4か月の経営管理ビザの条件と難しさについて
2015年の入管法改正により、海外在住の外国人1人でも日本で会社設立や経営管理ビザの取得ができるように「4ヶ月の経営管理ビザ」が新設されました。
しかし現実的には、簡単に取得できるものではなく、4か月の経営管理ビザでも日本で予め準備しておかないといけないものもあるので、1人で行うのは難しいのが現状です。
しかし取得できないことはないので、この記事では4か月の経営管理ビザの条件について解説していきます。
目次
4か月の経営管理ビザの条件とは?
4か月の経営管理ビザは、2015年4月の法改正により新設され、「日本で会社設立準備をしている」場合に、その証拠資料を準備できれば、会社設立の為に4か月の経営管理が取得できるというものです。
そして最低でも必要な情報は下記です。
4か月の経営管理ビザで必要な情報
- 資本金500万円が準備できることの証明(残高証明など)
- 事業所の候補場所の資料(図面やチラシなど)
- 事業計画書
- 定款案
資本金500万円が準備できることの証明(残高証明など)
経営管理ビザを取得するには「500万円以上の規模の会社」を設立する必要があります。
この500万円以上の規模というのは、資本金500万円以上で登記するのが一般的でわかりやすいです。
そのため、資本金500万円以上がすでに準備できていることを証明するために、申請人本人の口座などに資本金500万円以上があれば、残高証明書を取得して証明します。
ここでの注意点は、口座残高が500万円あればOKではなく、生活費もあると思うので、余裕資金で500万円以上あると証明することが大切になります。
事業所の候補場所の資料(図面やチラシなど)
経営管理ビザでは「独立した事務所(オフィス)を準備する」必要があります。
自宅兼事務所というのは、一軒家で1階と2階で明確に事務所と自宅が分けられる場合のみ可能となっています。
そのため、通常は事務所を契約します。
事務所の候補場所は「図面や物件情報がわかるチラシなど」を提出します。
本来であれば、日本に来てから事務所も探して会社設立をするための4か月の経営管理ビザではあるのですが、実際は審査でどの事務所を契約する予定なのか確認されるので、ある程度目星をつけておく必要があります。
事業計画書
日本でどのようなビジネスをする予定なのかを説明する必要があります。
経営管理ビザの申請において事業計画書はとても大切で、ビジネス内容が決まっていない場合には許可にはなりません。
すでに海外で事業をされていて、日本進出のために会社設立であればわかりやすいですが、初めての起業で日本で会社を作って経営管理ビザを取得する場合には、「どのような商品をいくらで仕入れていくらで売る」「販売チャネルはどのように確保するのか」など、実現可能性が高い事業計画書を作成する必要があります。
定款案(定款認証まで終わっている方がベスト)
近年では「定款案」を求められることが多いです。
定款とは、会社設立の際に会社の目的などを記したもので、会社設立時には必ず作成するものです。
定款には会社の住所も記載するので、本来であれば事務所の契約後に作成することが一般的ですが、4か月の経営管理ビザでは、会社を本当に作るという証拠として定款案の提出を求められます。
定款は、日本の会社法が適用されているので、外国人1人で作成するには難易度が高く専門家への依頼することが一般的です。
4か月の経営管理ビザは取れないのか?
様々な記事で、4か月の経営管理ビザは実質取れないと書いてあるところもありますが、そんなことはありません。
ニュアンスとしては「4か月の経営管理ビザを申請する労力と、最初から長期の1年以上の経営管理ビザを取得する労力を比べるのであれば、最初から1年以上の長期の経営管理ビザを申請したほうがいいのではないか?」ということになります。
1年以上の長期の経営管理ビザ申請には協力者が必要になる
海外在住の外国人が1年以上の長期の経営管理ビザを申請するには「日本在住の日本人または永住者などの就労制限がない外国人の協力が必要」になります。
海外在住の外国人の申請は通常、日本在住の協力に、会社設立の際の資本金の振り込みや不動産の契約、法人口座の開設など様々手伝ってもらいます。
日本在住の協力者に行ってもらうこと
- 資本金の振り込み
- 不動産の契約
- 定款認証
- 登記手続き
- 法人設立届等の提出
- 経営管理ビザの法定代理人になってもらう
- 法人口座の開設
これらの手続きは、専門家以外の人であればかなり大変な作業になります。
行政書士などの専門家に依頼することで、上記協力者が行うことのボリュームを大きく削減することができます。