経営管理ビザで許可される事務所とは?
外国人の方が日本で起業して経営管理ビザを取得する場合、日本国内に事務所(オフィス)を確保する必要があります。
この事務所は、バーチャルオフィスのような実態のない事務所ではダメで、個室で独立性が保たれていることが求められています。
その他にも、自宅を事務所にしたいという要望もあると思いますが、経営管理ビザにおいての事務所の要件について、細かく説明させていただきます。
目次
経営管理ビザでは事務所を借りる必要がある?
日本で会社経営を行うためには「経営・管理」と言う就労ビザを取得する必要がありますが、経営・管理ビザを申請するためには、「事務所」が必要になります。
今の時代、パソコンとスマホがあれば仕事ができることも多いと思いますが、入管法では事務所で仕事をすることを求めているので、事務所が不要なビジネスであっても事務所は必要になります。
そして事務所は、ビザ申請前に契約をして借りている必要があり、ビジネスが開始できる状態にしている必要があるので内装工事もすべて完成している必要があります。
事務所に関して必要な書類
- 賃貸借契約書(または購入の証明書)
- 事務所の写真
- 図面(事務所の大きさや間取りがわかるもの)
不動産会社にもよりますが、契約してしまうと内容を変更するのに費用がかかる場合があるので、経営管理ビザを取得できる条件をクリアできているか確認してから契約するようにしてください。
事務所の契約時の注意点
事務所の契約内容は細かく審査されますので、下記内容をクリアしているか確認してから契約を進めるようにしてください。
契約時の注意点
- 契約名義人が法人名になっている
- 使用目的が「事務所」になっている
- 契約期間が長期契約になっている(1年以上など)
事務所の契約は事業を行う会社名義(法人名義)で契約する必要があります。
仮に法人でなく、個人事業主として経営管理ビザを申請する場合には、個人名で契約することになりますが、ほとんどのケースが会社を設立すると思うので、法人名義で契約をします。
そして使用目的も「事務所」となっていないと、ビジネスのために使うとみなされないので、住居などと記載がある場合は変更してもらう必要があります。
最後に、契約期間も安定して事務所を借りれているかという観点から、基本的には1年以上の契約が求められています。
たまに3か月契約しかできない事務所もありますが、更新が可能なのであればその旨がわかる文章を用意するか、もし他の事務所に変更できるのであれば、長期で契約ができる事務所に変更された方が審査はスムーズに進みます。
認められる事務所は?
経営管理ビザで必要な事務所は「ビジネスのための独立したスペースがある」ことです。
そのため、バーチャルオフィスのように大勢が利用するフリースペースのみの契約では事務所要件はクリアできません。
そのため、レンタルオフィスのように個室が契約できるプランか、マンションタイプで事務所の利用がOKな物件などを契約する必要があります。
認められている事務所
- レンタルオフィス(個室プランのみ)
- マンション(事務所OKな物件)
- 一軒家
- 店舗の一部を事務所とする
- 知人の会社の事務所を間借りする
レンタルオフィス
レンタルオフィスは、フリースペースを利用できるプランと個室のプランの2つがあります。
経営管理ビザで認められているのは「個室プラン」のみです。
そして個室プランも、パーテーションのように簡単に移動できるようなもので区切られているのではなく、鍵がついていて簡単には移動できない個室である必要があります。
個室の広さについては制限はありませんが、そこで仕事をするので、現実的に行おうとしているビジネスができる広さであることが必要です。
マンション
マンションタイプでも事務所として使用OKな物件とNGな物件があります。
当然、事務所NGな物件で事務所を開くことはできないので、物件の契約時に不動産屋に確認が必要です。
そしてマンションタイプ場合には、自宅兼事務所とすることはできません。
そのため、仮に4LDKなど部屋が余っているとしても自宅と事務所は分ける必要があるので、事務所用としてマンションを借りる必要があります。
一軒家
一軒家をすべて事務所と使用することはもちろん問題ありませんが、自宅兼事務所にしたい場合は、細かいルールが多くあります。
例えば、前提として1階を事務所、2階が自宅というように完全に分ける必要があり、事務所とプライベートスペースが切り離されていることが必要です。
そのため、1階の玄関を入ってすぐに2階に行ける階段があるか、2階に直接行ける外階段があるなど1階と2階が区切られていることが必要です。
仮に同じ入口で、リビングを通らないと事務所に行けないといったような造りの一軒家は認められません。
さらに重要なのが、ポストと看板、公共料金の支払いについてです。
ポストと看板は2つあり、自宅用と事務所用で明確に分けられる必要があり、さらには公共料金(水道や電気代など)も自宅用と事務所用で分けられるようにすることも必要になります。
店舗の一部を事務所にする
飲食店や店舗で食料品の販売、マッサージ店など店舗でビジネスをする場合、店舗の中を事務所にしたいと希望される方が多いと思います。
しかし店舗内に事務所を設置できるのは、事務所が壁の個室(鍵付き)で区切られている場合のみです。
パーテーションなどで区切るったとしても簡単に移動させることができるので、認められません。
壁で区切られた個室がない場合には、内装工事で個室を作るか、別のところに事務所を借りるかの二択になってしまいます。
仮に内装工事で事務所を作る場合は、少なくても2~3名ほどは入る大きさにしないと、本当にそのスペースで仕事をするのか?と思われてしまうので注意してください。
経営管理ビザでは店舗で販売する仕事はできないので、店舗内に事務所がある場合は、厳しく審査されることになります。
知人の会社の事務所を間借りする
知人の会社の事務所の一部を借りて事務所とすることも可能ですが、条件は厳しいです。
事務所を間借りする場合のルール
- 知人の会社の事務所と完全に区切られており、個室のスペースがあること
- 知人の会社の室内を通らずに自身の事務所の個室まで行ける(共用部から直接自身の個室までいけること)
- 知人の会社の賃貸借契約書の提出が可能なこと
- 貸主が転貸を承諾している旨の承諾書があること
- 知人の会社と自身の会社との転貸借契約書があること
転貸は勝手にはできないので、必ず貸主であるオーナーの承諾が必要になります。
そして仮に知人から0円で貸してもらえる場合であっても、0円での契約書は必要になります。
内装や備品はすべてそろえる必要がある
事務所の契約ができたら、ビジネスが開始できるように内装や備品をそろえる必要があります。
具体的には、机や椅子、パソコン、会議室用の机・椅子などは必要だと思うので揃っている必要があり、事業内容によってはプリンターや電話機なども必要になると思います。
内装や備品は、ビザ取得後に決めたいという方もいると思いますが、審査の段階で備品等がそろっていないと認められないので、先に決める必要があります。
さらに、会社名の看板を掲げる必要があるので、看板を作るか、レンタルオフィスなどであれば社名が書いてあるシールタイプのものを貼るなども必要です。