高度専門職1号ビザの審査期間はどのくらい?審査に時間がかかる理由も解説

高度専門職1号ビザは、在留期間が5年と定められた魅力的な在留資格(ビザ)です。
許可されると必ず5年のビザが発給されるため、たとえば1年ビザと比べると更新の手間が少なく、利便性の高いビザと言えます。
さらに、高度専門職1号ビザには他の就労ビザに比べてさまざまな優遇措置が用意されています。その中でも「審査を優先的に行ってもらえる」というメリットは、特に大きなポイントです。ただし、どの程度優先的に審査してもらえるかは、高度専門職1号ビザの種類や申請内容によって異なります。
そこでこの記事では、高度専門職1号ビザの種類について簡単に紹介しながら、実際にどれくらいの審査期間がかかるのか、審査に時間がかかる理由についても解説していきたいと思います。
目次
監修者

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行政書士法人フォワード
塩野 豪 GO SHIONO行政書士 Immigration Lawyer
フィリピン・カナダに合計5カ月居住し、海外での生活の大変さを知る。
その後、2016年に行政書士として独立して、ビザ申請代行サービス「ビザプロ」を開始する。
その後、累計400社・45か国以上の方の在留資格(ビザ)サポートを行う。
その他にも、日本法人の設立などのサポートを行い、外資系の日本進出コンサルティングも行っている。
人材紹介会社・管理団体・専門学校等とも顧問契約を結び、入管業務に特化したコンサルティングサポートを展開し、セミナー講師も積極的に行っている。
高度専門職1号ビザの種類について
高度専門職1号ビザは、イ・ロ・ハの3種類に分かれています。
高度専門職1号は行う仕事内容によってイ・ロ・ハのどれを申請するかが変わってきますので、まずはイ・ロ・ハがどのような仕事内容を指しているのかご説明します。
高度専門職1号イについて
高度専門職1号イは、「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う研究、研究の指導又は教育をする活動」を指します。
これをわかりやすく言うと、研究や指導を行う仕事内容の場合に該当するもので、具体的には研究機関での研究や大学の教授として働く場合に該当します。
高度専門職1号ロについて
高度専門職1号ロは、「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動」を指します。
わかりやすく言うと、ホワイトカラーの仕事で、大学で学んだ内容と関連性がある仕事をする場合が該当します。具体的にはエンジニアや営業、デザイナーや経理などの仕事をする場合に申請します。
高度専門職1号ハについて
高度専門職1号ハは、「本邦の公私の機関において事業の経営を行い又は管理に従事する活動」を指します。
わかりやすく言うと、日本で会社を設立して経営したり、すでにある会社の役員となる管理業務をする場合が該当します。
高度専門職1号ビザの審査期間はどのくらい?
高度専門職1号は、下記の審査期間の目安が公表されています。
公開されている高度専門職1号ビザの目安の審査期間
- 入国事前審査に係る申請については申請受理から10日以内を目途
- 在留審査に係る申請については申請受理から5日以内を目途
しかしこの目安の審査期間は、必ずこの期間で審査すると約束されているものではなく、入管の努力義務となっています。
では、実際はどのくらいの審査期間なのでしょうか?
まず見ていきたいのが、入管から公表されている2025年3月の実際にかかった審査処理期間を見ていきたいと思います。
こちらを見るにあたり、公表されている数字は、全国の審査でかかった時間の平均となっている点に注意が必要です。全国平均と言うことは、混雑している東京入管では、公表されている数字よりも時間がかかる場合が多く、逆に空いている地方入管では公表されている期間よりも早く審査が終わる傾向にあるということになります。
認定証明書交付というのが、海外在住の方が申請する場合で、1号イが57.1日、1号ロが48.7日、1号ハが122.7日となっています。
そして在留期間更新が、すでに高度専門職1号ビザを持っている方が更新する場合で、1号イが24日、1号ロが32.8日、1号ハが57日となっています。
最後に在留資格変更は、他のビザから高度専門職1号ビザに変更する場合で、1号イが34.2日、1号ロが50.5日、1号ハが66.7日となっています。
近年では申請件数の増加により、高度専門職1号ビザであっても審査にかなり時間がかかっています。
高度専門職1号ビザの審査に時間がかかる理由は?
高度専門職1号ビザは審査を優先的に行ってもらえる優遇措置があるにも関わらず、なぜ審査に時間がかかってしまっているのでしょうか。
その理由としては考えられるのは下記です。
高度専門職1号ビザの審査に時間がかかる理由
- 申請件数が多くなっている
- 高度専門職1号ビザのポイントに達していない人の申請が増えている
- 申請人(外国人)と勤務先(会社)の状況が人によって異なる
一般的な理由として、以前に比べて高度専門職1号ビザに限らず全体のビザ申請件数が増加しており、審査が追いついていないという問題があります。
加えて、入管では職員の人手不足が続いており、さらにコロナ禍以降の働き方の変化によってリモートワークが増えたものの、審査には個人情報が多く含まれるため、在宅での対応が難しく、審査の進行に影響が出ていると考えられます。
また、高度専門職1号ビザは取得すれば5年の在留資格が得られ、永住申請でも優遇されるため、本来70ポイントを満たしていないにもかかわらず申請してしまうケースが増えています。
申請が受理されれば、審査官はその内容を確認しなければならず、その分審査時間がかかってしまいます。
さらに、外国人の学歴やポイントの内訳、勤務先の企業情報などは人によって異なるため、同じ内容の申請はなく、1件ずつ丁寧に審査しなければならない点も、審査時間が長引く要因となっています。
早く審査をしてもらうためには?
それでは、少しでも早く審査をしてもらう方法はないのでしょうか?
実際の審査がどのくらいで終わるかは審査官次第になってしまいますが、早めに審査をしてもうように努力することは可能です。
具体的には、審査官が提出された書類を見て、すぐに判断できるように説明が必要な書類にはしっかり説明文をつけることが大切です。
さらに高度専門職1号ビザの場合は、ポイントの証明書で海外の書類を提出することが多いと思いますが、外国語の書類には日本語訳をつけ、誰が訳したのかまで記載しておくと審査官もスムーズに内容確認をすることができます。
あとはいつから勤務開始予定なのかも強調して、いつまでには審査を完了してほしい旨と、勤務開始予定日をずらせない理由があれば、そういった内容も記載しておくと早めに審査をしてくれる可能性があがります。
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