配偶者ビザ申請で年齢差がある場合の審査ポイントと対応方法
日本の配偶者ビザ申請において年齢差があると審査は厳しく見られます。
何歳差以上あると厳しくみられるかという基準はありませんが、ビザプロでは「15歳差以上」を一つの目安としています。
日本の配偶者ビザではすべて「書面審査」になるので、面接でアピールすることができません。
この記事では年齢差が大きい場合の審査ポイントと対応策について解説していきたいと思います。
目次
配偶者ビザで年齢差があると審査は厳しく見られる
日本の配偶者ビザ申請において、年齢差があると審査が厳しくなります。
ここでいう年齢差はビザプロでは15歳差以上離れている場合には、注意が必要とお伝えしています。
さらに25歳差以上離れている場合は要注意で、通常の審査よりも結婚の信ぴょう性を証明する資料を多く提出する必要があります。
なぜ年齢差があると審査が厳しくなるのか
近年では年齢差があるご結婚も増えてきました。
しかし現実的に国際結婚で年齢差がある場合は、偽装結婚の割合が高くなるというデータが入管にはあります。
偽装結婚と認定するのは難しいのですが、例えば「配偶者ビザを取得後、外国人配偶者がすぐに失踪した」「実際は結婚実態がなく別居している」などのケースがあります。
こういった過去のデータをもとに審査官は先入観をもって審査を開始するため、年齢差がある国際結婚の場合には、こちらから真実の結婚ということを強く証明していく必要があります。
年齢差がある場合の、結婚の信ぴょう性のアピールポイントとは
結婚の信ぴょう性を証明するには、審査官が見ているポイントを理解する必要があります。
結婚の信ぴょう性のアピールポイント
- コミュニケーション(意思疎通)がとれているか?
- 交際期間が極端に短くないか?
- 会った回数が少なくないか?
コミュニケーション(意思疎通)がとれているか?
結婚の信ぴょう性で最も大事なポイントは「コミュニケーションがとれているか」です。
国際結婚の場合は言語問題が発生する場合が多く、翻訳機を使ってコミュニケーションを取っている方もいると思います。
翻訳機を使うこと自体に問題はありませんが、翻訳機がないとコミュニケーションがとれないとなると、お互いの気持ちを理解し結婚に至るまでには時間がかかるというのが入管の考えになります。
コミュニケーション方法を確認する方法
入管の審査でコミュニケーション(意思疎通)がとれているか確認する方法は2つあります。
コミュニケーションを確認する方法
- LINEなどのコミュニケーションツールのスクリーンショット
- 必須書類である「質問書」のP4のお互いの言語の理解度の質問
質問書のフォーマットはこちらになります
質問書でコミュニケーションに問題なしと記載しても、実際にコミュニケーションが取れているのかの判断はできません。
そのため審査の中で年齢差がある場合の多くは、LINEなどのコミュニケーションツールの日々のやりとりのスクリーンショットの提出を求められます。
LINEなどのやりとりでは翻訳機能があるので、スムーズにやりとりできているように見える場合もあるかと思います。
ですが仮に会話が成り立っていなかったり、スタンプのやり取りが多く文字のやりとりが極端に少ないと言った場合には、コミュニケーションが取れていないと判断されてしまうことになります。
交際期間が極端に短くないか?
年齢差がある国際結婚の場合は、偽装結婚の確立が高いというデータがあるとご説明しました。
その中で年齢差が高い場合は、「交際期間が短い」場合も多くあります。
「交際期間が何カ月以上ないとダメ」という基準はありませんが、一般的に6か月以内だと短いと感じると思います。
例えば「元々知り合いで友人として長く付き合いがある」場合で、交際に発展してからすぐにご結婚ということであれば、友人としての期間の説明をしていくことで許可の可能性が上がっていきます。
ですが、友人としての交際期間もなく出会ってすぐに付き合い、結婚までの期間も短いとなると、審査では交際から結婚までの経緯の説明を細かく求めてきます。
会った回数が少なくないか?
年齢差が大きい国際結婚の場合は、「実際に会った回数が少ない」場合もあります。
会った回数も明確な決まりはないですが、ビザプロでは2回以下は審査がかなり厳しくなると判断しています。
会った回数が問題となるのは、外国人配偶者が海外在住の場合です。
外国人配偶者が海外在住の場合には、日本人配偶者の仕事の関係で会いに行けなかったり、外国人配偶者の渡航費やビザの関係で日本に会いに来れなかったりすることがあります。
さらに昨今では、コロナの影響で入国制限がかかり、気軽に会える状況ではなくなってしまいました。
ただし、入管の審査ではこの実際に会った回数を重要視しています。
会った回数はどのようにカウントする?
