外国人ITエンジニアが就労ビザを取得する際に優遇される資格とは?
外国人が日本で就労ビザを取得する際には、学歴(大学卒業など)または10年以上の実務経験が必要になります。
しかし、エンジニアの方は入管が指定しているIT資格に合格している場合には、学歴や実務経験がなくても就労ビザの取得が可能です。
そこで今回は、エンジニアとして優遇されるIT資格について解説していきます。
外国人エンジニアが就労ビザを取得する条件は?
外国人のエンジニアが取得できる就労ビザは「技術・人文知識・国際業務」または「高度専門職1号ロ」です。
一般的なのは「技術・人文知識・国際業務(以下、技人国ビザと記載します)と言う就労ビザで、ITエンジニアや技術者が、営業、マーケティング、通訳・翻訳・海外取引業務などの仕事をする外国人が取得します。
そしてエンジニアの方が技人国ビザを取得するには、日本か海外の短期大学・大学・大学院または日本の専門学校を卒業し学位を取得しており、工学部などエンジニアとして必要な履修科目を学んでいる必要があります。
学歴がない場合には、エンジニアとしての実務経験(アルバイトは除く)が10年以上あり、その証明ができる方のみに限られています。
そのため、独学でITスキルを身につけた方などは日本でエンジニアとして働くことが難しくなっています。
もう一方の「高度専門職1号ロ」は、高度な専門技術や知識を有している外国人の方のビザで、高度専門職ポイント計算表にて70ポイント以上を取得していることが条件で許可されます。
IT資格に合格していると就労ビザの優遇がある
ここまでエンジニアとして働くためには、学歴または10年以上の実務経験が必要とお伝えしてきました。
しかし、学歴も実務経験10年以上もない場合は、就労ビザの取得はできないのでしょうか?
日本の就労ビザには、もう1つだけ、エンジニアで働く方向けに難易度が高いIT資格に合格している外国人に対して優遇措置を設けています。
これらのIT資格に合格しているのであれば、学歴や実務経験がなくても就労ビザの取得が可能となっています。
※対象のIT資格は国ごとに異なります。
対象のIT資格一覧
「日本」のIT試験
・情報処理の促進に関する法律(昭和四十五年法律第九十号)に基づき経済産業大臣が実施する「情報処理安全確保支援士試験」
・情報処理の促進に関する法律に基づき経済産業大臣が実施する「情報処理技術者試験」のうち次に掲げるもの
- ITストラテジスト試験
- システムアーキテクト試験
- プロジェクトマネージャ試験
- ネットワークスペシャリスト試験
- データベーススペシャリスト試験
- エンベデッドシステムスペシャリスト試験
- ITサービスマネージャ試験
- システム監査技術者試験
- 応用情報技術者試験
- 基本情報技術者試験
- 情報セキュリティマネジメント試験
・通商産業大臣または経済産業大臣が実施した「情報処理技術者試験」で次に掲げるもの
- 第一種情報処理技術者認定試験
- 第二種情報処理技術者認定試験
- 第一種情報処理技術者試験
- 第二種情報処理技術者試験
- 特種情報処理技術者試験
- 情報処理システム監査技術者試験
- オンライン情報処理技術者試験
- ネットワークスペシャリスト試験
- システム運用管理エンジニア試験
- プロダクションエンジニア試験
- データベーススペシャリスト試験
- マイコン応用システムエンジニア試験
- システムアナリスト試験
- システム監査技術者試験
- アプリケーションエンジニア試験
- プロジェクトマネージャ試験
- 上級システムアドミニストレータ試験
- ソフトウェア開発技術者試験
- テクニカルエンジニア(ネットワーク)試験
- テクニカルエンジニア(データベース)試験
- テクニカルエンジニア(システム管理)試験
- テクニカルエンジニア(エンベデッドシステム)試験
- テクニカルエンジニア(情報セキュリティ)試験
- 情報セキュリティアドミニストレータ試験
- 情報セキュリティスペシャリスト試験
「中国」のIT試験
・中国工業和信息化部教育与考試中心が実施する試験のうち次に掲げるもの
- 系統分析師(システム・アナリスト)
- 信息系統項目管理師(インフォメーション・システム・プロジェクト・マネージャ)
- 系統架構設計師(システム・アーキテクト)
- 軟件設計師(ソフトウェア設計エンジニア)
- 網絡工程師(ネットワーク・エンジニア)
- 数据庫系統工程師(データベース・システム・エンジニア)
- 程序員(プログラマ)
・中国信息産業部電子教育中心、または中国工業和信息化部電子教育与考試中心が実施した試験のうち次に掲げるもの
- 系統分析員(システム・アナリスト)
- 高級程序員(ソフトウェア・エンジニア)
- 系統分析師(システム・アナリスト)
- 軟件設計師(ソフトウェア設計エンジニア)
- 網絡工程師(ネットワーク・エンジニア)
- 数据庫系統工程師(データベース・システム・エンジニア)
- 程序員(プログラマ)
フィリピンのIT試験
