経営管理ビザの要件・必要書類・手続きの流れについて解説
外国人が「日本で会社経営したい」「会社の役員になりたい」場合には、経営管理ビザ(ビジネスビザ)を取得する必要があります。
経営管理ビザは、元々は投資経営ビザという名前で投資でビザが取得できていた時代もありましたが、法改正により平成27年(2015年)より施行され、経営管理ビザに変わりました。
経営管理ビザは2025年10月16日に改正があり、現在は資本金3000万円以上で常勤職員1名以上の雇用など、要件が厳しくなっています。審査期間も通常の就労ビザと比べて時間がかかり、東京の平均で6か月前後かかります。
そこで今回は、外国人が日本で会社設立して経営するために必要な経営管理ビザの要件と必要書類、手続きの流れについてご説明していきたいと思います。
監修者
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行政書士法人フォワード
塩野 豪 GO SHIONO行政書士 Immigration Lawyer
フィリピン・カナダに合計5カ月居住し、海外での生活の大変さを知る。
その後、2016年に行政書士として独立して、ビザ申請代行サービス「ビザプロ」を開始する。
その後、累計400社・45か国以上の方の在留資格(ビザ)サポートを行う。
その他にも、日本法人の設立などのサポートを行い、外資系の日本進出コンサルティングも行っている。
人材紹介会社・管理団体・専門学校等とも顧問契約を結び、入管業務に特化したコンサルティングサポートを展開し、セミナー講師も積極的に行っている。
経営管理ビザ(ビジネスビザ)とは?
経営管理ビザとは、外国人が日本でビジネスを行うために会社を作り「経営」したり、会社の役員となり会社の「管理」をしていくために取得する在留資格(ビザ)になります。
2015年4月以前の「投資経営ビザ」の時には、不動産投資などの投資でもビザ取得可能でしたが、現在は単純な投資だけでは経営管理ビザの取得ができなくなってしまいました。そのため経営管理ビザを取得するためには、代表取締役や役員として実際に経営または管理職として働く必要があります。
経営管理ビザの期間については、3ヶ月、4ヶ月、1年、3年、5年の5種類あり、ビザ期間は審査によって決まりますが、一般的には初回は1年ビザとなることがほとんどです。長い年数を取得するためには、更新申請を重ねていき、決算状況や事業の規模などに応じて3年や5年といった長いビザをもらえるようになっていきます。
そして経営管理ビザを取得するためには、資本金3000万円、常勤職員1名以上の雇用、日本語が話せる従業員が必要、経営又は管理の3年以上の経験など、厳しい要件があります。
経営管理ビザの要件は?
それでは具体的に、経営管理ビザを取得するための条件を確認していきましょう。
2025年10月16日に経営管理ビザの取得要件は大きく変わりましたので、ポイントを確認していきましょう。
経営管理ビザの取得要件
- 資本金が3000万円以上であること
- 常勤職員を1名以上の雇用していること
- 日本語が話せる従業員がいること(社長本人でも可)
- 経営または管理の経験が3年以上あること
- 経営の専門家による事業計画書の確認を得ていること
- 日本国内に事務所が用意できていること
それぞれの要件について細かい注意があるので、下記にてご説明いたします。
資本金が3000万円以上あること
要件の改正により、資本金500万円から3000万円以上に変更になりました。
個人事業主の場合は、事務所の確保、雇用する社員の1年分の給与、設備投資経費などの事業を営むために必要なものとして投下されている総額となります。
そして3000万円の資本金ですが、見せ金では認められないので、どのように準備したのか証拠書類を提出する必要がありますので、振り込み履歴などすべて提出することになります。
資本金が3000万円の会社であれば経営管理ビザが取得できるわけではなく、資金の出所まで証明できて認められますので、ご注意ください。
なお3000万円の出資は、海外法人からの出資や親族からの借り入れ、VCや銀行からの借り入れでも問題はありません。
常勤職員を1名以上雇用していること
常勤職員を1名以上雇用することが求められるようになりましたが、常勤職員とは日本在住の正社員や契約社員などのフルタイムの社員を指します。
そのため、パートやアルバイト、業務委託者では要件を満たしませんのでご注意ください。
さらに常勤職員は、日本人・特別永住者・永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者のいずれかである必要があります。