会った回数のカウント方法は、外国人配偶者が海外在住の場合には、その国に行った回数を1回とするのが一般的です。
例えば、「1回の渡航で1週間滞在していて毎日会っていたから7回会った」というカウント方法もできますが、会いに行った回数や会いに来た回数を1回とカウントする方が多いです。
これが1カ月以上会いに行っていたとなると、生活をともにしているので仮に1回の渡航だけだったとしても、2人の写真や親族との写真など、多く交際の証明を提出することで配偶者ビザの許可の可能性はあがっていきます。
年齢差が大きい場合の対応策について
年齢差が大きい場合は、結婚の信ぴょう性を証明するために、上記で説明した審査ポイントである「コミュニケーション方法」「交際期間」「会った回数」をアピールしていきます。
コミュニケーション方法の証明方法について
結婚の信ぴょう性を証明するうえで「一番大切なのがコミュニケーションが取れているか」です。
コミュニケーション(意思疎通)が取れているかの判断は、「LINE等の普段のやりとりのスクリーンショット」で証明していきます。
普段やりとりで使用しているコミュニケーションツール(LINE、メッセンジャー、WeChat、WhatsAppなど)でのやり取り画面のスクリーンショットを提出します。
提出する期間は、ビザプロだと年齢差がある場合は「直近6カ月分」を提出してもらっています。
6か月すべてを提出するのは大変なので、1カ月あたり5スクリーンショットを準備いただいています。
LINE等のスクリーンショットのポイント
- 相手の名前が外国人配偶者の本名になっていること(あだ名NG)
- 日付がわかる箇所のスクリーンショットを取る
- スタンプだけの箇所は避ける
- ケンカしている箇所は避ける
相手の名前が外国人配偶者の本名になっていること(あだ名NG)
大切なのは、LINE等の相手の名前が本名になっていることです。
あだ名になっていると、誰とやりとりしているのかわからないと言われてしまいます。
ですので、あだ名の場合は名前を本名に変えてからスクリーンショットを取るようにしてください。
日付がわかる箇所のスクリーンショットを取る
いつのやりとりか明確にするため、日付が出ている部分のスクリーンショットをとります。
LINEなどでは日付がでないところも存在するため、スクリーンショットをとる際には注意してください。
スタンプだけの箇所は避ける
LINE等のスクリーンショットを提出する意図としては、コミュニケーションがとれていることを証明するためです。
そのため、スタンプが多いやり取り箇所は避け、普段やり取りしている箇所をスクリーンショットとるようにしてください。
毎日のルーティーンの「おはよう」「おやすみ」などの箇所ばかりスクリーンショットでは、コミュニケーションがとれているか判断できないため、日々の出来事などのやりとりをスクリーンショットとるように意識してください。
ケンカしている箇所は避ける
ケンカの箇所は審査においては評価が下がってしまいます。
普段やり取りしていると、ケンカをすることもあるかと思いますが、ケンカの箇所ではなく、「今日あった出来事」などの箇所など、仕事上ではやりとりしないような内容の含まれている箇所が望ましいです。
交際期間の証明方法について
交際期間の証明については、質問書のP2の「出会ってから結婚までの経緯」の説明で行っていきます。
質問書のフォーマットはこちらになります。
質問書とは、配偶者ビザの申請の際に入管に提出するA4用紙8ページの必須書類のことです。
P2の「出会ってから結婚までの経緯」部分を「覚えていない」「書くことがないから」と5行くらいで済ませてしまうのは、年齢差が大きい結婚の場合は、せっかくのアピールポイントを無駄にしてしまうことになります。
年齢差が大きい国際結婚の場合は、別紙で書くなど、書ききれないくらい書いた方が印象がよいです。
出会いから惹かれて交際に至り、そしてプロポーズして結婚、となるべく詳細に記載するようにお願いいたします。
質問書のP2(出会ってから結婚までの経緯)の書き方ポイント
- 「具体的なデート場所」「印象に残っている出来事」「何かプレゼントをした場合は何をプレゼントしたのか」などを記載する
- 「年齢差があることへの外国人配偶者の反応」はどうだったか(家族や友人の反応も含めて記載するとポイントが高い)
