても問題はありません。
「(5)申請人(お相手の方)が日本語を理解できる場合は、いつ、どのように学んだのか、具体的に記載してください」
過去に日本に来日経験があるならその内容を、海外の日本語学校で学んでいた場合はその学校名も記載してください。
それから、日本のアニメやドラマを観て独学で学んでいた場合も、そのことについて書いてください。
「(6)お互いの言葉が通じない場合、どのような方法で意思の疎通を図っていますか」
「方法」としては、そのスマホの翻訳アプリで調べている場合は、「翻訳機を使用しています」などと記載ください。
どちらかの言語が話せてコミュニケーションに支障がない場合は「お互いの言葉が通じない場合はございません」と記載ください。
「通訳者がいた(いる)場合」
ここも空欄はない方がよいです。いない場合は「なし」としてください。
「4 日本国内で結婚された方は、結婚届時の証人2名を記入してください」
日本の婚姻届の右側に、証人二人の名前を記載したと思いますが、その方たちの名前と住所、電話番号を記載してください。
海外から先に結婚手続きした場合は、日本での結婚手続きの際に証人2名は不要になるので、その際は、「なし」と記載してください。
質問書5枚目の書き方
5ページ目はお二人の結婚に関する質問です。
「5 結婚式(披露宴)を行った方は、その年月日と場所等を記入してください」
結婚式を行っている場合は、場所を具体的に記してください。
また出席者についてですが、申請人側(外国人)と配偶者側(日本人)で書く行が違います。ご親族のどなたが出席したか〇をつけてください。そして、双方の出席者は親族を含めた合計数。何人来たのか不明の場合は45人、70人など、おおよその数を記載してください。
また、これから結婚式をされる予定なら、予定年月日として日付を書き、最後に「(予定)」と記入。会場も決まっているなら「〇〇結婚式場(予定)」と書いてください。
結婚式をされていない場合は、空欄でも構いません。
「結婚歴についてお尋ねします」
は外国人配偶者(申請人)、日本人配偶者それぞれに分かれています。
2回以上結婚されているなら、直近の結婚について記載し、「離婚」「死別」のチェックも忘れないようにしてください。
日本人の場合は、戸籍に離婚の記載があるはずなので、そちらと日付の違いがないようにしてください。
面倒かもしれませんが、ここに記載する日付も大切ですので、日付が曖昧な場合は、必ず調べてご記入ください。
「7 申請人(お相手の方)がこれまでに来日されているときは、その回数と時期を記入してください」
これ以降は、お二人の来日、渡航歴の情報質問に移ります。
パスポートの記載を見ればわかることなので、間違いのないように、特に申請人の来日歴はしっかり見られますので、日付のミスがないようにしてください。
こちらは何回も来日しているということなら(1)に回数(分かる範囲で)を記載します。
来日回数が多くてわからない場合は、「約〇〇回」でも大丈夫です。
(2)の時期は直近5回分を記載します。
来日目的は「知人訪問」「観光」「ワーキングホリデー」「留学」「就労」など、空欄はないようにしてください。
この直近5回分には、今外国人配偶者が日本にいる場合は、今の入国日を記載します。出国日はないので、「現在」などと記載してください。
たとえば、留学ビザや就労ビザで日本にいる外国人配偶者が何回か母国等に出国している場合は、その都度の入出国情報を記載します。
質問書6枚目の書き方
5ページ目下の質問「8 配偶者(あなた)がこれまでに申請人の母国に行かれているときは、その回数と時期を記入してください」については、6ページ目に記入欄があります。
「8 配偶者(あなた)がこれまでに申請人の母国に行かれているときは、その回数と時期を記入してください」
気を付けたいのが、(1)知り合ってから結婚までの間と(2)結婚後の渡航歴が分かれている点です。
もし、ご結婚手続きを先に外国人配偶者の母国でされて、その後帰国されたというケースなら、結婚手続きが終わり帰国するまでは(1)、それ以降は(2)に記入することになります。
逆に、日本で結婚手続きをしてから申請人の母国に行く場合は(2)に記入することになります。
直近5回分を書きますが、渡航回数が多い場合は「約〇〇回」と記載しても大丈夫です。
夫婦ともに海外在住の場合には、入国日を記載して、出国日は「現在」と記載してください。
日付は、パスポートを見ながら間違いもないように気を付けてください。
「9 申請人は日本から強制退去されたことがありますか(出国命令も含みます)」
これについては、「無」の方がほとんどだと思います。
強制退去がある場合は、必ず記載してください。
バレないかなと記載をあえてしなかったりすると審査に悪影響を与えます。
「10 9で『強制退去されたことがある』と記入された方にお尋ねします」
強制退去手続きの経歴がある方についての事項です。
強制退去されたことがない方はこちら記載不要になります。
質問書7枚目の書き方
最後に聞かれるのが、外国人配偶者(申請人)と日本人配偶者のご家族情報です。
「両親」「兄弟姉妹」までの情報を記載します。
妹の旦那さまや兄の姪などは書かなくて構いません。
また、お子様の情報は次のページで書く事項ですのでここでは省いて書いてください。
上段は夫側親族、下段が妻側親族になります。
先ほどの結婚式情報記入時(5ページ 5)は、申請人側が上、配偶者側が下だったので、その流れで「同じだろう」と逆に書かないように気を付けてください。
ご親族のなかにもう亡くなられている方がいる場合は、住所欄に「死亡」と書いてください。
大切なことは「親族は関係ないだろう」と思わずに、正確な情報を記入することです。入管はこちらの情報も重要な点として確認しています。もし綴りの間違いがひとつでも発覚すれば「この人は別人なのでは?」と疑われてしまいます。
もし、電話番号が分からないのであれば「不明」としてください。
空欄だと書き忘れたのかと思われてしまいます。
質問書8枚目の書き方
次の質問はお子様の情報です。
お子様の情報
記入例があるので、その通りに記載してください。
住所は日本在住なら番地まで、海外在住なら都市名までの記載です。
未成年のお子さんだけではなく、20歳を超えて成人しているお子さんに関しても書く必要があります。お子さんが留学して海外に住んでいる場合は海外の住所を書いてください。
「12 親族で今回のご結婚を知っている方はどなたですか?」
そして、最後の質問です。
こちらは7ページ目11の際に書いた「親族情報」と矛盾がないようにしてください。
そして、こちらも夫側が上、妻側が下なので間違えないようにしてください。
またご両親がご結婚を知らないのは、配偶者ビザの審査上、引っかかる部分ではありますが、それだけをもって不許可ということはないので、両親が知らないのであれば、知らないでも問題はありません。
署名欄
最後の署名欄は必ず日本人配偶者の自署でのサインが必要です。(その他はパソコンで作成可能です)
日付は配偶者ビザの申請の3か月前くらいであればいつでも問題ありません。
記入日にそのまま記載しておいてください。
質問書では消せるボールペン・修正液は禁止です
質問書はパソコンで作成することも可能ですが、手書きの場合は鉛筆、消せるボールペンは使用不可です。
そして、間違えた箇所は修正液やテープを使ってはいけないので、二重線で消し認印を押すか、大変ですがそのページだけ書き直すしかありません。
質問書の前文にも書いてある通り、これは入管にとっての重要な参考資料です。
「事実に反する記入」をした場合、配偶者ビザが不許可になったり、場合によっては罪に問われることがあります。十分に注意して記載してください。