常勤職員であっても、技術・人文知識・国際業務などの就労ビザを持っている外国人を雇用するのでは認められないので注意が必要です。
日本語が話せる従業員がいること
そして社長または常勤職員(従業員)の中に、日本語が話せる社員がいることも必要です。
日本語が話せるという基準もしっかり決められており、文化庁が公表している「日本語教育の参照枠」にある「B2」レベル以上となっています。
具体的には下記となり、どれか1つでも該当している社員がいれば問題ありません。
求められる日本語能力レベル
- 日本語能力試験(JLPT)で「N2」レベル以上
- BJTビジネス日本語能力テストで「400点」以上
- 中長期在留者として日本に20年以上在留している
- 日本の大学などを卒業している
- 日本の義務教育を修了して,日本の高校を卒業している
日本語が話せる社員については、日本人だけでなく、外国人社員でも問題ありません。
日本語話せる社員については、ビザの種類は問いませんので技術・人文知識・国際業務の社員でも大丈夫です。
注意点としては、日本に住んでいる人か住む予定の人でないと認められないので、海外からリモートワークしてもらう場合は該当しません。
経営または管理の経験が3年以上あること
今までは学歴や実務経験について要件はありませんでしたが、改定により3年以上の実務経験が求められるようになりました。
具体的に求められているのは、会社経営や管理業務の経験ですが、この経験の中には、大学院などで経営などについて専攻していた場合は、その期間も含めることができます。
なお、学位については日本での学位だけでなく、海外の学校で取得した学位も対象となります。
求められる実務経験の内容(どれかに該当していること)
- 経営・管理の経験が3年以上ある
- 経営管理に関する博士、修士、専門職のどれかの学位を持っていること
- 日本で行う事業に関する博士、修士、専門職のどれかの学位を持っていること
経営の専門家に事業計画書の確認をしてもらうこと
経営管理ビザの申請では、日本で行うビジネスが事前に決まっていて、明確な事業計画が立てられていることが必要です。
そのため、経営管理ビザが取得できたら具体的な計画を考えるということは認められません。
そして今までの経営管理ビザの申請では、自身で作成した事業計画書で認められていましたが、改正後からは経営に関する専門的な知識を有する者に確認が必須となりました。
具体的に経営に関する専門的な知識を有する者として認められている、「中小企業診断士」「公認会計士」「税理士」の資格を有する方になります。
そのため現在は、自身で作成した事業計画書の確認してもらうか、すべて最初から作成してもらう必要があります。
なお事業計画書には下記のような内容が記載されていることが望ましいです。
事業計画書に記載する内容
- 創業の動機
- 市場規模や市場動向
- 販売商品やサービスの内容
- 販売価格と仕入れ金額
- 販売方法と集客方法
- 採用計画
- 1年~5年間の収支計画(月別の売上・利益予測)
日本国内に事務所が用意されているか
経営管理ビザを取得するためには、日本国内に店舗または事務所が用意されていることが必要です。
ビザが許可された後に事務所を借りたいという要望もあると思いますが、審査において事務所に問題がないか確認されるので、オフィスを契約した後に申請が可能となります。
事業内容によっては、事務所がなくてもリモートでできるビジネスも多くありますが、経営管理ビザ申請においては、ビジネスの実態を証明するために事務所で仕事をすることを求めています。
事務所の要件
- 事務所の広さに制限はないが、ビジネスが行える広さが必要
- 使用用途は「事務所」であること
- 契約社名は「法人名義」であること
- 自宅兼事務所は不可
- バーチャルオフィスなど実態がない事務所は不可
事務所の広さには制限がなく、事業が問題なく行えれば問題ないので、最近はレンタルオフィスの個室プランを契約する方が増えています。なお、バーチャルオフィスは実態がないものとなるので不可となります。
また事務所は、事業用として契約している必要があり、「個室」であることが必要なので、3LDKのマンションで1部屋を事務所として使用するといったことも不可となります。
以前は、自宅兼事務所が認められるケースもありましたが、現在は認められません。
そして注意が必要なのが、事務所はすぐに経営が始められる状態になっていることが求められているので、最低限デスクやパソコン、プリンターが準備されていること、店舗であれば内装が完了していることが求められています。
経営管理ビザの取得が難しい理由は?
