3年の経営管理ビザを取得するためには?
今回の記事では、3年の経営管理ビザを取得するためのポイントを解説していきます。
経営管理ビザは、3年や5年が取りづらいと言われており、技術・人文知識・国際業務の就労ビザと違い、何回か更新すれば長い年数がもらえるものではありません。
また3年または5年のビザを取得できないと、日本に10年以上住んでいても永住申請ができないので、経営管理ビザの方は、早めに3年以上のビザが取得したいと思います。
そのため今回は、経営管理ビザの更新で審査官が見ているポイントについて解説していきたいと思います。
目次
経営管理ビザのカテゴリーとは?
会社を新しく設立して経営管理ビザを取得した場合、ほとんどが1年ビザからのスタートになることが多いです。
理由としては、新しく会社を設立したばかりでは、今後安定した経営をしていけるかの判断が難しいためであり、入管法では、経営管理ビザの3年や5年を取得するために最低限必要な運用基準(審査ポイント)を定めています。
その際に理解しておく必要があるのが、会社の規模に応じた「カテゴリー」という考え方なので、まずは下記のカテゴリー表をご確認ください。
カテゴリー区分 | 会社の規模 |
カテゴリー1 | ・日本の証券取引所に上場している会社 ・保険業をしている相互会社 ・外国の国や地方公共団体 ・日本の国や地方公共団体が認可した公益法人 |
カテゴリー2 | 前年度分の給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収額が1,000万円以上ある会社などの団体や自営業、個人事業主 |
カテゴリー3 | 「前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く)」で、源泉徴収税の合計額が1,000万円未満の企業 |
カテゴリー4 | カテゴリー1~3に当てはまらない会社などの団体や自営業、個人事業主(主に創業から1年以内の企業が該当) |
3年の経営管理ビザをもらうための審査ポイントとは?
それでは具体的に3年ビザを取得するための審査ポイントについてみていきましょう。
3年ビザを取得する運用基準
次のすべてに該当していることが必要
- 届出義務を履行していること
- 義務教育に該当する子どもがいる場合、子どもが小学校・中学校・義務教育学校(インターナショナルスクールを含む)に通学していること
- 会社がカテゴリー3以上に該当すること
- 1年以上日本で経営していく予定であること
- 安定した会社経営が可能であると判断できること
届出義務の履行について
届出義務とは、会社の住所や電話番号などが変わった際には、2週間以内に入管に届出を行う必要があります。
届出はこちらのリンクから「1.活動機関に関する届出手続き」から可能です。
これらの義務を履行していない場合、3年のビザの取得は厳しくなります。
合わせて、届出ではないですが「会社として社会保険の加入」「住民税の納税」などの法的義務を履行していない場合についても、3年ビザの取得は難しくなるので注意してください。
カテゴリー3以上について
カテゴリーは上記の表で記載しましたが、カテゴリー4企業は3年ビザの取得は難しいです。
カテゴリー4とは、簡潔に言うと、創業1年未満の企業のことを言い、創業1年未満だと毎年1月に支払う源泉徴収税の支払いをしていないので、カテゴリー4に分類されます。
そのため例外はありますが、原則は1年以上経営し法定調書合計表(源泉所得税の支払い)の提出ができるようになってから3年ビザを取得できる確率があがります。
安定した会社経営の判断について
安定した経営ができているか判断するのに重要なのが「決算書」です。
決算書は、1年間の会社の営業活動の数字と、会社の累積数字が確認できるのですが、まずは、損益計算書(PL)に記載されている「売上高」と「営業利益」の数字に注目します。
安定した会社経営において、前提として黒字になっている必要があるので、仮に営業利益がマイナスになっていると、ビジネスで利益が出ていないことになるので、安定しているとは判断されません。
また貸借対照表(BS)においても繰越利益剰余金の数字や、債務超過になっていないかなど、確認する点は多くありますが、少し難しいので、まずは損益計算書(PL)の売上高と営業利益を上げることで安定性をアピールできます。
最短で3年ビザを取得するためにできることとは?
3年の経営管理ビザを取得するためには、最低限、決算書上で黒字になっていることが求められます。
しかし、黒字であれば売上が低くてもいいわけではなく、例えば黒字でも売上1000万円以下だと、今後も安定して売上を上げられることができるのかという点から、安定性がないと判断されてしまうケースもあります。
また経営管理ビザは、「経営」または「管理」を行うためのビザになるので、1人で会社を設立したとしても、従業員を雇用できているかも審査では重要な点になってきます。
従業員は正社員、アルバイト、パート、どのような雇用形態でも問題はなく、場合によっては業務をアウトソーシング(外注)なども活用しながら事業拡大をしていく必要があります。
3年ビザを取得するのにできること
- 売上1000万円以上にできるようにする
- 黒字にする
- 役員報酬は、高い方が評価は高い
- 社会保険や納税は、遅延なく支払う
なお、一般的には決算書2期分において、売上や利益が安定していれば3年ビザは取りやすい傾向にあります。
そのため、決算期の時期にもよりますが、少なくても2年以上は上記の要件をクリアして、会社が安定していることをアピールする必要があります。
永住権の申請について
将来的に永住権を申請したいと思っている方も多いと思います。
永住権の要件は多くありますが、最低でも3年または5年以上のビザを持っていないと申請ができません。
そのため例えば、留学生として来日して、就労ビザに変更後働いて5年以上が経ち、まもなく来日10年がたつ場合でも、独立して会社設立し、経営管理ビザを取得した場合、10年以上の居住年数になったとしても、3年以上の経営管理ビザを取得できないと永住申請ができなくなってしまいます。
そのため、将来的に永住申請を考えている場合は、3年の経営管理ビザはどのようにしたら取得できるのかを先んじて確認しておくようにしましょう。