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就労ビザから高度専門職ビザに変更する方法と注意点について

就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)の外国人が、高度専門職1号ロビザに変更するには、高度専門職ポイント計算表で70ポイント以上が必要です。

ただし、ポイントが70ポイント以上ある場合でも、年収300万円以下の場合は高度専門職1号ロへの変更はできません。

そこで今回は、すでに就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)で働く外国人が高度専門職1号ロに変更する際のポイントの計算方法と注意点についてご説明していきます。

高度専門職ビザとは?

高度専門職ビザは、日本で働くための就労ビザの1つになりますが、通常の就労ビザと違い、高度な専門能力(スキル)や資質を持った外国人を日本に受け入れるために設けられた就労ビザです。
※高度専門職ビザは、高度人材やHSP(Highly Skilled Professional)とも言われます。

そして高度専門職ビザを取得するためには、高度専門職ポイント計算表にて70ポイント以上のポイントを獲得できている外国人が取得できることになっています。

また高度専門職には1号と2号に分かれており、まずは高度専門職1号を取得することになります。

そして1号にも「イ」「ロ」「ハ」の3種類あり、就労ビザの種類(活動内容)によって、該当する高度専門職ビザが変わってきます。

ポイント計算表(日本語版)
Points Calculation Table(English)

今回は、一般的な就労ビザである技術・人文知識・国際業務ビザについて解説していきますので、高度専門職1号ロについてのご説明となります。

高度専門職ビザを取得するメリットとは?

高度専門職ビザは、入管が規定しているポイント計算表に基づき、合計ポイントが70ポイント以上あれば取得できます。

このポイントは入管が計算してくれるわけではなく、自分で計算して該当していると入管に申請する必要があります。

日本語版はこちら
Points Calculation Table(English)

そして高度専門職ビザを取得すると、他の就労ビザにはない下記の優遇措置があります。

高度専門職1号ロのメリット

  1. 複合的な在留活動の許可
  2. 在留期間「5年」の付与
  3. 永住申請の居住要件緩和
  4. 配偶者の就労緩和
  5. 親の帯同が可能(条件あり)
  6. 家事使用人の帯同が可能(条件あり)
  7. 入国・在留手続きの優先的審査

複合的な在留活動の許可

日本のビザは、許可された1つのビザ(在留資格)で認められている活動しか行うことができませんが、高度専門職ビザは、複数のビザ(在留資格)にまたがる活動が可能となります。

例えば,システム会社で勤務しながら、自分で貿易会社を設立し、経営業務も行うといった活動を行うことができます。

在留期間「5年」の付与

通常の就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)では、1年・3年・5年のどれかの在留期間が審査によって決まります。

5年などの長い年数のビザを希望しても、外国人本人の学歴や在留状況、職務内容、会社規模など総合的に審査され、ビザの年数は決まります。

ただし高度専門職ビザは、会社規模などに関わらず、必ず「5年」ビザが付与されると決まっています。

そのため1年ビザのように、毎年ビザ更新手続きをしないといけないといった手間や精神的負担を減らすことができます。

永住申請の居住要件緩和

永住申請をするには、原則として「日本に引き続き10年以上在留していること」が求められています。

しかし、高度専門職ビザの場合は「日本に引き続き3年間以上の在留」で永住申請が可能となります。
※高度専門職のポイントが80点以上の方は、3年が1年まで短縮されます。

配偶者の就労緩和

就労ビザで働く外国人の配偶者(妻または夫)で、家族滞在ビザで日本にいる方は、資格外活動許可の取得すれば週28時間以内の就労が可能です。
※フルタイムで働くことはできません。

ただし、高度専門職の配偶者(妻または夫)として日本に一緒に暮らしている外国人の場合、技術・人文知識・国際業務や技能などの就労ビザで認められている仕事であれば、フルタイムで働くことができます。
※特定活動ビザへの変更が必要です。

通常、技術・人文知識・国際業務や技能などの就労ビザは、学歴や実務経験が求められますが、これらの該当性がなくても、高度専門職ビザの配偶者(妻または夫)であれば、働くことが認められます。

親の帯同が可能(条件あり)

