パキスタン人との結婚手続き方法

パキスタン人との結婚手続きでは、日本とパキスタンの「どちらの国でも」結婚手続きを行う必要があります。
パキスタン人が日本に住んでいる場合は、日本から先に結婚手続きを行っていく方がスムーズになります。
パキスタンに住んでいる場合でも、日本に短期滞在ビザで来日できる場合には日本方式で結婚手続きを行っていくのは可能ですが、日本に来れない場合はパキスタン方式で手続きを進めていくことが多いです。
そこで今回は、日本から先に結婚手続きを行う場合(日本方式)と、パキスタンから先に結婚手続きを行う場合(パキスタン方式)の結婚手続きの両方をご紹介していきます。
監修者

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行政書士法人フォワード
塩野 豪 GO SHIONO行政書士 Immigration Lawyer
フィリピン・カナダに合計5カ月居住し、海外での生活の大変さを知る。
その後、2016年に行政書士として独立して、ビザ申請代行サービス「ビザプロ」を開始する。
その後、累計400社・45か国以上の方の在留資格(ビザ)サポートを行う。
その他にも、日本法人の設立などのサポートを行い、外資系の日本進出コンサルティングも行っている。
人材紹介会社・管理団体・専門学校等とも顧問契約を結び、入管業務に特化したコンサルティングサポートを展開し、セミナー講師も積極的に行っている。
日本方式での結婚手続き(日本から先に結婚手続きをする場合)
※地域によって手続き方法が異なる場合がありますので、事前に確認をお願いします。
パキスタン人が日本に住んでいる場合には、日本方式で結婚手続きを行っていくのが一般的となります。
それでは具体的にどのような必要書類と手続きの流れを確認していきましょう。
Step.1 パキスタン人の宣誓供述書をパキスタンで取得する
国際結婚の場合は通常、婚姻要件具備証明書(通称:独身証明書)が必要になるのですが、パキスタンの場合はこの書類を発行していません。
婚姻要件具備証明書(通称:独身証明書)とは、「独身」で「重婚」していなく、「結婚できる年齢」に達していることを証明する資料になります。
そのため、婚姻要件具備証明書(通称:独身証明書)の代わりに、パキスタンで「宣誓供述書」を準備します。
この宣誓供述書は、親または親族が「結婚するパキスタン人が、既婚ではなく、結婚するにあたり法的に問題がない旨」を宣言して作成することになります。
Step.2 宣誓供述書を日本にあるパキスタン大使館で認証する
親または親族に作成してもらった宣誓供述書が取得できたら、その書類を「日本にあるパキスタン大使館で認証」をします。
この認証は、宣誓供述書がパキスタン国として本物であることを証明するために行います。Step.3 パキスタン人の出生証明書を取得する
また、日本での結婚手続きの際に必要になるので、「出生証明書」も必要なので一緒に取得しますが、パキスタン大使館で取得できない場合は、パキスタン本国で取得します。
Step.3 日本の役所で結婚手続きをする
書類がすべて揃ったら、日本の役所で結婚手続きを行います。
ただしパキスタンの場合は、婚姻要件具備証明書が発行されないので、その代わりに宣誓供述書を取得しましたが、日本の役所に提出するために「申述書」も準備します。
申述書は、婚姻届を提出する役所で準備してある場合もあれば、フォーマットがない場合もあるので、事前に役所に確認をするようにしてください。
そして、婚姻届はどこの役所でも提出できますが、日本人の本籍地以外で行う場合は、日本人の戸籍謄本が必要になります。
日本で結婚手続きする場合の必要書類
日本人の必要書類
- 婚姻届(証人2人の署名が必要)
- 本人確認書類(パスポートや運転免許証)
- 戸籍謄本(本籍地以外の役所で婚姻届を提出する場合のみ)
パキスタン人の必要書類
- 出生証明書
- 宣誓供述書(パキスタン発行のもので大使館の認証済のもの)
- 申述書(日本の役所にフォーマットがあります)
- パスポート
- 在留カード(ある場合のみ)
婚姻届が正式に受理されると、通常1週間ほどで日本人の戸籍謄本にパキスタン人の情報が反映された戸籍謄本を取得することができますが、パキスタン人との結婚手続きの場合、婚姻要件具備証明書の代わりに「宣誓供述書」で手続きすることになり、日本の役所では法務局に内容に問題ないか確認するため、「法務局預かり」となることが多いです。
法務局預かりになると婚姻届の受理までに1ヶ月~2ヶ月ほど時間がかかる場合があります。
これで日本側の結婚手続きが完了となり、続いてパキスタン側の結婚手続きを行っていくことになりますので、婚姻届が受理されたら、「婚姻届の受理証明書」を取得するようにしてください。
Step.4 婚姻届の受理証明書と戸籍謄本をアポスティーユ(外務省認証)する
婚姻届が正式に受理されたら、約1週間ほどで日本人の戸籍にパキスタン人の情報が反映されます。
この婚姻情報が反映された「戸籍謄本」と「婚姻届の受理証明書」を取得し、英語訳をつけて日本の外務省でアポスティーユ(認証)してもらいます。
アポスティーユとは、外務省印を押してもらうことで、海外に提出する日本で発行された書類が本物であることを証明するために行う手続きになります。
アポスティーユは、直接外務省に行って手続きするか、郵送で手続きするかのどちらかになりますが、直接外務省に行っても、アポスティーユ書類がもらえるのは、翌日が最短となります。
Step.5 日本にあるパキスタン大使館で認証を受ける
続いて、日本の外務省で認証された戸籍謄本と婚姻届の受理証明書を「日本にあるパキスタン大使館で認証」を受けます。
