配偶者ビザで必要な収入とは?少ない場合の対応策も解説
配偶者ビザを取得するためには「収入の審査」があり、安定した収入がないと配偶者ビザの取得は難しくなっています。
ビザプロでは、夫婦2人で住民税の課税証明書ベースで年収200万円以上を基準としていますが、夫婦の状況に応じては、年収200万円以上必要だったり、200万円なくても許可がとれることもあります。
そこでこの記事では、配偶者ビザの審査において入管がどのように収入額を審査しているのか、そして収入額が少ない場合の対応策についても解説していきます。
配偶者ビザで必要な収入金額は?
日本の配偶者ビザの審査項目の中で「収入」はとても重要なポイントになります。
ただし、法令や入管(出入国在留管理局)の内部資料の中には、配偶者ビザの取得に「〇〇万円」以上必要といった具体的な数字は記載されてはいません。
夫婦の状況によっての収入基準は異なる
配偶者ビザの申請で必要な収入額は、夫婦の状況によって、安定的・継続的な生活を送っていけるかで判断しています。
具体的に夫婦の状況とは、「居住地」「持ち家か賃貸か」「両親と同居かどうか」「何人家族か」などを指します。
物価で言うと、東京エリアが一番高いので、東京在住の場合だと求められる収入金額も高くなります。
また持ち家や実家で両親と同居だと家賃がかからないので、平均年収を下回っていても今後どのように生計を立てていくのかのプランを明確に示し、生活状況や資産等も踏まえながら、経済的に安定して生活ができることを証明していくことができれば審査でも優位になります。
子どもがいる場合には子どもも含めて養えるかどうかを審査されるので、求められる収入の基準は高くなります。
そのため、何人家族かによっても必要な収入金額は変わってきます。
ビザプロでは、2人夫婦の場合で年収200万円以上を一つの基準としていますが、収入のボーダーラインとしては、一般的に「生活保護受給基準」と言われたりもします。
生活保護受給基準とは、一般的に世帯年収が月13万円以下(年収に換算して156万円以下)となっていますが、近年は物価が上がっているのと、あくまで審査は個別具体的に審査されますので、夫婦の状況で必要金額が変わります。
収入金額は住民税の課税証明書を基準とする
配偶者ビザの収入は、市区町村役場で取得できる「住民税の課税証明書」に記載されている金額を基準として審査されます。
この課税証明書は毎年5月中旬~6月頃に最新版に更新され、記載されている金額は、1年前の収入金額が記載される形になります。
(例:令和3年度の課税証明書→令和2年1月~12月までの合計収入額が記載される)
源泉徴収票でも収入金額はわかりますが、複数の会社から給与をもらっていたり、確定申告している場合は、所得金額が変わるので、源泉所得税ではなく、住民税の課税証明書で正確な収入金額を判断しますので注意してください。
決まっていない仕事では、収入として認められない
現在、働いていれば毎月の収入金額から収入金額(年収)を計算できますが、これから働く予定の方は、どのように収入金額を考えればいいのでしょうか。
配偶者ビザの申請においての収入は、「申請時に確定している収入」となっており、将来の不確定事項についての収入は認めてもらうことができません。
そのため、「配偶者ビザが取得できたら働く」「仕事が見つかり次第働く」といった内容は認めてもらえず、認めてもらえる内容は、「内定がある」場合のみとなります。
なお収入の証明は、日本人側でも外国人側でも、どちらでも問題はありません。
不確定の就職先は認められない
不確定な就職先の例
- 日本に来た後に就職先を探す
- 配偶者ビザの取得後に就職先を探す
弊社でも相談をいただくことが多くありますが、上記のような不確定事項の内容では、配偶者ビザを取得することはできません。
「就職先に妥協をしたくないので、ゆっくり探したい」「外国人の場合は、配偶者ビザがないと就職先が見つけられない(求人に配偶者ビザが必須と記載がある)」のようなお話もご相談の中でよくお聞きし、気持ちや状況は理解できるのですが、配偶者ビザの審査では現時点での確定事項を審査していくことになります。