日本では、外国人の親のビザ(在留資格)はありません。

しかし高度専門職ビザの場合、子どもがまだ小さい場合で、一定の収入があれば、子どもの世話人として親(養親を含む)を日本に呼ぶことができます。

親を帯同させるための条件

  1. 7歳未満の子どもを養育すること(妊娠中の介助も含む)
  2. 高度専門職ビザの外国人の世帯年収800万円以上であること
  3. 同居すること
  4. 呼べる親は、どちらか一方に限る

家事使用人の帯同が可能(条件あり)

日本に住んでいる外国人が家事使用人の雇用できるのは、「経営管理ビザ」「法律・会計業務」などの外国人のみに限られています。

しかし、高度専門職ビザの外国人に対しても一定の条件はありますが、外国人の家事使用人を帯同させることが認められています。

家事使用人を帯同させる条件

  1. 高度専門職ビザの外国人の世帯年収が1,000万円以上あること
  2. 帯同できる家事使用人は1名まで
  3. 家事使用人に対して月額20万円以上の報酬を支払うこと
  4. 一緒に日本に入国する場合は、帯同する家事使用人が入国前に1年以上高度専門職ビザの外国人に雇用されていた者であること
  5. 高度専門職ビザの外国人が先に本邦に入国する場合は、帯同する家事使用人が本邦入国前に1年以上当該高度専門職ビザの外国人に雇用され、かつ、当該高度専門職ビザの外国人が本邦へ入国後、引き続き当該高度専門職ビザの外国人に又は当該高度専門職ビザの外国人が入国前に同居していた親族に雇用されている者であること
  6. 高度専門職ビザの外国人が日本から出国する場合、共に出国することが予定されていること

入国・在留手続きの優先的審査

高度専門職ビザの外国人の入国および在留審査は,優先的に早期処理を行ってもらえます。

通常、2ヶ月~3ヶ月ほど(混んでいれば4ヶ月程度)かかる審査が、2週間~1ヶ月以内を目安に行ってもらえます。

ただし混雑状況などに応じて1ヶ月以上かかることもあるので、必ず1ヶ月以内に審査が終わるわけではないので、ご留意ください。

就労ビザを高度専門職ビザに変更する方法

就労ビザかた高度専門職ビザに変更するには、高度専門職ポイント計算表でご自身のポイントが70ポイント以上あるかを確認しますが、ポイント計算する際には注意することがあります。

ポイントの項目には主に「学歴」「職歴」「収入」「年齢」「日本語能力」「資格」などがあり、それぞれ証明書類と一緒に入管に提出する必要があります。

そのため、証明書類が準備できない場合は、本当にポイントが取得できていたとしても、認めてもらえない可能性が高くなってしまいます。

※技術・人文知識・国際業務の活動をする場合は「1号ロ」のポイント計算表で計算する必要がありますのでご注意ください。(タブで切り替えができます)

日本語版はこちら
Points Calculation Table(English)

学歴について

学歴は、大学・大学院を卒業しているとポイント獲得ができ、さらに卒業している学校によっては、特別加算として+10ポイント加算できる可能性があります。

特別加算として加算できる大学は、世界大学ランキングで300位以内の大学に限るので、申請時においての最新版を確認するようにしてください。
令和5年9月時点の学歴の加算大学についてはこちら

職歴について

職歴については、日本で行う仕事内容と同じ仕事内容の経験が3年以上あればポイントがもらえます。

職歴でよくあるのが、日本で行う仕事とは違う仕事内容の経験を職歴の年数に含めている人がいますが、「社会人経験の年数ではない」のでご注意ください。

高度専門職ポイント計算表で必要な職歴は、「日本で行う仕事内容と同じ仕事の年数」を聞いています。
※違う仕事内容の経験を年数に含めてもカウントしてもらえません。

職歴の証明方法は、当時働いていた会社から「在職証明書」を取得して、在籍期間と当時の仕事内容を証明してもらうことが必要となります。

そのため、元勤務先が倒産してしまっている・在職証明書を発行してもらえないと言った場合には、実際に勤務実績があったとしても証明ができないので、職歴としてポイントを加算することはできません。

