短期滞在(短期商用ビザ)の審査ポイントと手続きの流れ
最大90日以内の出張やミーティング・商談・視察などで外国人を日本に呼ぶ際には、「短期商用」という短期滞在ビザの取得が必要になります。
短期商用ビザでは、日本国内での活動に対して報酬を得ることはできませんので、1日でも報酬を得る活動があるときには、就労ビザ(在留資格)を取得する必要があります。
そこで今回は、短期滞在ビザの中でも「ビジネス目的で日本に来る目的の短期商用ビザ」について解説していきます。
目次
短期滞在ビザの種類とは?
短期滞在ビザは、「90日以内の短期で日本に来る場合に取得するビザ(査証)」になります。
国によっては90日以内の短期間の滞在であれば、ビザ免除国と言われるビザなしで日本に入国できる国(アメリカやイギリス・韓国など)もありますが、ビザ免除国ではない国の方が日本に来る場合には、1日の滞在でもビザ(査証)の取得が必要になります。
ビザ免除国ついてはこちら
※コロナ禍においては、ビザ免除国含めて、すべての国籍の方が短期滞在ビザの申請が必要になっています。
そして取得するビザにも4つの種類があり、日本に来る目的によって取得する短期滞在ビザが変わってきますが、ビジネス目的で来日する場合は「短期商用」という種類の短期滞在ビザが必要です。
短期滞在ビザの種類
- 観光
- 知人訪問
- 親族訪問
- 短期商用
短期滞在ビザは最大で90日取得できる
短期滞在ビザは、15日・30日・90日の3種類の期間で発行され、日本での滞在日数によってもらえる日付が異なります。
短期滞在ビザの申請では、滞在予定表を提出し、日本で何日間、何をするのかの行動計画を提出し、日本への滞在日数に応じてビザの期間が決まります。
注意点としては、とりあえず長く日本にいたいということで、90日を申請しても日本で行うことが明確でない場合は、短期滞在ビザ自体が不許可になってしまう可能性があるので、必ず日本での明確な行動計画を作成することが求められています。
短期商用ビザでできる活動とは?
短期商用ビザとは、「ビジネス目的で日本にくるための短期滞在ビザ」のことですが、実際に短期商用ビザでできることとは何なのでしょうか。
短期商用ビザでは、日本で行う活動に対して報酬を得る活動はできませんが、具体的にはどういった活動が認められているのか見ていきましょう。
短期商用ビザでできること(一部抜粋)
- 見学・視察(例:工場見学、見本市等の視察など)
- 企業などが行う研修、説明会への参加
- 報酬を得ない講演、講義への登壇
- 会議、打ち合わせ、その他の会合への参加
- 商談、アフターサービス、宣伝、市場調査など
- 就職活動、面接など
短期商用では報酬を得る活動はできない
外国人が日本に打ち合わせや商談目的で来日する短期商用ビザでは、「日本で行う活動に対して報酬を受け取ることはできません。」
報酬を支払う活動をする場合は、それがたとえ1日であったとしても就労ビザが必要になりますので、どういった内容が「報酬を得る活動」と判断されてしまうのでしょうか。
「報酬を得る活動」とは、基本的に短期商用ビザで日本に来る外国人は、外国の会社に勤務していると思いますが、日本での活動に対して、いつもの海外の会社からの給与に加えて、報酬が出る場合です。
例えば、日本で講演を行いその報酬を受け取る場合は、報酬を得る活動と判断されますが、「講演に対しての謝礼」「滞在中の交通費」「食事代」などは、常識的な範囲の金額であれば報酬とはみなされませんので、受け取っても大丈夫です。
報酬を受ける活動に該当する具体例
- 来日して日本で講演を行い、講演料をもらう
- ワークショップを開催し、出演料をもらう
短期商用ビザの審査ポイントは?
