年齢差がある場合の配偶者ビザの審査ポイントは?対応策についても解説

外国人の方と国際結婚して、一緒に日本に住もうと思った場合、配偶者ビザを取得する必要があります。
日本の配偶者ビザは、結婚すれば取得できるものではなく、審査があります。
審査では、収入や犯罪歴の審査のほかに結婚の信ぴょう性の審査もあり、その審査では、年齢差が大きいと厳しくなります。
そこで、この記事では年齢差が大きい場合の配偶者ビザの審査ポイントと対応策について解説していきたいと思います。
目次
監修者

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行政書士法人フォワード
塩野 豪 GO SHIONO行政書士 Immigration Lawyer
フィリピン・カナダに合計5カ月居住し、海外での生活の大変さを知る。
その後、2016年に行政書士として独立して、ビザ申請代行サービス「ビザプロ」を開始する。
その後、累計400社・45か国以上の方の在留資格(ビザ)サポートを行う。
その他にも、日本法人の設立などのサポートを行い、外資系の日本進出コンサルティングも行っている。
人材紹介会社・管理団体・専門学校等とも顧問契約を結び、入管業務に特化したコンサルティングサポートを展開し、セミナー講師も積極的に行っている。
夫婦の年齢差が15歳差以上は要注意!
夫婦の年齢差が大きいと、配偶者ビザの審査が厳しくなり、不許可になるリスクが上がります。
具体的には、何歳差以上という正確な基準はありませんが、「15歳差以上」を目安としており、25歳差以上ある場合は要注意となります。
年歳差がある場合、過去の傾向から偽装結婚である可能性が高まり、配偶者ビザを取得した後に、結婚の実態がなくなるケースが散見されることから、入管(出入国在留管理局)では審査を厳しく行っています。
配偶者ビザが取得できた途端、外国人配偶者の態度が一変するケースもありますので、注意が必要です。
そのため、真実の結婚であったとしても年齢差がある場合には、慎重に配偶者ビザの申請を行う必要があります。
年齢差がある場合の配偶者ビザの審査ポイントは?
それでは、具体的に年齢差がある場合の配偶者ビザの審査ポイントについて見ていきましょう。
まず前提として、配偶者ビザの審査は書面審査で面接がありません。
そのため書面にて、偽装結婚ではなく正真正銘の結婚であることを申請者である私たちから立証することが重要となってきます。
年齢差が大きい場合には、下記4つのポイントを押さえて配偶者ビザ申請をするようにしてください。
年齢差が大きい場合の審査ポイント
- コミュニケーション(意思疎通)がとれていますか?
- 交際期間が極端に短くないですか?
- 会った回数が少なくないですか?
- お互いの両親には挨拶しましたか?
それでは、1つずつ細かく内容を確認していきたいと思います。
コミュニケーション(意思疎通)がとれていますか?
国際結婚の場合、言葉の壁があります。
翻訳機も便利になり問題なく使用できるようになりましたが、結婚するにあたり、翻訳機だけでコミュニケーションを取っているとなると、正真正銘の結婚なのかどうか疑われてしまいます。
そのため、翻訳機を使うこともあると思いますが、普段の会話は日本語なのか?相手の母国語なのか?英語なのか?どの言語で会話しているのかが重要となります。
そして日本語で話している場合は、外国人配偶者はどのように日本語を学んだのかといった経緯説明もしっかり行うことが必要です。
またコミュニケーションが取れているかの確認方法としては、入管に提出する「質問書」の4ページ目にお互いの言語の理解度についての質問があります。
質問書のフォーマットはこちら
その他、LINEなどのコミュニケーションツールにて、普段やりとりしている会話のスクリーンショットを求められる場合もあります。
仮にLINEなどのスクリーンショットで、会話が成り立っていなかったり、スタンプのやり取りが多く文字のやりとりが極端に少ないと言った場合には、コミュニケーションが取れていないと判断されてしまうことになりますので注意が必要です。
交際期間が極端に短くないですか?