- 交際期間が短い場合は、なぜこのタイミングで結婚しようと思ったのかを記載する。
例えば「運命を感じた」「この人しかいないと思った」といった内容ではなく、より具体的な内容を詳細なエピソードと一緒に記載する - ご結婚がお互いのご家族も賛成ある旨の説明をする。
言語が通じないとしても、外国人配偶者と一緒にテレビ電話でも一緒に報告し、親族の方との関係性を示せる写真などの証拠書類を残しておく
これらのことをすべて記載していくと、とても指定されているフォーマットには書ききれません。
書ききれない場合は、「別紙記載」として、A4用紙に記載するようにしましょう。
親族に結婚を報告していない場合
日本人配偶者および外国人配偶者側のご家族や友人にご結婚のことを伝えていないのなら、できるだけ伝えておいた方がよいです。
理由としては、入管の過去の偽装結婚のケースでは「親族が結婚のことを知らない」ことが多かったというデータがあるからになります。
親族の方がすでに亡くなられていたり、疎遠になってしまっている場合は仕方ないですが、なるべく親族にご結婚を伝えるようにしてください。
外国人配偶者側の親族に結婚を報告する場合は、直接が望ましいですが、難しい場合はテレビ電話でもいいので外国人配偶者からだけでなく、日本人配偶者も同席して報告するようにしてください。
またその際の写真や、テレビ電話の場合はスクリーンショットを取るようにすると証拠書類として使用できます。
会った回数の証明方法について
外国人配偶者と会った回数は、一般的には「スナップ写真」「渡航履歴」で証明していきます。
外国人配偶者が海外在住の場合は、出入国履歴または日本人のパスポートの写真部分のコピーを提出することで渡航履歴の証明が可能です。
ここではスナップ写真が大切になりますので、詳しく解説していきます。
スナップ写真は入管の必須書類ですが、入管のHPでは2~3枚と記載されています。
ただし年齢差がある場合には、2~3枚では足りず、5~10枚ほど提出する方が結婚の信ぴょう性があがります。
スナップ写真の注意点
- 同じ日に撮影した写真は1枚とカウントする
- 撮影日と撮影場所を明示する
- 顔がはっきりわかる2人が写っているものを準備する
同じ日に撮影した写真は1枚とカウントする
スナップ写真を5枚と言うと、同じ日に撮影した写真を5枚ほど準備される方もいますが、同じ日の写真は1枚とカウントします。
結婚式の写真も、同じ日での撮影なので1枚とカウントとしてください。
2泊3日で旅行した場合も、違う日に撮影したものであれば審査上加点になり得ますが、同じ旅行の写真を複数枚提出するのであれば、違う旅行や日常で撮影した写真を提出する方が審査上有利に審査してもらえます。
また違う日に撮影した場合でも、洋服が一緒の場合には注意してください。
スナップ写真に写っている洋服が一緒だと、同じ日に撮影したものとみなされてしまう可能性もあります。
撮影日と撮影場所を明示する
提出するスナップ写真は、「撮影日」と「撮影場所」を別途記載するようにしてください。
スナップ写真は日付が記載されているものもありますが、多くのスナップ写真はいつ撮影したのかわかりません。
スナップ写真は現像しなくても大丈夫で、携帯で撮影した画像を印刷して撮影日や撮影場所を手書きで記入しても大丈夫ですし、ワードなどで編集する形でも大丈夫です。
顔がはっきりわかる2人が写っているものを準備する
配偶者ビザの審査で必要なスナップ写真は、結婚の信ぴょう性を審査するものになるので、「顔がはっきりわかる写真」を準備する必要があります。
旅行などの写真だと、サングラスをかけている写真もあるかと思います。
さらに近年だと、マスクをしていることが多いと思いますが、入管に提出する書類は顔がはっきり写っているものを選定してください。
またスナップ写真は、お互いが撮った写真ではなく「2人が写っているもの」を選んでください。
友人など大勢と写っている写真でも大丈夫ですが、どこに2人がいるかどうか示すこと必要になります。
年齢差がある配偶者ビザ申請は綿密な準備が勝負の分かれ目
年齢差がある配偶者ビザ申請では、綿密な準備が大切になってきます。
プライベートな情報を提出することにもなるので、「私たちは真実の結婚だから問題ない」と思い込まず、プライベートな情報だとしても入管から情報が漏れることはありませんので、なるべく多くの情報を提出するようにしてください。