そのため配偶者ビザの申請前に内定先を見つけてもらうのがベストですが、難しい場合は最低限として、就職活動をしている証拠を提出するようにしてください。
とはいえ、絶対に就職先が見つかるという保証はありませんので、アルバイトなど収入を確保できる形から始められることをおすすめしています。
アルバイトの場合の注意点
アルバイトでも収入が確保されているのであれば、審査では収入として認めてもらえますが、アルバイトで注意が必要なのが、アルバイトの場合は月収が決まっているわけではなく、シフトによって収入が変動するという点です。
例えば、今まで週5日シフトに入っており、その実績が少なくても3ヶ月以上あるのであれば、これから先も週5日シフトに入るという説明の説得力はあります。
ですが、今まで週2日などしかシフトに入っていないケースですと、これからは週5日シフトに入りますと説明をしても、それが現実的に可能なのか疑義が残ります。
そういった場合は、将来のシフト表が出せるのであれば週5日入るという証拠の1つとして提出するか、直近3ヶ月は週5日働いた実績を残してから配偶者ビザの申請を出す方が許可の確立は上がります。
海外の会社勤務でのリモートワークの場合
新型コロナウイルスの世界的パンデミックにより、リモートワークが一般的になり、会社によっては、出社義務がなくなった会社も増えました。
配偶者ビザにおいても、日本国内の収入だけでなく、海外の会社でリモートワークという形で勤務を続けて収入が確保できているのであれば、その収入として考慮してくれます。
その際には、在職証明書や給与明細などの収入証明の書類を提出する必要があります。
また海外で収入があったとしても、海外の収入が生活費となっている場合は、日本での確定申告も必要となりますので、忘れずに行うようにしてください。
※海外で納税している場合は、日本での納税はかからないですが、所得の申告は必要となってくると思いますので、詳細は税務署にお問い合わせください。
収入が少ない場合の対応策について
収入が少ない場合でも、下記のような対応策が可能かどうかまず検討し、可能な部分があるのであれば、配偶者ビザの許可の可能性を上げることができます。
収入が少ない場合の対応策
- 親族からの金銭的援助
- 貯金や不動産などの資産
- 収入の確保できる見通しを示す
- 持ち家または実家に住む
親族からの金銭的援助を受ける
親族から金銭的援助を受けることができる場合は、審査でプラス要素になります。
その際には、親族の方の収入金額も大切になりますので、仮に親族の方の年収が低い場合には、金銭的援助をすることは困難ですので、他の方法を考える必要があります。
親族の目安の収入は300万円以上となり、住民税の課税証明書で証明します。
ただし、親族からの金銭的援助があれば必ず配偶者ビザが取得できるわけではないので、今後ご夫婦でどのように生計を立てていくのかの説明は必須になります。
貯金や不動産などの資産を保有している
配偶者ビザの審査では、貯金や資産よりも毎月の安定的な収入が重要視され、安定した収入があれば貯金が0円でも配偶者ビザの審査が通るほどです。
しかし安定した収入がない場合には、貯金や資産状況をアピールしていくことも一つの対応策になります。
たまにインターネット上で貯金の基準が100万円以上必要というサイトもありますが、安定した収入がなく貯金のみの場合には、100万円では足りません。
少なくても貯金額を証明する場合には、仮に1年間収入が0円であっても、問題なく日本で生活できるだけの貯金額が必要となります。
例えば、仮に1ヶ月の生活費が月15万円必要となると、年間180万円以上がないと生活できません。
しかし180万円あれば配偶者ビザが取得できるというわけでもないので、最低ラインの金額として考えてもらい、この場合も将来どのように生計を立てるのかの説明も重要になります。
収入の確保できる見通しを示す
