基礎知識

就労ビザの審査ポイントと基本ルールについて

外国人の方が日本で働くには、就労ビザが必要になります。

就労ビザは、申請すれば取れるものではなく、外国人の状況に応じて要件が異なります。

身分系と言われる「日本人の配偶者」や「定住者」「永住者」の外国人の場合は、就労制限がないので、就労ビザの取得をする必要なく日本で働けます。

その他、「留学生の外国人」「家族滞在の外国人」「海外から日本に働きにくる外国人」の場合には、今回説明する就労ビザの要件に該当している必要があります。

就労ビザ申請の際の審査概要

今回は、一般的な就労ビザと呼ばれる「技術・人文知識・国際業務」の審査基準について説明をいたします。

日本にて就労ビザを取得するにあたっては、下記2つの視点からの審査されることになります。

就労ビザの審査基準

  1. 在留資格該当性
  2. 上陸許可基準適合性

この言葉は難しいので、下記にてわかりやすく解説いたします。

在留資格該当性とは

在留資格該当性とは

日本で行おうとする仕事の内容が、申請する在留資格(ビザ)の許可基準と合っているか審査すること

在留資格は全29種類あり、そのうちフルタイムで働けるものは20種類あります。

(身分に基づくものは除く)※2020.1現在 

この資格該当性は、在留資格によって変わってきます。

本日は「一般的な就労ビザである技術・人文知識・国際業務」についての在留資格該当性の審査ポイントについて後述致します。

上陸許可基準適合性とは

上陸許可基準適合性とは

在留資格該当性の部分に加え、簡単に言うと有効なパスポートを所持しているかということになります

この基準は外国人が海外にいて日本に呼び寄せる場合に適用となります」ので、すでに日本にいる場合は適用外となります。

下記が上陸拒否の内容に該当していないことが条件となります。

上陸拒否の内容

  1. 感染症の方
  2. 精神上の障害を持っている方で、その補助者の同伴がない方
  3. 貧困者(生活ができないレベル)
  4. 法令違反により1年以上の懲役若しくは禁錮等に該当する者
  5. 薬物犯罪者
  6. テロリスト
  7. 薬物所持者
  8. 売春に関係したことがある者
  9. 拳銃等を所持している者
  10. 上陸拒否期間及び強制退去の期間中である者
  11. 反社会的勢力

就労ビザの審査ポイント

就労ビザを取得して、日本で働くための審査ポイントは下記になります。

就労ビザの審査ポイント

  1. 外国人本人の学歴(専攻科目の内容)
  2. 実際に行う職務内容
  3. 雇用側企業の規模(源泉徴収税の納税額や決算書の数字など)
  4. 外国人の雇用期間
  5. 外国人に対しての給料額(日本人と同等レベル)

この中でも大切なのは、「①外国人本人の学歴と②実際に行う職務内容」です。

原則として日本の就労ビザは、外国人本人が大学を卒業して“学士”の称号を持っていることが求められます。

一般的な就労ビザの要件についてはこちらから確認いただけます。

この学歴に関してはとても大切なので下記にてまとめます。

外国人本人の学歴(専攻科目の内容)と実際に行う職務内容との関連性

就労ビザで求められる学歴

  1. 海外または日本の大学院/大学/短期大学を卒業して称号(学士等)を得ていること
  2. 日本の専門学校を卒業して専門士の称号(専門士等)を得ていること

上記のいずれかが必ず求められます。

この学歴は今までの学歴すべてを対象としており、最後に卒業した学校だけが対象ではないので外国人を採用する際にはその方のすべての学歴を確認するようにしてください。

それでも該当する学歴がない場合は、下記の「実務経験」または「情報処理技術資格の保有」でも認められておりますのでこちらもご確認ください。

実務経験及び資格(いずれか)

  1. 実際に行う仕事と同じ実務経験が10年以上あること
    (アルバイト/パートとしての実績はNG)
  2. 翻訳・通訳、語学教師、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発等の業務である場合は、3年以上の実務経験があること
    (アルバイト/パートとしての実績はNG)
  3. 情報処理に関する仕事の場合は、下記の情報処理技術の資格を保有していること

職務内容については、「学術的の素養を背景とする一定水準以上の専門的技術又は知識を必要とする活動」が必要とされております。

これをわかりやすく言いかえると、大学等で学んだ専門的知識を活かせる仕事」であり、現場労働や繰り返し行うことによってできる反復的な作業(単純労働)では、技術・人文知識・国際業務の資格該当性はないと判断しております。