「交際期間が何カ月以上ないといけない」という基準はありませんが、一般的に交際期間が6か月以内だと短いと感じると思います。
例えば「元々知り合いで友人として付き合いが長い」「付き合ってすぐに同棲して毎日一緒にいる」といったような場合であれば、交際期間が6か月未満であったとしても結婚までの経緯の説明が十分できると思います。
しかし、出会ってすぐに結婚ということであれば、出会ってから結婚までの経緯について、細かく説明することが必要となります。
会った回数が少なくないですか?
SNSで出会える時代になり、日本と海外在住という遠距離恋愛も多くなりました。
そのため、実際に会った回数が少ないまま結婚する方もいますが、実際に会った回数が少ない場合には配偶者ビザの審査は厳しくなります。
そして実際に会った回数も明確な決まりはないですが、ビザプロでは2回以下は審査がかなり厳しくなると判断しています。
会った回数のカウント方法としては、外国人配偶者が海外在住の場合には、その国に行った回数を1回とするのが一般的です。
例えば、「1回の渡航で1週間滞在していて毎日会っていたから7回会った」というカウント方法もできますが、会いに行った回数や会いに来た回数を1回とカウントする方が多いです。
これが1カ月以上会いに行っていたとなると、生活をともにしているので仮に1回の渡航だけだったとしても、2人の写真や親族との写真など、多く交際の証明を提出することで配偶者ビザの許可の可能性はあがっていきます。
お互いの両親に挨拶しましたか?
日本では一般的ですが、結婚する前にはお互いの両親に挨拶をします。
国際結婚においても両親への挨拶をしているかどうかは、正真正銘の結婚であるかどうかの判断材料として重要です。
年齢差がある場合、ご両親に挨拶しにくい場合もあるかと思いますが、なるべく挨拶はしておいたほうが良いです。
海外の場合で行けない場合は、ビデオ電話をつないで挨拶することも有効です。
その際、実際に会ったのであるのであれば、一緒に写真を撮り、ビデオ電話であれば、スクリーンショットを撮るようにしておくと、証拠書類として提出ができます。
年齢差が大きい場合の対応策は?
ここまで、年齢差が大きい場合の配偶者ビザの審査ポイントを説明してきましたが、ここからは対応策についてご説明していきます。
年齢差が大きくても正真正銘の結婚であることを証明するためには、審査ポイントでもある「コミュニケーション方法」「交際期間」「実際に会った回数」を書面で証明することが重要です。
コミュニケーション方法の証明方法について
コミュニケーション(意思疎通)が取れている証明書類は、「LINEなどの普段のやりとりのスクリーンショット」または「通話記録」が有効です。
やりとりのスクリーンショットの場合、提出する期間は、年齢差がある場合は「直近6か月分」を提出してもらっています。
6か月すべてを提出するのは大変なので、1カ月あたり3スクリーンショットを準備いただければと思いますが、注意点は下記になります。
LINE等のスクリーンショットのポイント
- 名前が本名になっていること(あだ名の場合は本名に変更する)
- 日付がわかる箇所のスクリーンショットを撮る
- スタンプだけの箇所は避ける
- 喧嘩している箇所は避ける
名前が本名になっていること
誰とのやりとりかを明確にするために、相手の名前が本名になっていることが大切です。
あだ名になっていると、誰とやりとりしているのかわからないと言われてしまう可能性があるため、名前を本名に変えてからスクリーンショットを撮るようにしてください。
日付がわかる箇所のスクリーンショットを撮る
いつのやりとりか明確にするため、日付が出ている部分のスクリーンショットをとります。
LINEでは日付がでないところも存在するため、スクリーンショットをとる際には注意してください。
スタンプだけの箇所は避ける
LINE等のスクリーンショットを提出する意図としては、コミュニケーションがとれていることを証明するためです。
そのため、スタンプが多いやり取り箇所は避け、普段やり取りしている箇所をスクリーンショットとるようにしてください。
毎日のルーティーンの「おはよう」「おやすみ」などの箇所ばかりスクリーンショットでは、コミュニケーションがとれているか判断できないため、日々の出来事などのやりとりをスクリーンショットとるように意識してください。