経営管理ビザは、就労ビザの中でも取得するのが難しいとされています。
理由としては、事業計画書の作成の難しさと資本金3000万円の出所の証明が不十分とされることが多いからになります。
事業計画書の作成については、頭の中ではイメージできていることであっても、事業計画書にうまく記載できていないと審査官に伝わりません。また、事業がうまくいく証拠書類をどれだけ示せるのかもポイントとなってくるため、自身で申請する場合には、誰が見てもわかるような事業計画書を作成することを心がけてください。
次に資本金3000万円の出所証明ですが、海外から日本に送金制限がかかっている国も多いので、証明することが難しい場合もあります。
多くの人の場合、3000万円の送金記録のみ用意されることが多いですが、そのお金をどのように貯めたのかという部分から証明しないといけません。また送金記録の証明も、説明をしないとどういう流れでいつ送金したのかがわからないので、煩雑な作業になります。ただし審査において、資本金の出所証明はかなり重要な部分となりますので、わかりやすい書類を準備することが求められます。
経営管理ビザの必要書類は?
経営管理ビザを申請する場合の必要書類を確認していきましょう。下記書類は最低限必要になる書類となりますので、お客様の状況に合わせて、必要と思われる書類もご準備していただけたらと思います。
経営管理ビザの必要書類
- 申請書
- 証明写真(縦4cm×横3cm)
- パスポート
- 在留カード(変更申請の場合のみ)
- 資本金の出所の証明書類
- 登記簿謄本(発行から3か月以内のもの)
- 定款のコピー
- 事業計画書(専門家の確認済のもの)
- 会社概要(沿革、役員、組織、事業内容(主要取引先と取引実績を含む。)等が詳細に記載されたもの)
- 株主名簿
- 役員報酬を決定する株主総会議事録
- オフィスの契約書
- オフィスの写真
- 法人設立の届出書(税務署印があるもの)
- 給与支払事務所等の開設届出書のコピー(税務署印があるもの)
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書のコピー(税務署印があるもの)
- 常勤職員が1名以上いることを証明する雇用契約書など
- 日本語能力を明らかにする資料(フォーマットあり)
- 日本語能力を証明する資料(JLPTの場合はN2以上)※従業員でも可
- 経営管理ビザとして実際に行う仕事内容の説明書(任意書式)
- 許認可の書類(該当する場合のみ)
経営管理ビザの申請までの流れ
最後に新しく会社を設立して経営管理ビザを申請する場合の流れについてご説明させていただきます。
経営管理ビザ申請までの流れ
- 会社情報を決める
会社名や事業目的、出資金額を決めます。 - オフィスを契約する
登録する会社住所を決めるために、オフィスを契約します。 - 定款を作成する
すべての情報を定款に落とし込んでいきます。 - 作成した定款を認証する(株式会社の場合)
定款を管轄の公証役場で認証してもらいます。 - 資本金を振り込む
資本金の金額を振り込みます。 - 法務局で登記手続きを行う
登記書類などを準備して法務局で登記手続きを行います。ここで会社設立が完了します。 - 経営管理ビザの必要書類を準備する
会社設立が完了したら、続いて経営管理ビザの必要書類を集めていきます。 - 事業計画書を作成する
具体的な事業内容を事業計画書に落とし込んでいきます。 - 経営管理ビザの申請をする
すべての準備が整ったら、入管に申請を行います。
会社設立の段階でオフィスを契約しますので、家賃がかかってきます。そのため、会社設立から経営管理ビザの申請は、なるべく早めに進めることをおすすめします。
そして経営管理ビザの審査は、他の就労ビザに比べて時間がかかる傾向にあります。審査する入管の場所にもよりますが、東京入管の場合には6か月以上かかることもあります。地方入管の場合には2~3ヶ月ほどのところもあります。
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