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基礎知識

日本の就労ビザ取得は難しい?その理由と許可率アップ方法を解説

外国人が日本で働くためには、就労ビザの取得が必要ですが、日本の就労ビザは世界的に見ても取得が難しいと言われています。

また日本の就労ビザは全部で16種類あり、仕事内容に応じて申請する就労ビザが違い、それぞれ要件も異なってきます。

そこで今回は、日本の就労ビザが難しいと言われる理由と、許可率をアップさせる方法についてご説明させていただきます。

監修者

行政書士法人フォワード

塩野 豪 GO SHIONO行政書士 Immigration Lawyer

フィリピン・カナダに合計5カ月居住し、海外での生活の大変さを知る。
その後、2016年に行政書士として独立して、ビザ申請代行サービス「ビザプロ」を開始する。
その後、累計400社・45か国以上の方の在留資格(ビザ)サポートを行う。
その他にも、日本法人の設立などのサポートを行い、外資系の日本進出コンサルティングも行っている。
人材紹介会社・管理団体・専門学校等とも顧問契約を結び、入管業務に特化したコンサルティングサポートを展開し、セミナー講師も積極的に行っている。

日本の就労ビザの種類は?

日本の就労ビザは全部で16種類あり、外国人が行う仕事内容によって取得する就労ビザが変わります。

ちなみに就労ビザとは通帳名であり、働けるビザを総称して就労ビザと言っていますが、一般的な就労ビザというと、「技術・人文知識・国際業務」という就労ビザのことを指します。

その他にも、海外の親会社・子会社から転勤させる「企業内転勤」、大学で教員として働くための「教授」、中学校や高校などで先生として働くための「教育」、近年では人材不足が激しい業界に特化して現場労働が可能な「特定技能」などがあります。

なぜ就労ビザの取得が難しいのか?

日本の就労ビザを取得するための審査は厳しいとされています。

理由としては、日本は原則として移民を受け入れていない国になり、就労ビザを取得するための要件が厳格に決められています。

近年は少子高齢化に伴い、労働生産人口が低下し、人材不足が深刻なこともあり、外国人労働者の受け入れ促進を政府が掲げていますが、移民の受け入れを認めているわけではないというスタンスは変わっていません。

さらに、仕事内容によって細かく就労ビザの種類が分かれており、就労ビザの種類の多さと申請の種類の多さも難しいと言われる理由の1つとなっています。

また、就労ビザの審査を行う入管(出入国在留管理局)では職権が強く、要件は公表されているものの、具体的な判断基準は公表されていなく、審査は提出された資料を総合的に判断して行うとされている点も、難しいと言われる点です。

そして公表されている就労ビザの要件では、外国人と企業(受け入れ機関)に対して、それぞれ要件があります。

そこで今回は、一般的な就労ビザである「技術・人文知識・国際業務」と、近年需要が急激に増えている現場労働が可能な「特定技能」という2つの就労ビザについて分けてご説明させていただきます。

就労ビザの審査が厳しい理由(技術・人文知識・国際業務)

まず初めに、一般的な就労ビザである「技術・人文知識・国際業務」を取得するのが難しい理由をご説明させていただきます。

技術・人文知識・国際業務という就労ビザは、いわゆるホワイトカラーの仕事(エンジニア・営業・マーケティング・コンサルタント・語学教師・貿易の仕事など)をする場合に取得する就労ビザです。

そして技術・人文知識・国際業務の就労ビザを取得するのが難しい理由を理解するためには、「外国人側」「企業側(受け入れ機関)」の2つの視点に分けてご説明したほうがわかりやすいので、分けてご説明させていただきます。

外国人本人の条件について(技術・人文知識・国際業務)

技術・人文知識・国際業務ビザを取得するために外国人に求められているのが、「学歴」と「仕事内容」の2つです。

必要な学歴は、「大学院」「大学」「短期大学」「専門学校」を卒業して学位を取得できているかで判断されます。

学校は、海外の学校でも日本の学校でもどちらでも問題ありませんが、専門学校のみは日本の専門学校のみが対象で、海外の専門学校は対象外になってしまう点に注意が必要です。