また在職証明書を取得しても、在籍期間や行っていた仕事内容が不透明な場合も同様に、職歴として認めてもらえない可能性があるので、在職証明書を発行してもらう時には、具体的に記載してもらうようにしましょう。

※職歴は複数の会社の経験を合算することが可能なので、複数の会社での職務経験がある場合は、すべての会社から在職証明書を発行してもらうことが必要です。

収入について

収入は、30歳未満の方で年収400万円以上からポイントが取得できます。

ちなみに年収300万円以下の場合には、他の項目で70ポイント以上獲得できていても、高度専門職ビザは取得できません。

そして高度専門職ビザの収入ポイントの審査は、将来の予測年収で判断することになりますが、すでに就労実績がある場合には、その年収の実現可能性を判断するために、過去の実績も審査では確認されます。

留学ビザから高度専門職ビザに変更する場合など、過去の職務実績がない場合は、将来の予測年収のみでの審査になりますが、すでに就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)で働いている場合は、昨年の年収実績も確認します。

理由としては、高度専門職のポイントが欲しいがゆえに、収入を多く見積もって申請する人がいるからであり、例えば昨年の年収が300万円だったにも関わらず、今回の高度専門職ポイントの申請では500万円以上にチェックが入っていると、いきなり200万円も年収がアップするのか疑問が残ります。

高度専門職ビザの年収は、「基本給」「固定残業代」「固定のボーナス」のみで計算しますので、決まっていない残業代、業績や成績によって変わるボーナス(賞与)、住宅手当、交通費などを含めることはできません。

特に残業代とボーナスについては、決まってはいないが、過去の実績でこのくらいは確実にもらえているといった場合もあると思います。

そういった場合には、勤務先の会社から「年収証明書」というものを発行してもらい、今年の年収がいくらになる(いくら以上になる)といった保証をしてもらう必要があります。

通常、収入証明として雇用契約書または住民税の課税証明書を提出しますが、雇用契約書などに記載ある金額では高度専門職のポイントに届いていない場合には、会社に「年収証明書」を作成してもらうことが必要になってきます。

申請する時期について

すでに就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)を持っている場合、高度専門職ビザの申請の時期はいつでもOKです。

就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)の更新申請のタイミングで一緒に高度専門職ビザの申請をしても大丈夫ですし、就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)の期限がまだ残っている状態でも、高度専門職ポイントが証明できるのであれば、いつでも申請可能です。

ただし、高度専門職ビザは技術・人文知識・国際業務ビザと違い、転職した場合には再度高度専門職ビザを申請することが必要になるので、転職を考えている場合には、転職後の新しい会社で申請をしたほうがよいです。

必要書類について

就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)の外国人が高度専門職ビザの申請をする場合、まだ就労ビザの期限が残っていても、新規の審査と変わらないので、会社の書類も必要となります。

下記は最低限必要なものになるので、状況に応じて必要書類が増えます。

高度専門職ビザに変更するための必要書類

  1. 高度専門職1号ロの申請書(在留資格変更許可申請書
  2. 高度専門職ポイント計算表
  3. 証明写真 ※撮影から3ヶ月以内のもの(縦4cm×横3cm)
  4. 在留カード
  5. パスポート
  6. 履歴書 ※高校卒業以降の学歴と職歴がわかるもの
  7. 直近年度の住民税の課税証明書
  8. 直近年度の住民税の納税証明書
  9. 卒業証明書(ポイントに該当する学歴のものすべて)
  10. 在職証明書(ポイントに該当する職歴のものすべて)
  11. 雇用契約書(ポイントに該当する場合に必要。場合によって年収証明書など)
  12. 勤務先の前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
  13. 勤務先の登記事項証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
  14. 勤務先の直近年度の決算書(貸借対照表・損益計算書)
  15. 勤務先のHP情報やパンフレットなど(会社概要がわかるもの)

海外の学校を卒業している場合や、海外の会社での実務経験を証明する場合、外国語で作成された書類は、内容がわかるようにすべて日本語訳が必要になります。

ちなみに日本語訳は、どなたが訳しても問題はありませんが、日本語訳の書類の右下に「翻訳日」「翻訳者名」「住所」を記載するようにしてください。

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