短期商用ビザの審査では、外国人の過去の犯罪歴に加えて、日本のスポンサー企業(呼び寄せる会社)の信用性も審査されます。
なお、短期商用ビザは海外に住んでいる取引先や関係者などを対象としているため、海外に住んでいるが雇用している社員を短期商用ビザで日本に呼ぶことはできません。
海外在住の社員を日本に呼び場合には、数日の滞在だったとしても就労ビザの申請が必要になります。
短期商用ビザの審査ポイント
- 外国人本人に犯罪歴がないか
- 日本での活動に報酬が発生しないか
- 外国人とのビジネス関係の証明はできるか
- 日本に呼ぶ外国人は、日本企業の社員ではないか
- スポンサー企業(呼び寄せる会社)に納税義務違反がないか
- 滞在目的、日程に問題はないか
- 日本での滞在費、帰国旅費は十分に確保できているか
短期商用ビザを申請するには、日本に滞在中に打ち合わせなどをする予定の会社がスポンサーになる必要があります。
スポンサーになる企業は、会社の実態を証明する必要があるため、ホームページがない会社や新設会社の場合には、会社パンフレットをつけるなど、ペーパーカンパニーではなく信用ある会社であることを自ら証明するようにしてください。
日本での滞在費についても、外国人本人が旅費・滞在費を負担する場合は、日本で滞在できるだけの費用を持っているのか確認する意味でもされる場合がありますが、スポンサー企業が身元保証人になる場合には、特に資金の証明は不要です。
短期商用ビザの注意点について
短期商用ビザを申請する場合の注意点もご説明していきます。
短期商用ビザの注意点
- 無報酬でも労働に該当するものはNG
- 不許可になると同じ申請は6ヶ月間できない
- 日本企業の外国人社員の申請はできない
短期商用ビザでは、報酬を得る活動はできないとお伝えしてきましたが、無報酬でも行う活動が会社の売上に直結している活動の場合には労働に該当しますので、その活動も行うことはできません。
具体的には、工場のラインでの作業や店舗での接客作業などが該当し、工場で作った商品を販売し売上になり、店舗での接客も販売行為なので、売れれば売上になります。
そういった行為は例え無報酬でも労働となりますので、短期商用ビザでは認められていません。
そして短期商用ビザでは、一度不許可になってしまうと、同じ目的での申請が6ヶ月間できなくなってしまいます。
また不許可になってしまったとしても、不許可理由は教えてもらえませんので、再申請の際には、不許可理由を予測して改善したうえでの再申請になります。
そのため短期商用ビザは慎重に申請する必要があり、提出書類のコピーは残しておくことが望ましいです。
最後に繰り返しになりますが、日本企業の海外在住の外国人社員は、短期商用ビザの対象外となります。
昨今、リモートワークが普及したため、海外在住の外国人社員がいる会社も多くなってきていますが、短期商用ビザはあくまでも取引先などの招へいが目的となっているため、日本企業の社員の場合には就労ビザの申請が必要になります。
海外に子会社(親会社)があり、海外子会社などの所属になっていれば短期商用ビザの対象となりますが、日本にある会社所属の外国人社員の場合には、日本で行う業務も通常支払っている報酬の範囲内の活動とみなされるため短期商用ビザの対象外となっています。
短期商用ビザの申請の流れについて
短期商用ビザを含むすべての短期滞在ビザは、日本ではなく「海外にある日本大使館(領事館)で外国人本人が申請を行います。」
例外的に、中国・ベトナム・フィリピンなど、申請が多い国では、現地日本大使館が指定エージェントを決めており、そのエージェントを通しての申請が必要になります。
なお、短期商用ビザの審査期間はおおむね5営業日ほどとなっているため、審査に時間がかかりませんが、少なくても来日の1ヶ月以上前には申請しておくとよいです。
ただし許可が下りた後には、3ヶ月以内に日本に来ないといけないので、あまり早すぎる申請にはご注意ください。
それでは、短期商用ビザの申請する流れを見ていきましょう。
短期商用ビザの申請の流れ
- スポンサー企業になる会社が必要書類を準備する
- 申請書などの作成を行う
- 日本で揃えた必要書類(原本)を外国にいる本人に郵送する
※近年はデータで認めている領事館が多くなってきています。 - 外国人本人が最寄りの日本大使館(領事館)に申請する
※国によっては指定エージェント経由での申請になります。 - 約1週間後に結果通知があり、パスポート原本に査証(ビザ)が貼られる
- 来日
短期商用ビザの必要書類は国によっても変わるので、下記外務省のページを参照してください。
また短期商用ビザの申請には、事前予約が必要な日本大使館(領事館)もございますので、まずは事前に最寄りの日本大使館(領事館)に問い合わせしてみてもらえたらと思います。