すでに内定をもらえているのであれば「内定書」、就職活動中であれば「ハローワークカード」や「リクルートサイトのスクリーンショット」、就職して間もない場合は「在職証明書」などを提出します。
ビザプロは、内定をもらった後での申請を推奨していますが、ご夫婦の状況に応じては就職活動中の状態で申請を行い許可になった実績もあります。
ですが、全ての方が就職活動中でも申請が通るわけではありません。
就職活動中の場合で就職先が決まる予定がたたない場合は、アルバイトでも収入が少しでも確保できるような環境にしてからの申請をおすすめしています。
持ち家または実家に住む
生活費の中で最もお金がかかるのが家賃です。
仮に持ち家や実家に住むという計画であれば家賃はかからないので、審査で求められる収入金額は低くなります。
それでも無収入の場合には、最低1年間は暮らしていける貯金や資産を証明しつつ、今後どのように生計を立てていくのかの説明が必要になります。
個人事業主や会社経営者の場合の注意点
個人事業主と会社経営者の方は、節税という観点で様々な対策をとられている方も多いと思いますが、節税をされている場合の注意すべき事項を下記にまとめました。
経営者などで注意が必要なケース
- 確定申告をされていない方
- 確定申告で経費を多くして収入を少なく見せている方
- 会社経営者の方
個人事業主で確定申告をしていない方
確定申告をしないと収入が0円、住民税の課税証明書の収入も0円となり、書面上は収入が何もない人となってしまいます。
その状態で配偶者ビザの申請をして、個人事業主として働いているとアピールしても、「申告をしていない=納税義務を履行していない人」と判断されてしまい、不許可になる可能性が高くなります。
金額にもよりますが、確定申告をすることは義務になりますので、無申告の場合は最悪の場合、脱税として罪になる可能性もあるので、収入がある場合は確定申告は必ず行うようにしてください。
なお、確定申告している場合の収入は、収入金額ではなく「所得金額」を見ますのでご注意ください。
確定申告で経費を多くして収入を少なく見せている方
確定申告はしていて、収入金額(売上)はあるが経費が多いため、手残りの所得が少なく、結果非課税になっている人もいると思います。
配偶者ビザでは、収入(売上)ではなく、所得(手残り額)で収入を判断しますので、売上が多いから配偶者ビザが取得できるということではないので注意が必要です。
たまに非課税だが実際は収入があるという方もいますが、それは予測するに事業以外の出費を経費として計上してしまっているということを示すことにつながると思います。
経費とは、事業用で出費した金額を指すので、生活費も経費計上してしまっている場合には違法となり、配偶者ビザを取得するために税法や他の法律違反をしてしまっている場合は、当然ながら配偶者ビザの取得はできません。
ただし例えば、開業1年目で開業費用が多くかかってしまったため、非課税となっているが、2年目以降は同じ収入(売上)でも、経費が減るので所得金額が増えると言った場合には、その旨の説明をすることで配偶者ビザの取得が可能になる場合もあります。
また、臨時的に経費がかかってしまった場合などは、そういった旨の説明と証拠書類もあると信ぴょう性が高くなるので、審査もスムーズにいきやすくなります。
会社経営者の方
会社経営者の方では、会社の経営状況などから「役員報酬をもらっていない」場合や、「月額5万円など節税ができる範囲などで設定している」場合があります。
会社以外に収入源があればよいのですが、収入源が他にないと役員報酬だけの収入だけで生活を送っていくと証明することが困難となってしまいます。
「食費などは経費で精算している」という話も聞きしますが、ビジネスに関係ないものを経費に入れているとなると別の問題も生じますし、最悪の場合、入管より安定した収入がなく、納税義務を履行していないと判断されてしまうと、不許可になる可能性もあります。
そのため役員報酬を決定する際には、役員報酬は期中での変更は難しくなってきますので、将来のことも考慮して決定するようにしてください。