現場作業の仕事では就労ビザは取れない

日本ではホワイトカラーやブルーカラーの仕事と言うような言い方をしますが、これで言うとブルーカラーの仕事(現場作業の仕事)は、技術・人文知識・国際業務では認められていません。

ブルーカラーの仕事の中でも専門的な仕事は多く存在しますが、入管法の規定ではブルーカラーの仕事であると、大学等で専攻をしていたとしても、技術・人文知識・国際業務としての資格該当性はないと判断されてしまいます。

単純労働(ブルーカラーの仕事)とみなされる職種 ※一部抜粋

  1. ホールスタッフや調理補助業務
  2. レジ打ちや品出し
  3. 在庫管理や発注業務
  4. 清掃業務全般
  5. 建設現場の作業員
  6. マッサージ師やエステティシャンなどの業務
  7. ドライバー(配送業など)
  8. 工場でのライン作業
  9. 警備業務
  10. バーテンダーなどの接客業務

この単純労働に該当してしまう業務をご希望の場合は、2019年4月に新設された「特定技能」ビザを検討してみてください。

全業種が対象ではないですが、該当性がある職務もございます。

詳細はこちらの「特定技能ページ」をご覧ください。

国際業務のポイント

「国際業務」と言われる「翻訳・通訳」「語学教師、「広報・宣伝」「海外取引業務」「服飾」「室内装飾に係るデザイン」「商品開発」等の業務の場合は、大学等(日本の専門学校を除く)で専攻していた科目が違っていたとしても、短期大学卒業以上で称号を持っていれば、関連性は緩く審査されます。

ここで注意頂きたいのが、「翻訳・通訳業務です。

この「翻訳・通訳業務では原則として母国語を想定している」ため、アジア圏の外国人で英語が話せたとしても、英語の履修科目や通訳を履修しているのであれば別として、技術・人文知識・国際業務としては認められない場合が多いです。

フィリピンであれば、母国語はタガログ語ではありますが英語留学なども盛んに行われており、第二外国語として定着していることから英語での翻訳・通訳は認められております。

雇用側企業の規模(源泉徴収税の納税額や決算書の数字など)

就労ビザの技術・人文知識・国際業務の審査では、カテゴリー1~4に分かれており、会社の規模に応じて必要書類が変わってきます。

カテゴリーの分け方を簡単に記載すると下記になります。

就労ビザのカテゴリー区分

カテゴリー1:上場企業

カテゴリー2:給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の源泉徴収額が1,000万円以上の企業
(2020年1月より2,000万円→1,000万円に変更)

カテゴリー3:一般的な中小企業

カテゴリー4:新設会社や個人事業主

会社の規模に応じて審査の厳しさは変わってくるのと、直近年度の決算書の数字も審査には影響を与えます。

決算書の数字で、「一番わかりやすいのは赤字かどうか」ですが、赤字だったとしても会社経営に問題がなければ審査は問題ございません。

気を付けて頂きたいのが債務超過の場合です。

債務超過であっても就労ビザの取得は可能ですが、会社の安定性や継続性といった面から外国人を雇用した後、倒産してしまうと外国人が路頭に迷ってしまうため、様々な視点から審査されます。

外国人の雇用期間

雇用期間は、在留資格の期間にも影響してくる部分です。

就労予定期間が1年以下の場合は、もちろん3年や5年といった年数の就労ビザはもらえません。

キャリアアップ助成金などの関係で契約社員として雇用する場合で、契約を延長する可能性がある場合は、長期の就労ビザをもらえる可能性はございます。

また試用期間については設けていても問題はございません。

外国人に対しての給料額(日本人と同等レベル)

「給与額についても審査対象」となります。

入管法では、「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等以上の報酬を受けること」という記載があります。

これをわかりやすく説明すると、同ポジションで日本人を採用した際に月給20万円なのに対し、外国人ということを理由に月額18万円としてはいけないということです。

これはネット上で求人広告を出している場合には、そういった情報も審査対象になる場合がありますので、特別な事情で給与額が変わってくる場合はその旨を別途理由書で説明する必要があります。

また学歴によっても目安の給与額があります。

これは東京の目安の基準にはなりますが下記ご確認ください。

給与額の目安(東京)

専門学校卒業:月額18万円以上

大学卒業  :月額20万円以上

大学院卒業 :月額23万円以上

業種などによっても給与額は大きく変わってきますので、必ずこの金額以上でないといけないわけではありませんが、一つの目安としてご確認いただければと思います。

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