・フィリピン国家情報技術標準財団(PhilNITS)が実施する試験のうち次に掲げるもの
- 基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
- 応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
・フィリピン・日本情報技術標準試験財団(JITSE Phil)が実施した「基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験」
ベトナムのIT試験
・ハイテクインキュベーショントレーニングセンター(HITC)が実施する試験のうち次に掲げるもの
- 基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
- 応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
・ベトナム情報技術試験訓練支援センター(VITEC)、またはベトナム訓練試験センター(VITEC)が実施した試験のうち次に掲げるもの
- 基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
- ソフトウェア開発技術者(ソフトウェア・デザイン・アンド・ディベロップメント・エンジニア)試験
- 応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
ミャンマーの試験
・ミャンマーにおけるミャンマーコンピュータ連盟(MCF)が実施する試験のうち次に掲げるもの
- 基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
- 応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
台湾のIT試験
・台湾における財団法人資訊工業策進会(III)が実施した試験のうち次に掲げるもの
- 軟体設計専業人員(ソフトウェア・デザイン・アンド・ディベロップメント・IT・エキスパート)試験
- 網路通訊専業人員(ネットワーク・コミュニケーション・IT・エキスパート)試験
- 資訊安全管理専業人員(インフォメーション・システム・セキュリティー・IT・エキスパート)試験
マレーシアの試験
・マレーシアにおけるマルチメディア技術促進本部(METEOR)が実施する「基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・プロフェッショナル)試験」
タイの試験
・国立科学技術開発庁(NSTDA)が実施する試験のうち次に掲げるもの
- 基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
- 応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
・国立電子コンピュータ技術センター(NECTEC)が実施した「基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験」
モンゴルの試験
・モンゴルにおけるモンゴル国立ITパーク(NITP)が実施する試験のうち次に掲げるもの
- 基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
- 応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
バングラデシュのIT試験
・バングラデシュにおけるバングラデシュコンピュータ評議会(BCC)が実施する試験のうち次に掲げるもの
- 基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
- 応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
シンガポールのIT試験
・シンガポールにおけるシンガポールコンピューターソサイエティ(SCS)が認定する「サーティファイド・IT・プロジェクト・マネージャ(CITPM)」
韓国のIT試験
・韓国における韓国産業人力公団が認定する資格のうち次に掲げるもの
- 1.情報処理技師(エンジニア・インフォメーション・プロセシング)
- 2.情報処理産業技師(インダストリアル・エンジニア・インフォメーション・プロセシング)
出典:出入国在留管理庁
さいごに
エンジニアとして働く外国人であれば、特定のIT資格に合格していることでも就労ビザ(技人国ビザ)の取得が可能です。
対象のIT資格は難易度が高いものになりますが、資格をもっていると就職活動で有利になりますので、日本でエンジニアとして勤務することを希望している外国人の方は、対象のIT資格に挑戦してみることもよいかと思います。
なお、学歴や実務経験があったとしても対象のIT資格に合格していると、審査もスムーズになる傾向にあり、早めに審査結果が出る場合が多いです。