さらに大学という名前がついている学校でも、学位(大学であれば学士)を取得できていない場合は、入管の求める学歴とは認められない場合が高いので、学位が取得できているかについても重要となります。

学歴がない場合は、実務経験年数で取得できる場合もあります。

実務経験年数とは、日本で行う仕事内容と同じ仕事を10年以上あることが証明できれば、学歴がなくても就労ビザの取得が可能となります。

学歴がない場合に求められている実務経験年数は原則10年ですが、国際業務(語学教師・翻訳通訳・貿易の仕事など)の場合には3年以上の実務経験年数でよいとされています。

次に仕事内容ですが、技術・人文知識・国際業務の就労ビザで行える仕事内容は、ホワイトカラーの仕事のみです。

ホワイトカラーの仕事とは、肉体労働を伴わない頭脳労働を中心としたオフィスワークや管理業務を行う仕事となります。

さらに外国人の方の学歴と関連性がある仕事である必要があるので、学校で勉強した内容と全く関係ない仕事をしてもらうことはできません。

企業側の条件について(技術・人文知識・国際業務)

技術・人文知識・国際業務の就労ビザで外国人を雇用する場合に、企業側(受け入れ機関)に求められているのが、「仕事内容」と「雇用条件」「経営状況」の3つになります。

仕事内容は、外国人の方の条件と同じになりますが、行ってもらえる仕事内容には制限がありますので、技術・人文知識・国際業務でできる仕事内容以外の仕事をしてもらう場合には不法就労となります。

そのため、技術・人文知識・国際業務ではどういった仕事ができるのかを確認しておく必要があります。

そして次に雇用条件ですが、外国人の方を雇用する場合にも、日本の労働基準法が適用になりますので、日本人と同じ条件で雇用する必要があります。

そのため、最低賃金が守られているかは最低条件となりますが、それに加えて就労ビザの審査では、日本人と同等以上の給与水準であるかも審査されています。

もちろんスキルによって給与金額が変わることは当然ですが、同ポジションに同じスキルの日本人と外国人を採用する場合、外国人という理由だけで給与金額を下げることは禁じられています。

最後に経営状況についてですが、外国人を採用して給与が払える体力がある会社かどうかも審査されます。

仮に給与が途中で払えなくなってしまう可能性がある会社であると、外国人の方が路頭に迷ってしまい、犯罪に手を染めてしまう可能性もあるため、給与がしっかり支払える安定性がある会社である必要があります。

そのため、決算書で債務超過になっている場合には、今後の資金繰りなどの説明が必要になってきます。

就労ビザの審査が厳しい理由(特定技能)

次に特定技能という就労ビザですが、特定技能は2019年4月に新設された就労ビザで特定の14業種に限り、現場労働を認めるという就労ビザとなっています。

ただし2024年現在は、業種が統合されたり、新しい業種が追加されたりして全16業種が特定技能の対象業種となっています。(ただし2024年時点でまだ運用が開始されていない業種もあります)

対象16業種は、下記に記載させていただきつつ、特定技能の就労ビザを取得するのが難しい理由を「外国人側」「企業側(受け入れ機関)」の2つの視点に分けてご説明していきます。

特定技能(対象16業種)

  1. 介護
  2. ビルクリーニング
  3. 工業製品製造業
  4. 建設
  5. 造船・船舶工業
  6. 自動車整備
  7. 航空
  8. 宿泊
  9. 自動車運送業
  10. 鉄道
  11. 農業
  12. 漁業
  13. 飲食料品製造業
  14. 外食業
  15. 林業
  16. 木材産業

 外国人本人の条件について(特定技能)