喧嘩している箇所は避ける
ケンカの箇所は審査においては評価が下がってしまいます。
普段やり取りしていると喧嘩をすることもあるかと思いますが、喧嘩の箇所ではなく、普段の恋人同士のやりとりの箇所を選んでスクリーンショットを撮るようにしてください。
交際期間の証明方法について
交際期間の証明については、配偶者ビザの申請の必須書類である「質問書」の2ページ目の「出会ってから結婚までの経緯」の説明で行っていきます。
質問書のフォーマットはこちら
質問書とは、配偶者ビザの申請の際に入管に提出する書類のことで、非常に重要な部分になります。
出会ってから結婚までの経緯を「覚えていない」「書くのが面倒」という理由で、3行くらいで済ませてしまうのは、年齢差が大きい結婚の場合は、不利になってしまいます。
出会ってから結婚までの経緯は、必ずしも文章でなくても、箇条書きでも問題はないので、交際が始まった日、デートに行った場所、思い出の場所、結婚を決意した理由などについて細かく書く区ようにしてください。
出会ってから結婚までの経緯の書き方
- 「お付き合いをした日付け」「具体的なデート場所」「印象に残っている出来事」「プレゼントをしたもの」などを記載する。
- 「年齢差があることへの外国人配偶者の反応」はどうだったか?
(家族や友人の反応も含めて記載するとポイントが高い) - 交際期間が短い場合は、なぜ早いタイミングで結婚しようと思ったのかを記載する。
(例えば「運命を感じた」「この人しかいないと思った」といった内容ではなく、より具体的な内容を詳細なエピソードと一緒に記載する) - お互いのご家族に挨拶した時の状況を記載する。
(相手の両親と一緒に撮った写真や、ビデオ電話の際に撮ったスクリーンショットなどもあるとよい)
これらのことをすべて記載すると、とても指定されているフォーマットには書ききれませんので、書ききれない場合は、「別紙記載」としてA4用紙に記載するようにしましょう。
実際に会った回数の証明方法について
実際に会った回数は、「スナップ写真」または「渡航履歴」で証明していきます。
スナップ写真は入管の必須書類ですが、入管のHPでは2~3枚と記載されていますが、年齢差が大きい場合には2~3枚では足りず、5~10枚ほど提出する方が審査に有利になります。
スナップ写真の注意点
- 同じ日に撮影した写真は1枚とカウントする
- 撮影日と撮影場所を記載する
- 顔がはっきり写っている写真を選ぶ
同じ日に撮影した写真は1枚とカウントする
スナップ写真を5枚以上と言うと、同じ日に撮影した写真を5枚準備される方もいますが、同じ日の写真は1枚とカウントします。
結婚式の写真も、同じ日での撮影なので1枚とカウントとしてください。
例えば2泊3日で旅行した場合、違う日に撮影したものであれば審査上加点になり得ますが、同じ旅行の写真を複数枚提出するのであれば、違う旅行や日常で撮影した写真を提出する方が審査上有利に審査してもらえます。
また違う日に撮影した場合でも、洋服が一緒の場合には、同じ日に撮影したものとみなされてしまう可能性もありますので、違う洋服を着ている写真を準備するようにしてください。
撮影日と撮影場所を明示する
スナップ写真は、「撮影日」と「撮影場所」を記載するようにしてください。
スナップ写真は日付が記載されているものもありますが、多くのスナップ写真はいつ撮影したのかわかりません。
スナップ写真は現像しなくても大丈夫で、スマホで撮影した画像を印刷して撮影日や撮影場所を手書きで記入しても大丈夫ですし、ワードなどで編集する形でも大丈夫です。
顔がはっきり写っている写真を選ぶ
配偶者ビザの審査で必要なスナップ写真は、顔がはっきり写っているものが必要です。
そのため、旅行などでサングラスをかけていたり、マスクを着けている写真は避けるようにしてください。
またスナップ写真は、お互いが撮った写真ではなく「2人が写っているもの」を選ぶようにして、友人など大勢と写っている写真の場合には、どこに2人がいるか示すようにしてください。
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