Step.6 モスクで結婚式をする
パキスタン大使館での認証が終わったら、日本国内にもあるモスクで結婚式を行います。
イスラムの結婚契約は、各モスクによって違う場合がありますので詳細はモスクに確認をしてみてください。
必要書類(東京ジャーミーの場合)
- 婚姻届の受理証明書(大使館の認証済のもの)
- 戸籍謄本(大使館の認証済のもの)
- 2人のパスポート
- 2人の証明写真1枚ずつ
※サイズはパスポートサイズ
他に、ムスリムの証人2名を連れていく必要がありますが、いなければ職員が代行します。
結婚式が終わると、「モスク発行の結婚証明書」を発行してもらえます。
Step.7 日本にあるパキスタン大使館で結婚手続きをする
モスクでの結婚式が終わったら、再度日本にあるパキスタン大使館に行き、結婚手続きをします。
※ご夫婦と立会人3人と共に行きます。
パキスタン大使館で結婚手続きする際の必要書類
- 婚姻届の受理証明書
- 戸籍謄本と英語訳
- 2人のパスポート
- 2人の証明写真各2枚
- モスクの結婚証明書
パキスタン大使館での手続きが終わると「婚姻証明書を発行」してもらえ、これですべての結婚手続きが完了となります。
なお、日本での配偶者ビザ申請時には、「パキスタン大使館発行の婚姻証明書の提出が必要」になります。
パキスタン方式での結婚手続き(パキスタンから先に結婚手続きする場合)
※宗教や地域によって手続き方法が異なる場合がありますので、事前に確認をお願いします。
パキスタン人との結婚手続きは、宗教によって手続き方法が異なってきますが、今回は、イスラム教徒が裁判所で行う結婚手続きについてご説明していきます。
Step.1 日本人の戸籍謄本を取得する
まず最初に、日本人の本籍地で日本人の「戸籍謄本」を2通取得します。
※本籍地と住所は異なりますので、ご注意ください。
※戸籍謄本の有効期限は、取得から3か月以内になります。
Step.2 戸籍謄本を日本の外務省でアポスティーユ(認証)する
続いて、取得した戸籍謄本のうち1部を日本にある外務省でアポスティーユ(認証)します。
アポスティーユとは、外務省印を押してもらうことで、海外に提出する日本で発行された書類が本物であることを証明するために行う手続きになります。
アポスティーユは、直接外務省に行って手続きするか、郵送で手続きするかのどちらかになりますが、直接外務省に行っても、アポスティーユ書類がもらえるのは、翌日が最短となります。
Step.3 パキスタンにある日本大使館で日本人の「婚姻要件具備証明書」を取得する
日本で書類を取得したら、パキスタンに行き、パキスタンにある日本大使館で「日本人の婚姻要件具備証明書(通称:独身証明書)」を取得します。
婚姻要件具備証明書(通称:独身証明書)とは、「独身」で「重婚」していなく、「結婚できる年齢」に達していることを証明する資料になります。
婚姻要件具備証明書を取得するための必要書類
- 申請書(大使館に備え付けてあります)
- 戸籍謄本(発行から3か月以内のもの)
- パスポート
Step.4 パキスタン人の住民登録地にある裁判所で婚姻申請をする
日本人の婚姻要件具備証明書が取得できた後は、パキスタン人の住所地にある裁判所で婚姻申請をしますが、裁判所によって必要書類が大きく異なります。
※事前に裁判所に必要書類を確認してください。
下記は一般的に必要となるものを記載で、この結婚手続きには、証人2人が必要になります。
パキスタンの結婚手続きでの必要書類
日本人の必要書類
- パスポート
- 婚姻要件具備証明書(翻訳、外務省の認証付きのもの)1通
- 戸籍謄本(翻訳、外務省の認証付きのもの)1通
- 宣言供述書(日本人が新婦の場合)
※パキスタン国の婚姻要件を満たしていることを宣言する供述書を作成します。 - 証明写真(パスポートサイズ)
パキスタン人の必要書類
- 身分証明書
- 新婦の宣言供述書(パキスタン人が新婦の場合)
※パキスタン国の婚姻要件を満たしていることを宣言する供述書を作成します。 - 証明写真(パスポートサイズ)
この結婚手続きが完了すると、婚姻契約書(Nikahnama)が発行され、これでパキスタン側の結婚手続きが完了となります。
続いて、日本側の結婚手続きを行っていきます。
Step.5 日本側で結婚手続きを行う
日本側の結婚手続きは、パキスタンにある日本大使館でも手続きはできますが、戸籍謄本に婚姻情報が反映されるまでに1ヶ月~2ヶ月ほどかかりますので、急いでいる場合は「日本にある役所で手続きする方がスムーズ」です。
また日本の役所への結婚手続きは、日本人1人でもできますし、使者として親族や友人に代理で行っていただくことも可能です。
今回は、日本の役所で手続きする場合の必要書類についてご案内させていただきます。
日本での結婚手続きの際の必要書類
日本人の必要書類
- 婚姻届(証人2人の署名は不要)
- 身分証明書(運転免許証など)
- 戸籍謄本(本籍地以外で手続きする場合のみ)
パキスタン人の必要書類
- 婚姻証明書と日本語訳
※日本語訳はどなたが行っても大丈夫です。 - パスポートと写真のページの日本語訳
※日本語訳はどなたが行っても大丈夫です。 - 在留カード(ある場合のみ)
婚姻届が正式に受理されると、平均1週間で日本人の戸籍謄本にパキスタン人の情報が反映された戸籍謄本を取得することができるようになります。
これですべての結婚手続きが完了となり、日本での配偶者ビザ申請時には、「パキスタン国発行の婚姻証明書の提出が必要」になります。
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