経営管理ビザの役員報酬の決め方について

経営管理ビザで日本でビジネスをする際、役員報酬を決めることはとても大切です。
日本人の場合だと、設立当初は役員報酬0円とすることもありますが、外国人の場合は経営管理ビザを更新するために、役員報酬の金額も審査対象となってきます。
そこで今回は、経営管理ビザの役員報酬の決め方について解説していきます。
役員報酬とは?
役員報酬とは、「法人の役員の給与」を指します。
従業員だと、給与でインセンティブなどで毎月の給与が変わることもありますが、会社の役員は、1年間の給与を先に決めないといけません。
役員報酬を決める時期は、法人設立してから3ヶ月以内で、1年の途中で毎月支払う金額を途中で変更することはできません。
正確には変更できますが、変更してしまうと損金(経費)として処理することはできなくなってしまいます。
理由としては、途中で役員報酬を変えられると、儲かったら役員報酬を増やそう、少し売上が少ないので、下げようなどとできてしまい、結果として税金対策ができてしまうからです。
そのため会社の役員は、毎年決算後3ヶ月以内に1年間の役員報酬を先に決める必要があります。
役員報酬はどうやって決める?
役員報酬の金額の決め方は「定款又は株主総会で定める」と規定されています。
ほとんどの場合は、定款で役員報酬の金額を決めるのではなく、株主総会(合同会社の場合は社員総会)を開催して役員報酬を決めることになります。
株主総会で役員報酬金額を決めたら「株主総会議事録(社員総会議事録)」を作成して、証拠資料を残すことが必要です。
経営管理ビザの申請においても、株主総会議事録のコピーの提出が必要になります。
役員報酬はいくら以上必要か?
外国人の役員報酬の金額に明確な基準はありませんが、実務的には「日本で生活できる以上の金額」が必要になります。
具体的な金額は、その人の状況によって変わりますが、未婚で扶養もいない場合は最低で月給18万円(年216万円)以上です。
しかし近年、賃上げや物価上昇に伴い、都心では月給18万円では足りないと判断される可能性もあるため、月給20万円(年240万円)以上をおすすめしています。
また、結婚していたり、扶養家族がいる場合は、その人数にもより変動しますが月額25万円や30万円など必要になる場合もあります。
ちなみに将来、永住権の申請を考えているのであれば、月額25万円(年300万円)以上は必要になります。
※扶養家族がいる場合は、それ以上必要です。
役員報酬0円はNG
税理士に役員報酬0円を提案されたり、知り合いの日本人から最初は役員報酬0円にした方が良いと言われることがあるかと思います。
しかし外国人の場合、役員報酬の金額はビザ取得に関係してきますので、役員報酬0円はNGです。
役員報酬での金額がその人に所得になりますので、役員報酬がない場合、所得が0円となり、日本でどのように生活していくか不透明になります。
金銭的に日本での生活が保証できないのであれば、経営管理ビザは取得できません。
これは経営管理ビザを更新する場合も同じです。
海外の収入で暮らすのはあり?
海外で経営している会社の報酬で生活したり、家族からの援助で生活するのはあり?というご質問をたまに受けます。
海外の収入や、家族からの支援金額を明確に証明できるのであれば、ビザ取得の可能性もありますが、あまりおすすめしません。
理由としては、役員報酬0円に設定すると、会社がうまくいかなということを証明していることにもつながります。
経営管理ビザの許可要件には、事業の安定性も審査対象になっているため、役員報酬をもらわない場合には、事業の安定性についての説明をしっかりすることが求められます。
なお、役員報酬0円で経営管理ビザをずっと更新はできないと考えていただければと思います。
毎年会社の運営がうまくいっていないとなると、役員報酬だけの問題ではなく、事業の継続性が不可能と判断される可能性が高いです。
そのため、役員報酬0円にするとしても、1年目くらいまでが現実的です。
さいごに
1年目から会社を黒字にするのはすごく大変なことです。
しかし、経営管理ビザの要件では「事業の安定性」「事業の継続性」があるかを審査されることになり、役員報酬を支払うとキャッシュフローがまわらないや、事業がうまくいかなとなるという説明では、入管は認めてくれません。
その場合は、事業自体の見直しが必要となってきます。
そのため、経営管理ビザの取得をするにあたっては、役員報酬の金額も事業計画に入れて、資金繰りを考えるようにしてください。