特定技能という就労ビザを取得するために外国人に求められているのが、「技能試験の合格」と「日本語試験の合格」の2つです。

特定技能の就労ビザでは、外国人に対して学歴や実務経験は求められておらず、希望する特定技能の業種に係る「技能試験」に合格する必要があります。

特定技能では、人出不足が深刻な業界に、即戦力人材の外国人を雇用してもらい、人材不足を解消してもらうことが目的なので、技能試験を受けてもらい、入社3年目レベルの知識と技術を身に着けてもらうことが必要とされています。

技能試験は、日本と海外の両方で実施されていますが、実施場所や日時は不定期なので、希望する業種の試験をインターネットで検索してもらい確認してみてください。

次に日本語試験ですが、日本語能力試験(JLPT)N4以上か、日本語基礎テスト(JFT-Basic)のどちらかに合格している必要があります。

ただし、介護や自動車運送業など、業種によっては別の日本語試験が用意されていたり、日本語能力試験N3以上が必要とされている場合もあります。

企業側の条件について(特定技能)

特定技能の就労ビザで外国人を雇用する場合に、企業側(受け入れ機関)に求められているのが、「支援体制」と「雇用条件」「経営状況」の3つになります。

特定技能の就労ビザでは、外国人の方のサポートが必須になり、3か月に1回は入管に支援状況の報告をする必要があります。

具体的な支援内容については、下記にて記載させていただきますが、この支援はすべて母国語など外国人が十分に理解できる言語で行う必要があります。

そのため、大企業やすでに同じ国の方を雇用している企業以外では、原則として登録支援機関という外部の機関に支援を委託する必要がでてきます。

その際の支援費用などは会社負担でならなければならず、外国人に負担させることは禁止されています。

登録支援機関の主な支援内容

  1. 事前ガイダンス
  2. 出入国の際の送迎
  3. 住居確保・生活に必要な契約の際の支援
  4. 生活オリエンテーション
  5. 公的手続き等への同行
  6. 日本語学習の機会提供
  7. 相談・苦情への対応
  8. 日本人との交流促進
  9. 転職支援(人員整理などの場合)
  10. 定期的な面談

次に雇用条件ですが、特定技能の場合には直接雇用が必要になるので、派遣社員として働いてもらうことはできません。

例外として、農業と漁業の業種に関してのみ派遣での雇用が認められています。

その他、特定技能の就労ビザも、日本の労働基準法が適用になりますので、日本人と同じ条件で雇用する必要があります。

最後に経営状況についても、外国人に給与が支払える体力があるかも審査されるので、債務超過の会社や新設会社の場合には注意が必要です。

就労ビザの許可率を上げる方法は?

ここからは就労ビザの許可率を上げる方法についてご説明させていただきます。

就労ビザの申請は、日本にある入管(出入国在留管理局)で行いますが、一度提出した書類は半永久的に残るので、矛盾がある書類や説明が面倒だからという理由で日付けなどの詳細を確認しないで提出してしまうと、リカバリーするのはかなり大変になります。

そのため就労ビザの申請では、会社の担当者が内容に矛盾がないかを確認するのが大切になってきます。

そして、申請する就労ビザの種類の要件に該当しているか、申請前に確認することも重要です。

技術・人文知識・国際業務の場合には、外国人の学歴は書類で確認がすぐに取れますが、仕事内容に関しては、資格該当性があるか判断するのは難しいと思います。

また、1つの業務を行ってもらうだけでなく、複数の業務を行ってもらうことの方が多いと思うので、そういった場合にはどういう判断をしたらいいのか迷うと思います。

複数の業務を行う場合には、メイン業務は何か?で考え、メイン業務の内容と全体の仕事に対しての割合に関して説明します。

就労ビザの審査では、何か説明が必要なことは申請人側に説明義務があるため、入管が教えてくれると思わずに、任意書類で説明資料を作成したり、証明書類を提出するようにしてください。

また、就労ビザの要件はインターネットで調べれば出てくると思いますが、全く同じケースが検索で出てくるわけではないと思うので、不安な場合には行政書士などの専門家に相談するようにしましょう。

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